店主たみこの観光案内ブログ

金沢城の石垣 玉泉院丸庭園◆タモリも絶賛の色紙短冊積石垣

2021年12月04日

玉泉院丸庭園

 

平成27年に復元が完了した玉泉院丸庭園。
藩主の趣味が濃ゆぅ~く反映された、プライベート大名庭園です。

 

ここのね、石垣がスバラシイのですわ♪
通常庭園と言えば池とか植栽とか、あるいはワビサビを表現した枯山水とかなんかが主役になるんですけど、ここは異色。
石垣です。
石垣がガッツリ強烈な存在感を主張しています。

 

金沢城マップ

 

まずは金沢城マップで位置を確認。
今回見ていくのは玉泉院丸庭園の奥にある石垣のみ。(※15)
エリアとしてはごく狭いのですが、でもね、すっげー見所がギュッと詰まってんですよ。
構造、意匠性、遊び心、奇抜さ。
他のお城ではありえないエッセンスがいっぱい!
もーホント飽きない。

 

では早速現場の模様を。

 

段々の石垣

 

どう思いますこの石垣?
段々です、段々になっています。
ありえんです!

 

石垣の役割ってのは敵の侵入を阻むバリケードです。
だから下から上まで一直線ってのがセオリーです。
段々なんてあっちゃいけません、そんなのあったら登りやすくなるんですから。

 

つまりこの石垣は戦闘を全く想定してないんですね。
100%趣味で作られた石垣なんです。

 

多彩な石の形

 

積み方がまた精緻なんですわ。
切り石積みの、それも最上級クラス。
多角形!多角形!ひたすら多角形!
ひとつとして同じ形のない多角形!

 

設計図がないとまず無理ですな。
そしてその図面通りに成形する技術がないとまず無理ですな。
途方もない時間と手間と、そして情熱が注ぎ込まれた、職人魂の傑作です。

 

色紙短冊積石垣

 

その極がこちら。
その名も『色紙短冊積石垣(しきしたんざくづみいしがき)』。
日本中見渡してもここ金沢城でしか見られない、石垣史上空前の大傑作です。

 

いや~素晴らしい!
何度見ても素晴らしい!
今すぐ世界遺産に登録して欲しいくらい世界レベルで素晴らしい!!

 

意匠性に優れた色紙短冊積石垣

 

どーよ、この意匠性?
ビシッ!ビシッ!と入り組む直線×直線。
規則性全くナシの100%ランダム。
でも全体としては不思議な統一感があって、なん~とも言えない心地よさ♪

 

美しいわ。
アートだわ。
この石垣作った人、どんだけアートセンスギンギンなのよ!?

 

色紙短冊積石垣の三尊石

 

さらにこの色紙短冊積石垣、よーく見ると縦長の石が3本組み込まれています。
これは滝の表現。
上から下に向けてバーン!と水が落ちる様子を石で表しているんですね。

 

滝なら一直線でいいでね?と思われるかもしれませんが、そこがまた日本庭園の面倒臭・・・奥深いところでして。
これは「三尊石(さんぞんせき)」と呼ばれる、石で滝を組む際のセオリーなのです。
三尊石ってのは三尊仏を模したもので、滝を仏の姿に見立てたものです。

 

大乗寺の三尊仏

 

三尊仏とはこんな感じ。
画像は大乗寺の大雄殿内にある三尊仏です。
中央に釈迦如来、左右に脇侍となる菩薩。
これを滝で表現したのが三尊石です。

 

いやー深いな、色紙短冊積石垣!
仏の姿が隠れてんですよ、ここに。
そこまで考えて鑑賞する人、ほとんどいないと思うけどー!

 

水を落とす樋

 

そんな庭園技法にだけ見惚れちゃいません。
ちょっと上も見てみて下さい。
妙なものがチョコンと突き出ています。

 

これは水を落とすための樋です。
しかもダミーではなく、かつては実際に水がチョロチョロ落ちていたそうです。
つまり本当に滝だったんですね、ここ。

 

埋め立てられた滝つぼ

 

滝があったってことは当然その真下に滝つぼもあったって事になるんですが、今はご覧の通り。
ないです滝つぼ、痕跡すらもないです。

 

ただね、本当はあるらしいですよ、この下に。
現在は埋め戻されてますが、この下を掘るとちゃんと滝つぼの痕跡が出てくるらしいです。

 

なんでここは復元しなかったんですかね?
上から水を落として、下に滝つぼ作って。
その背後に色紙短冊積石垣があって。
い~い画になると思うんですけどね~。

 

金沢城石川門

 

以上で金沢城の石垣特集終わり。

 

いいねー。
やっぱ石垣いいねー。
見ても見ても飽きないねー。

 

「石垣の博物館」と呼ばれる金沢城。
マジ楽しいですから、この城の石垣。
石垣だけにフォーカスして丸1日遊べます。
石垣腹いっぱい食いてーー!!って人は迷わずご訪問ください。



石垣。

 

バンザーイ!

 

 

[関連記事]

>> 玉泉院丸庭園
>> 色紙短冊積石垣

 

 

金沢城公園

住所:石川県金沢市丸の内 1-1

TEL:076-234-3800

ホームページ:金沢城公園公式サイト

 




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