店主たみこの観光案内ブログ

金沢城の石垣 二の丸周辺◆謎の記号石垣を解読せよ

2021年11月29日

金沢城の二の丸

 

金沢城の石垣を巡る旅。
いよいよ城の中心部である二の丸周辺を見ていきます。

 

ここの眺めがダイナミックでしてね。
「水堀+石垣+櫓」のお城ゴールデントリオが視界いっぱいに広がる、ザ・お城な場所。
お城好きには見ているだけで心拍数上昇無限大な、魅惑のワンダーゾーンです。

 

金沢城石垣マップ

 

まずは今回見ていくエリアの確認。
お城のほぼ中心となる二の丸周辺をぐるりと回ります(赤文字の部分)。

 

この辺りの石垣は実にバリエーション豊かで、次々と移り変わる石垣模様が魅力的。
さらに、金沢城独特の「アレ」もいっぱい見られます。
石垣ビギナーもまず喰い付く意味不明な「アレ」。
この「アレ」を追いかけるだけでもメチャクチャ楽しめますよ!

 

五十間長屋下の石垣

 

では早速石垣を見ていきましょう。(※石垣マップの5)

 

どーですか、この美しさ!
色とりどりの石がモザイクのように入り乱れる。
明らかに「見る」事を意識して積まれた石垣です。

 

この石垣、平成に一度解体・再構築されています。
なのでそう言われて見てみると、表面が妙に真っ平ら。
もし江戸時代の頃から残ってるものなら、もっと歪みやたわみが出てるんですけどね。
やけに疲労感がなく美しさが際立っているのもそのためです。

 

二の丸の隅落とし

 

その脇に回るともうひとつ面白いものが見られます。(※石垣マップの6)
どう?何が面白いか分かります?

 

この部分、角地なのですが、なぜか内側にへこんでいます。
これは「隅落とし(すみおとし)」と呼ばれる、厄除けのおまじないです。
以前に上田城の本丸でも見たヤツですね。

 

ここでスマホをお持ちの方はぜひコンパスで確認して欲しいのですが、この位置、二の丸中心から見ると北東に当たります。
つまり鬼門。
陰陽道では鬼門に角があるとそこから鬼や災いが侵入すると考えられており、それゆえこうして角を落としたのです。

 

二の丸横の石垣

 

そこからズラーっと続くのがこの長石垣。(※石垣マップの7)
先に見たモザイク色の石垣と違い、ここはメチャメチャ無機質。
すげー工業的。

 

これ、なんでこうなってんのかというと、実際工業的に作られたからです。
この石垣が積まれた頃になると石垣製造もある種ライン化されており、規格に沿った石を大量に供給できる体勢が整っていました。
なのでこうしてサイズ・形がきれいに揃った石を整然と積むことができたのです。

 

第六旅団司令部の数寄屋敷石垣

 

さらに進むと第六旅団司令部の建物が残る広場に出ます。(※石垣マップの8)
そこで見られるのがこちらの、数寄屋敷石垣と呼ばれるもの。
金沢城内で最も「江戸時代っぽくない」江戸時代の石垣です。

 

見ての通り素材こそ石ですが、まるでコンクリートブロックを積み上げたみたいな整然とした長方形の連続。
荒い石垣好みの人には多分退屈な眺め。
実際わたしもこの石垣はあんまり好きじゃありません。

 

でもね。

 

石垣に刻まれたマーク

 

ここの石垣、マークがいっぱい見られるんですわ。(※画像は分かりやすいようにマークに着色してあります)
金沢城の石垣と言えば石に刻まれた謎のマークが有名ですが、ここはその謎マークが最も多く見られる場所。
うおっ!あるわあるわ!うじゃうじゃあるわ!みたいな。
めっちゃミステリアスです。

 

なんのマークなんですかね、これ?
一応石材を切り出した集団ごとに割り振られた目印と言われてはいますが、真相はいまだに不明。
仮にそうだとしても、わざわざこうして見せるモンでもなし。
遊んでたんですかね、やっぱり?

 

土橋門跡

 

その第六旅団司令部の広場の前に土橋門跡ってのがあります。(※石垣マップの9)
現在はご覧の通り往時の姿を思わせる石垣が残るのみ。

 

これだけの石垣が組まれているんですから、きっとここには立派な門があったんでしょうね。
ゴッチゴチの武装仕様。
ブっとい柱と分厚い扉で閉ざされた、頑強なゲートがこの入口を守っていたのでしょう。

 

土橋門跡の亀甲石

 

ここの石垣にも面白いものがありまして、それがこちら。
画像中央に六角形の石があるのが分かると思うのですが、これは亀甲石と呼ばれるもので、亀の甲羅の模様を模しています。
何の意味があるかというと防火。

 

亀は水辺の生き物ですよね。
なのでこうして亀を象徴するものを据える事で水のパワーを引き込み、火の侵入をシャットアウトするのです。
先に見た隅落としと同じく、単なるおまじないの類ではありますが、結構他のお城でもよく見掛けます。
例えば天守閣に飾られるシャチホコや波を紋様化した青海波の飾りなども、同じ意味が込められています。

 

極楽橋の下

 

さらに二の丸をぐる~っと回ると、空堀跡に出ます。
極楽橋の下。(※石垣マップの10)

 

見た目地味なんで、多分ここを歩く人はあんまりいないと思いますけど、ここもね大事~なポイントなんです。
何が大事って、ここにもいっぱいあるんですよ、謎マーク。
見てるだけでわくわくしますゼ!

 

極楽橋の下の石垣のマーク

 

アッチコッチに点在する謎マーク!謎マーク!謎マーク!
何がしたいんじゃ?ってくらい謎マーク!謎マーク!謎マーク!

 

アート性はないんですけどね。
うざいんですけどね。
しつこいんですけどね。

 

でもなんかい~んですよ♪
ここまでトンがらせちゃうと面倒臭さ通り越して逆にカッコイイ。
「吹っ切れた美学」みたなのがビッカビカに光ってます。

 

五十間長屋と橋爪門続櫓

 

ここだけでしか見られない様々な石垣模様が楽しめる、金沢城二の丸周辺。
マジで面白いですよ。
石垣愛(←?)に目覚められますよ。
菱櫓や橋爪門などの城郭建築もイイですが、これらバラエティ豊かな石垣の表情も絶対に見逃さないでください。

 

次回は金沢城の正門である大手門から河北門までのエリアを見ていきます。
ここは入城の際に通る正規のルート。
それだけに風格あふれる石垣がガッツーンと並んでいます。
もー圧倒されますゼー!

 

 

金沢城公園

住所:石川県金沢市丸の内 1-1

TEL:076-234-3800

ホームページ:金沢城公園公式サイト

 




エリア >> 石川県 > 金沢市 > 丸の内 > 金沢城公園

 

関連タグ >> お城 金沢城 金沢城の石垣 

 


コメントをする

 

 

 

金沢城公園の最新記事一覧

金沢城の石垣 玉泉院丸庭園◆タモリも絶賛の色紙短冊積石垣

2021年12月04日

平成27年に復元が完了した玉泉院丸庭園。藩主の趣味が濃ゆぅ~く反映された、プライベート大名庭園です。ここのね、石垣がスバ・・・

カテゴリー:観光名所

金沢城の石垣 大手門~河北門◆金沢城の誇る防御力と見栄が詰まったエリア

2021年12月01日

金沢城の入口と言えば石川門を思い浮かべる人が多いと思いますが、ノー!ノー!アッチは裏口で、正式な入口は別にあります。それ・・・

カテゴリー:観光名所

金沢城の石垣 二の丸周辺◆謎の記号石垣を解読せよ

2021年11月29日

金沢城の石垣を巡る旅。いよいよ城の中心部である二の丸周辺を見ていきます。ここの眺めがダイナミックでしてね。「水堀+石垣+・・・

カテゴリー:観光名所

金沢城の石垣 石川門付近◆ここが金沢城の石垣の原点

2021年11月27日

金沢城の石垣、前回はいもり堀付近に展示してある石垣のサンプルを中心にレポートしてきました。今回からいよいよ本物の石垣を見・・・

カテゴリー:観光名所

金沢城の石垣 石垣展示◆まずは石垣の基本を学ぶ

2021年11月24日

『石垣の博物館』の異名を持つ金沢城。城内には戦国期~明治時代、カウントの仕方によっては平成時代までを含む石垣がアチコチに・・・

カテゴリー:観光名所

金沢城 鼠多門&鼠多門橋 ついに完成!お披露目初日に行ってきました!

2020年07月25日

長らくお待たせしました(わたしが待たせたわけじゃないけど)、2020年7月18日、鼠多門&鼠多門橋がついに完成しました。・・・

カテゴリー:観光名所

金沢城 旧第六旅団司令部 江戸時代の城跡の中にある洋風建築の謎

2020年04月22日

金沢城の中央、二の丸広場のさらに奥に唐突にヨーロッパ風の建物が現れます。旧第六旅団司令部です。旅団とは陸軍の部隊組織のひ・・・

カテゴリー:観光名所

金沢城 工事中の鼠多門

2020年01月04日

時代は令和になっちゃいましたが、「平成の築城」と称して着々と進められている大事業があります。金沢城の復元工事です。平成1・・・

カテゴリー:観光名所

金沢城 鶴の丸休憩館

2019年10月12日

金沢城公園内で唯一ごはんが食べられる場所。それがここ鶴の丸休憩館です。完成は2017年。それ以前にもここには休憩スペース・・・

カテゴリー:観光名所

金沢城 鉛瓦

2019年07月27日

白亜に輝く金沢城。その「白」を演出する大きな要素は二つ。白漆喰の壁、そして鉛瓦です。鉛。鉄やアルミ、ステンレスなんかと違・・・

カテゴリー:観光名所


 

新着記事

>> 記事一覧