店主たみこの観光案内日記

金沢城 石川門

2018年12月01日

金沢城 石川門

 

金沢を代表する「顔」とも言える、金沢城石川門。
金沢城三御門のひとつです。(あとのふたつは橋爪門と河北門
現代になって復元された他のふたつと違い、この石川門だけは江戸期に建造されたもの。
国の重要文化財にも指定されています。

 

御覧の通りの見事な造りですが(写真下手でよく見えんけど)、実はこの門、搦手門(からめてもん)と呼ばれるもので、いわゆるお城の裏口に当たります。
じゃあ正門はどこなの?と言うと、ここから徒歩5分ほどの所にある尾坂門。
門自体は既に失われており、今残っているのは残念ながら石垣のみ。
一体そこにどんな門が建っていたのか、もはや伺い知ることはできません。
とは言え百万石を誇る金沢城の正門なのですから、その名に恥じない立派な門が建っていた事は想像に難くありません。

 

で、話戻して石川門。
裏門にも関わらず、正面から眺めると圧巻の迫力。
高い石垣の上にガンと屹立し、縦横のサイズもしっかりとあり、堂々の風格。
門構えは力強く、左手には櫓が備えられ。
細部に施された装飾は緻密かつ精巧。
一見表門と見間違えられても仕方がないほどに立派な面構えです。

 

実はこの門、ここまで造り込んであるのにはちゃんとした理由がありまして。
かつてここは、お城の重役さん達の出入り口だったらしいのです。
時代は格式を重んじる武士の時代。
エライ人の出入り口は、仕立てもリッパじゃなきゃならんかったんでしょうね。
今で言えば社長の車はベンツ、重役はクラウン、部長はマーク2みたいな、そんな感じですかね。
恐らくこの門を通って城への出入りが出来ること自体、ひとつのステータスだったんでしょうね。

 

構造としては一の門と二の門の二重構造になっており、その間を挟むように枡形(ますがた)と呼ばれる空間があります。
万一攻め込まれた際、この枡形に敵を誘い込み、門の上や櫓の窓から矢や鉄砲でハチの巣にするという恐怖の構造です。
幸い金沢城が戦の舞台になった事はなく、この機能が生きることはありませんでしたが。

 

構造だけでなく建物自体にも見所がいっぱい。
がっしりと組み上げられた柱はどれも太く、強く。
築250年の歳月は木をしぶ~い褐色に染め上げ。
所々に配された黒金物は威圧と重量感にあふれ。
塀の腰に施された海鼠壁(なまこかべ)は優雅で美しく。
屋根の鉛瓦は白く鈍く輝き。
建材には寺院建築様式の技巧的な木工装飾がダイナミックに踊る。

 

いっや素敵ですわ♪

 

さらに門を抜けた先にも注目。
そのままぐるっと裏手に回ると、門内に入れる入口にたどり着きます。
実はこの門、冬場を除いて土日は内部を無料で閲覧できるんです。
うっかりしてると見落とすので要注意!

 

中に入ると、内部は枡形を囲うようなコの字型の構造。
広くはないけど、天井が高くて抜けが良く。
通路の窓からは下を歩く人々を見降ろすことができます。
本来この窓は矢や鉄砲でびゅんびゅん敵を攻撃するためのもの。
こんな所から攻められた敵はたまったもんじゃありませんね。

 

床には「石落とし」と呼ばれる窓もあります。
これは石や熱湯を落として敵を攻撃するための装置。

上からいきなりそんなものゴロゴロ落とされたらと思うと、考えただけでぞっとしますね。

 

城ってのはそもそも有事の際に敵を打ち倒すための迎撃要塞。

他にも隠し狭間(かくしざま)とか隠れ石垣とか、戦闘を意識した仕掛けが随所に施されています。

興味があったら色々探してみて下さい。



金沢観光の目玉のひとつ、金沢城石川門。
江戸期建築を生で体感できる数少ない場です。
金沢来たらここはぜひ見てって下さいね。

 

オススメのシーズンは何と言っても桜の季節。
桜の花びらが舞い散る中にたたずむ石川門は、ため息が出るほどに絶景です。
インスタ映え200%間違いなし!

 

なお時期によっては夜間開放&ライトアップなんかもやってますので。
そんなタイミングを狙って訪れてみるのもいいですよ。

 

 

金沢城

住所:石川県金沢市丸の内 1-1

TEL:076-234-3800

 




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