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七尾美術館 建築に隠された七尾の表現を探る
2021年03月20日

長谷川等伯(はせがわ とうはく)ってご存知ですかね?
安土桃山時代に京都画壇の主流だった狩野派とガッツンガッツンやり合ったっていう、長谷川派のボスです。
その等伯をやたらメッタラ推してるのが、こちらの七尾美術館。
なぜなら等伯はここ七尾出身だからです。
それゆえ等伯愛にかける情熱はハンパありません!
建物の設計は内井昭蔵(うちい しょうぞう)。
このブログでも既に登場した、大野からくり記念館や海と渚の博物館の設計を手掛けた人です。

駐車場を出ていきなり入場者を出迎えるのがこのゲート。
コンクリートで作られた四角い枠に丸い穴。
いかにも何か意味ありげな形。
これは七尾湾のイメージですね。
ヒマな人はgoogle mapででも確認して欲しいのですが、七尾ってのは能登半島の中ほどのペコッと引っ込んだ場所にあるのですよ。
頑張ってイメージすれば、まー大体地形的にこんな形。
つまりこのゲートには「七尾へようこそ、どうぞお入りください」って意味が込められているのです。

その先に現れるのがこの庭。
うねんうねんの起伏が広がっています。
これも恐らく七尾という土地の表現でしょう。
この起伏で七尾平野の先にある山々の様子を表しているのです。
そしてその先が目指す美術館。
ここで、ん?と思われた方、スバラシイ。
そう、ここまで見てきた一連の流れ、これは1本のストーリーを形作っているのです。
つまりこういうコト。
「(ゲート)海から七尾に入港」し「(庭)七尾の土地と空気」に触れ「(美術館)七尾の文化・精神世界を知る」
って体験を、知らず知らずの内にたどらされているのです。
なんてニクイ演出!

で、そのうねうね庭の通路を抜けて本館の前まで行くと、再びザ・七尾湾なオブジェ。
今度は現在開催中の展示案内板として登場。
好っきゃな、この形(笑)。
もう終わってますが、わたしが行った時は長谷川等伯展をやっていました。
先にも書いた通り、この美術館は等伯大好きで、毎年必ず等伯展を開催しています。
等伯の作品を生で見たいーって人は、あらかじめ公式サイトで開催時期をチェックしてから行ってください。

そのザ・七尾湾な案内板の次に現れるのが、このステンレスのオブジェ。
タイトルは「アルパ '97」。
アルパ(arpa)とはアメリカン・インディオの民族楽器で、竪琴の一種です。
制作者の吉田隆(よしだ たかし)はここ七尾出身の彫刻家さんで、こんな感じでアルパをモチーフにした作品を数多く手掛けています。
これもそのひとつで、詳しい事は分かりませんが、どうもアルパを宇宙に浮かぶ舟として見立てているみたいです。
なのでガシャガシャと引っ付いている付属品(?)は、多分星とか星座じゃないですかね。
そういう目で見てみると、中央付近にある鎌みたいな形したヤツ、なんとなーく白鳥座にも見えてきます。

その向こうにもオブジェ。
一見兜のようにも見えますが、まあ別に兜でもいいんですけど、多分コレ、七尾の峰のイメージでしょう。
「七尾」の地名の由来は「七つの尾根」から来てまして、このすぐそばにある七尾城はその七つの尾根を巧みに利用した設計になっています。
そしてこのオブジェの下部のボコボコ、数えてみるとちゃんと7個あるのですよ。
さらにこれ全体を山かな~~???と思って見ると、まあまあ山に見えなくもない。
つまりこのオブジェは「七つの尾根を抱いた山」って解釈ができるのです。

そして七尾美術館を最も象徴するのが、庭から見たこの眺め。
屋根にボコボコが7つ並んでいます(画像には6つしか写ってないけど)。
このボコボコももちろん七つの尾根の表現です。
さらにその前庭。
入口で見た七尾湾ゲートっぽいのがズラズラーっと並んでいます。
これもなにやら意味ありげ。
ちょっと角度を変えて見てみましょう。

こんな感じね。
奥に七尾湾、その手前には半切り(?)の七尾湾がいっぱい。
これ多分リアス式海岸の表現でしょうね。
つまり手前に並んでいる半切り七尾湾は湾じゃなくて海岸に並ぶ岬を表しているのです。
ガキガキと続くリアス式海岸の向こうに七尾湾が見える、とそんなイメージです。

そしてもうひとつ見て欲しいのが壁。
再びボコボコ。
でもここで注目して欲しいのは形じゃなくて、材質です。
このボコボコ、珪藻土って素材でできています。
珪藻土ってのはその名の通り土なんですが、元々はプランクトンの死骸なんだそうです。
それが積もって圧縮されて、何千年もの時間をかけて土化したのが珪藻土。
七尾のある能登半島は、実にその3/4がこの珪藻土で形成されています。
つまりこの壁も七尾という土地の表現なんですね。

以上、アレやコレや見てきた七尾美術館。
アートですよ~。
庭も含めて建物全体がアートですよ~♪
どうぞご来館の際には、このアートな建築を思う存分楽しんでって下さい。
もちろん美術館ですのでね、作品の鑑賞もお忘れなく。
入口では等伯グッズなんかも販売してますよ!


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