店主たみこの観光案内ブログ

薬王院 温泉寺 「あいうえお」はここから始まりました

2025年04月26日

薬王院 温泉寺の入口

 

湯治客で賑わう山代温泉の一角にシブ~いお寺があります。
その名も温泉寺、名前から分かる通り温泉を守るために建てられたお寺です。
なんでも創建にはあの奈良の大仏建立に関わった超レジェンド、行基(ぎょうき)上人が関わっていると伝えられていますが、ぶっちゃけ怪しい感じ。
実際はどうなんかね?

 

場所は山代温泉総湯のすぐ近く。
歩いて3分程の所にあります。

 

五十音図の顕彰碑

 

寺の入口にはいきなり謎オブジェ。
明覚(みょうかく)上人の発案した「五十音図」を顕彰する碑です。

 

五十音って誰でも知ってますよね?
「あいうえお」「あかさたな」のアレです。
あの並びを最初に考案したのが、このお寺にいた明覚上人と言われています。
いわば日本語発音の基礎を作った人。
それがここから生まれたんだ~って事で、地元では大いに自慢のタネとなっています。

 

温泉寺の山門

 

その先にドガーン!とそびえる山門。
まるで龍宮城の入口のような、ちょっとオリエンタルタッチな意匠。

 

派手だわな~。
今でこそ色があせてシックな印象になってますが、建造直後は相当ビビッドな色彩だったはず。
イメージ的には沖縄の首里城の門のような、あんな感じだったんじゃないかな~?

 

温泉寺の仁王門

 

その派手門をくぐると、再び門。
今度は両脇に金剛力士像を備えた仁王門。

 

こちらの仁王さま、ちょっと変わってまして、両像ともなぜか目線を左に向けています。
普通は互いに真ん中を向き合うんですけどね。
理由は不明。
全く不明。
なんでやろ~?ってしばらく考えたけど、サッパリ分からん。

 

なんでや?

 

観音堂

 

さらに参道を進むと、左手に八角形のお堂。
観音堂です。
慈光観音という、ちょっと聞き慣れん名前の観音さまが祀られています。

 

建物自体はそんなに古くなさそうですね。
30~50年くらい?
そろそろ古みが出始めるかな~くらいの、ミドルエイジな感じ。
もう50年もするとさらにシブみが増してんだろうな。

 

観音像内部の慈光観音像

 

堂内中央には黒味を帯びた観音立像。
左右には位牌や宝塔がズラリ。

 

観音像だけやけに古いね。
なんでもこのお寺には平安時代に彫られた十一面観世音菩薩像ってのがあるらしいんだけど、それがこれなのかね?
そう言われてみると、のっぺりしとた表情は確かに平安頃の仏像を思わせる雰囲気。
光背(こうはい・頭の後ろにある金の輪っか)と水瓶(すいびょう・左手に持ってる花瓶)はなんか浮いた感じがするので、後世の付け足しなのかもしれんね。

 

温泉寺の本堂

 

そのすぐ先に本堂。
これまた龍宮城を連想させる、エキゾチックな外観。

 

美麗だわ~♪
水平性を強調した入母屋屋根と格調高い唐破風屋根。
キレッキレに映えるグリーン・レッド・ホワイト。
エッジのきりっと冴えた精緻な彫刻。
格調高さと雅がまぶしいほどに輝く、目の覚めるような建築です。
素晴らしい~!

 

真っ暗な本堂の内部

 

ただ内部は残念。
狐格子でガシャーンと閉ざされてて、奥の様子が視認不可。
室内も見たいな~。

 

上を見ると菊の紋章。
かつて花山法皇がこの地を訪れたって事なので、それにあやかっているのでしょう。
とは言っても今から1000年以上前の平安時代の話で、現在も皇室と何らかの繋がりを持っているのかは不明です。

 

人口の崖

 

その本堂の斜め前にある崖。
これがまたシブくてね、ワビサビ感全開。
岩・苔・植栽がモザイク状に入り組み、ちょっと禅宗寺院の庭のような雰囲気。

 

この崖、人の手で作られてますね。
ここだけ不自然に岩がゴチゴチ集中してて、明らかに不自然。
恐らく修行のための瞑想場としてデコレーションされたのでしょう。

 

あいうえおの小径へ続く石段

 

脇には裏山へと続く石段。
「あいうえおの小径」と呼ばれる通路です。
何が「あいうえお」かと言うと、段のステップを見ると分かります。
一段一段に「あ」「い」「う」「え」「お」と刻まれたタイルが貼られているのです。
しかもただの「あいうえお」ではありません。
平仮名だったり、カタカナだったり、漢字だったり、ハングル文字だったり、なんや色々。
登る時は足元にも注意しながら登ってみてください。

 

明覚上人を祀ったお堂

 

その終点に建つ小さなお堂。
明覚上人を祀ったお堂です。
中にはボロっち~い五輪塔がちょこん。

 

この五輪塔、鎌倉時代に作られたものだそうです。
って事は1000年近く経っている計算になりますが、その割にはコンディション良好。
多分ずっと屋根の下に置かれ、風雨から守られてきたのでしょう。
もし雨ざらしだったら、きっと今頃はただの石クズになっていたはず。

 

明覚上人の像

 

そんなに広くないけど、その分見所がぎゅっと詰まった温泉寺。

 

最強は本堂だわな。
とにかく建築が素晴らしい!
ただ中が見れんのが残念なので、ぜひ室内もしっかり見学できるようにして欲しいな。

 

時間と体力のある人は、このさらに奥もどうぞ。
四国八十八ヵ所加賀霊場ってのがあって、石仏が延々並ぶ散策路が楽しめます。
半分山登りみたいな道ですが、独特のスピリチュアルな空気が格別ですよ。

 

 

薬王院 温泉寺

住所:石川県加賀市山代温泉4区18−40甲

TEL:0761-76-1155

ホームページ:石川県観光連盟公式サイト

 




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