高岡市万葉歴史館 大伴家持への愛がどっぷり詰まった万葉の空間
2025年01月11日
大伴家持(おおとも の やかもち)熱が強烈な高岡市。
それもそのはず、家持はかつて越中国守(えっちゅうこくしゅ)としてこの地で5年間を過ごしたのです。
その間に詠んだ歌は実に223首!
ゆえに「万葉の町」を自称し、家持をアゲアゲに持ち上げています。
そんな家持LOVE♪の結晶として生まれたのが高岡市万葉歴史館。
家持&万葉集にフォーカスした、超ニッチな展示館です。
館内の構成。
メインは万葉体感エリアと万葉学習エリア。
その奥に企画展示用の特別展示室があって、2階に登るとテラス&庭園。
地下には家持や万葉集に関する資料を集めた図書館。
館外には四季をテーマにした庭。
ぶっちゃけそんなに密度感ありません。
さらさらっと見て回れる、ライトな内容となっています。
展示室へと続くエントランスには万葉衣装がズラリ。
はるか古代へと意識を誘ってくれます。
意外と当時の衣装、派手だったみたいですよ。
現代でも十分通用するようなスタイリッシュさ。
オシャレへの関心は今も昔も同じようです。
その先にある大きな部屋が万葉体感エリア。
いきなりですが、ここがクライマックスです。
ガンガンにカネを突っ込んだ、インパクト満点のデジタルルーム。
相当練りに練り込んで作ったんだろうなってのが、メチャクチャ伝わってきます。
デジタルと歴史って不思議と親和性が高いんですよね。
新と古が織りなす異次元的な感覚。
見事なハイテクパフォーマンスです。
このデジタル屏風なんかもイケてますわ~。
ぱっと見アナログ、でも仕組みはデジタル。
刻々と映像が移り変わり、万葉のロストワールドを展開していく。
誰が考えたんだろうね、これ?
室内装飾、デザイン、機械設計、古代史。
色んな要素がミックスされた複合アート作品。
素晴らしいですわ。
そんな中、ひとつだけ妙に浮いたモンがあります。
大型スクリーンの左脇にどすん。
なんやら岩っぽいけど、近くで見ると安っぽいハリボテ。
これ「越中国庁址碑(えっちゅうこくちょうしひ)」のレプリカです。
オリジナルはここから車で5分程の所にある勝興寺に置かれており、裏に家持の歌が刻まれている事から、わざわざこうしてレプリカを飾ってあるようです。
いやいやいや。
コレ、この部屋じゃないわ。
入口のロビーで良かったんじゃないの?
そこを出ると、またもや通路に万葉衣装の展示。
こちらはその片隅にある染料の説明です。
色ってね、古代ではかなり重要だったんですよ。
良く知られている所では聖徳太子の「冠位十二階」。
あれは色によって位を表現するものでしたが、そのくらい色ってのは重要な意味を持っていました。
そんな色の調合方法が事細かに解説されています。
これ読むと、色を作るのも結構大変だったようで。
そのすぐ先にあるのが万葉学習エリア。
万葉集に関するパネル説明や、資料となる文献などが多数展示されています。
これが情報量が多過ぎでね。
よほどヒマな人じゃないと、全部は読み切れない。
時間のない人は興味のある所だけをピンポイントで拾ってって下さい。
わたし的に一番面白かったのはこちら。
山口千代子さんの復刻万葉衣装。
説明書きによると、当時の衣装再現ってのはかなり困難なんだそうで。
生地、染料、製法など、クリアしなきゃいけない問題が山積みで、完全再現は事実上不可能。
そんな難題に果敢に取り組み、できる限り当時の姿に近づけたのがこの衣装。
執念の作品です。
部屋を出てさらに先に進むと、2階へ上がる階段。
その脇にこんなのがあります。
漏刻模型。
漏刻(ろうこく)とは中国から伝えられた水時計で、古代日本においては最新の技術でした。
この模型はその様子を再現したもので、スイッチを入れるとカクカクと動き出し、最後に鐘をついて時を知らせてくれます。
アナログな仕掛けだけど地味~に面白いので、ここを通った時はちょっと遊んでいってください。
階段を登ると、ゴールの屋上庭園。
ゴチャゴチャ感全開のしつらえで、謎にカオス。
誰が設計したんだろうね、これ?
全然イケてないわ。
何を見せたいのか、どこを楽しんで欲しいのかさっぱり分からん。
多分造園の専門家じゃなく、庭園シロウトの建築業者がなんとなーくソレっぽく作ったんだろうね。
ちょっと残念。
古代の万葉世界をどっぷり楽しめる高岡市万葉歴史館。
時間の流れがゆ~っくり感じられる場所です。
ここを訪れる時は焦らず急がず、じっくりと時間をかけて楽しんでって下さい。
古代の時代背景や大伴家持に興味が出た人は地下の図書館もどうぞ。
色んな資料が並んでて、なかなかに充実してます。
知的アプローチから迫る古代探索ってのも楽しいですよ!
関連タグ >> 美術館・博物館
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