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金沢21世紀美術館
2020年01月01日

金沢観光の鉄板中の鉄板。
兼六園、金沢城、ひがし茶屋街、近江町市場。
どれも長い歴史が作り上げた文化遺産ですが、そんなビッグ4に割って入る存在が近年現れました。
金沢21世紀美術館です。
オープンは2004年、今からほんの16年前。
開館当初からセンセーショナルな美術館が登場したと大いにもてはやされました。
ってのもこの外観。
丸です。
ドローン持ってないので上空からの写真はないのですが、円形をしています。
しかも360度ガラス張り。
この斬新にしてモダンなフォルムが強烈なインパクトを与えたのです。
当時良く例えられたのが「地上に降り立ったUFO」。
なるほどUFOと言えばUFOのように見えますね。

なんで丸なの?って疑問。
これにはちゃんと答えがありまして、この美術館のコンセプトは「まちに開かれた公園のような美術館」。
つまりそこで生活する市民の日常に普通に溶け込める、そんな敷居の低さを目指したのです。
建物が丸いのは正面をなくすため。
ここが前、こっちが後ろという先入観をなくすことで、好きな角度からアプローチできる構造を狙っているのです。
もちろん敷地全体を囲む塀や柵もなければ、看板もなし。
どこからでも出入りできるフリーな空間となっています。

その工夫は整地にも凝らされています。
よーく観察しないと気付かないのですが、この敷地、金沢市役所側から兼六園側に向かって実に2~3メートルもの高低差があるそうです。
このままじゃ圧迫感を感じてしまう。
そこで作られたのが、金沢市役所側にある盛り上がりです。
この真下は地下駐車場になっていて、本来はあまり重量を上乗せしたくないのですが、それでもあえて土を盛り、その先との高低差を視覚的に緩和してあるのです。
美術館周りの波打つような地面の形。
その影には実はそんなヒミツが隠されていたんですね。

中も面白いですよ。
丸い外形に対して、通路はその円を切断するかのような直線。
カーブ状の通路は1ヵ所もありません。
これもね、ちゃんと狙いがあるのですよ。
通路の端から端、つまり建物の向こうまでがざっと見えて、その先はガラスなのでさらに外の風景まで見通せる。
この構造によって視線をはるか先まで誘導し、「この先に何があるんだろう?」という心理を刺激して、より先へと導くのです。
要するに回遊効果を高めているんですね。

ガラス壁にもちゃんと意味があります。
見た目のスタイリッシュさだけが目的ではありません。
狙ったのは写り込み。
周囲の庭に配された芝生や木々のグリーン、それらが大きなガラス面に鏡のように写り込みます。
言ってみれば巨大なスクリーンに囲まれてるようなイメージですね。
これにより色彩的連続性が生まれ、建物内部と外部との境界をあいまいにしているのです。
ここにいるとなんとなーく感じる内外の一体感。
それは意図して設計されたものなんですよ!

さらに内部構造にもひと工夫。
通常美術館と言えば展示室が固定されており、ルートに沿って順番につらつらっと見て行く造りになっているのですが、この金沢21世紀美術館には決まった展示ルートがありません。
通路の仕切りを開閉することで、自由に回遊レイアウトを変更できるのです。
しかも部屋の大きさや天井高はバラバラ。
なので企画展に合わせて狭い部屋→狭い部屋→中くらいの部屋→最後に大きな部屋でダイナミックにどん!、みたいな仕掛けを柔軟に展開できるのです。
そんな部屋の使い方にも注目して展示を見ていると、おーなるほど、今回こんな感じで部屋を使ってんのね、と。
企画者の意図みたいなものが汲み取れて、またちょっと違った角度の楽しみ方ができます。

ちなみにその通路を仕切る開閉ドア。
実は重大なミステイクがあります。
それは重量。
重すぎるのです。
なのでご覧の通り、開閉の際に車輪が通る部分の床材が削れちゃって溝になってます。
こんなアラ探しも美術館探訪の楽しさです!(←それは違う)

今や金沢観光の大目玉に成長した金沢21世紀美術館。
当初の来館者予想は年間30万人を想定していたそうですが、ふたを開けてみたら120万人を超える空前の大ヒット。
これには市も大喜び、だけどおかげで色んな所にひずみが出てしまい。
特に受付ロビーの入場待ちの大行列は今やお馴染みの光景。
これはなんとかせにゃならん!と、開館15年を区切りに現在改装工事を行っています。
聞いた話では、内部構造には一切手を入れず、入口ロビーとトイレを改善するとの事ですが。
一体どんな風に変わるんですかね?
まだまだこの先が楽しみな金沢21世紀美術館。
市民も観光客も、そして美術愛好家にも、みんなに愛される施設として、この先100年200年先まで頑張って欲しいものです!
・・・って、100年経ったら「金沢22世紀美術館」に名前変わるのか?(笑)