一乗谷朝倉氏遺跡 下城戸跡・上城戸跡 ここがディフェンスラインの最前線
2025年02月01日
戦国期、越前一帯を支配していた巨大勢力朝倉氏。
その本拠地だった場所がここ一乗谷です。
「谷」と名が付く通り谷間に展開された、南北1.5km東西300mほどの細長い土地。
現在は丸々国の特別史跡の指定を受け、今も調査が続けられています。
ここが歴史ロマン満点でね。
歩いてるだけでハートばくばくが止まらない!
そんな一乗谷朝倉氏遺跡のレポートを今回より5回に分けてお届けします。
まずは全体図。
東西に山の尾根、南北に防御壁となる下城戸&上城戸を配し、その間を埋めるように城下町。
天然の地形を巧みに利用した、頑強な都市構造となっています。
ここに全盛期には1万人もの人が暮らしていたんだとか。
多分安全だったんでしょうね。
時は戦国期、それだけの人が集まるからにはそれなりの理由があったはず。
とは言っても、最後は信長に焼き滅ぼされるんですけどね。
でっけー土塁どどーん!!
下城戸跡(しもきどあと)です。
高さ5メートルくらいかな?
この超絶バリケードが一乗谷の入口をガッチリと塞いでいました。
土塁自体は復元、あるいは修復されてますね、形がやけにきれいだし。
ただ感じて欲しいのは規模。
「ここはゼッテー通さねー!!」という強い意志がガチガチに感じられます。
石垣は当時から残る本物。
これまた強烈なデカさ。
大きなものだと2メートル以上にも及びます。
こんなのどうやって積んだんかね?
重さ何トンにもなるだろうし、現代でも運ぶの大変だよ。
そんな巨石をいくつも人力で組み上げて壁にしちゃうって、いやー考えられんわ。
通路はL字に屈折。
枡形と呼ばれる構造ですね。
ここを通ると通路の先は門で塞がれ、敵はドン詰まりの状況に追い込まれます。
そこを弓や鉄砲で一気に殲滅して死体の山を築く、という悪魔の仕掛けです。
えげつねーわなー。
ま、ヤらなきゃヤられるんだから仕方ないんだけどね。
全ては戦国の世の無情です。
石は火成岩。
地質図を見るとこの辺りは堆積岩ですが、ちょっと山間に行くとデイサイト・流紋岩質になるそうなので、多分その辺りから採ってきたものなのでしょう。
と言ってもこのサイズだからね。
また同じ話の蒸し返しになるけど、どうやって運んだんかね?
謎だわ~~~。
土塁の端は道路でバツッと切断、その先は川。
これじゃ簡単に通れちゃうので、本来は川のギリギリまで土塁が切り立てられていたのでしょう。
こんなん越えられんわな。
土塁上からの攻撃をかいくぐりながら駆け上がる訳にもいかんし、足元の悪い川を通る訳にもいかんし、迂回しようにも両サイドは山に挟まれてるし。
どーーもならん。
正に鉄壁のバリケード!
一気に谷の上流側に移動して、今度は上城戸跡(かみきどあと)。
長大な土塁がどどーん!と続いています。
これは明らかに復元土塁。
重機で盛った感むんむんです。
イメージですね、イメージ。
昔はこの場所にこんなのがあったんだよーってイメージを持ってもらうための土山です。
なのでこんなのがあります。
階段。
上からの眺めも楽しんでくださいねーっていうサービスルートです。
ただ見ての通り使用不可。
劣化・崩壊が進んで、今は使っちゃダメみたいです。
登りたきゃ斜面からなんぼでも登れるから問題ないけど。
へりの下部にわざとらしく石垣が組んでありますが、これも多分復元でしょう。
どっかの土木業者さんが積んだ現代製。
当時の土塁はどんな姿をしていたんですかね?
もっと大きかったのか?下城戸のように頑強な石垣が組まれていたのか?あるいは逆に簡素だったのか?
なんとも興味が尽きない!
その脇、南側を見るとユンボが土を掘り掘り。
先にも書いた通りここは国指定の特別史跡、勝手に土を掘っていい場所じゃありません。
って事は発掘ですね。
ユンボで荒く土を掘り、後は手作業でチマチマ掘るのでしょう。
ここから何が出るのかな?
一緒に掘ってみてー!
一乗谷を守った下城戸跡&上城戸跡。
熱量スゴイです。
この一線はまさに生きるか死ぬかのデッドライン。
そんな当時の危機感を、命を削りながらご鑑賞ください。
次回は城戸の内側、雲正寺地区と平面復原地区を見ていきます。
こちらは戦いではなく日常生活の痕跡。
平和な一乗谷での暮らしをひとつずつ追いかけてみます。
関連タグ >> 遺跡 一乗谷朝倉氏遺跡
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