雲龍山 勝興寺 本堂編 隠れた遊び心を探すのが楽しいのじゃ
2024年04月27日
2022年、本堂が国宝に指定された勝興寺。
今回はその本堂の紹介です。
何と言ってもサイズが圧巻。
幅39.3メートル、奥行37.4メートル、高さ23.5メートル、堂々たる体躯です。
国宝の冠に恥じない、まさに王者と呼ぶにふさわしい風貌。
この木組みがまた素晴らしい。
頑強な木材をゴツゴツとドッキング、見てるだけで押し潰されそうなほどの力感。
これがいいのよな~、寺院建築って。
部材ひとつひとつが暴力のような迫力。
も~ヨダレ止まりませんわ♪
この妻下の彫刻なんかもイケイケだわな。
雲様の懸魚(げぎょ)に龍と牡丹。
まるで今にも動き出しそうなほどの躍動感。
脈打つ鼓動までもが聞こえてくるようです。
力入ってるね。
もの凄い情熱で彫ったんだろうな、これ。
職人のエネルギーがギンギン飛んで来るようだわ。
そんな本堂の縁側下、足元を覗くと面白いものが転がっています。
根継ぎの残骸。
左の柱、根元が取り換えられてるのが分かりますかね?
これは根継ぎと言って、痛んだ部分を切り取って新しいのをはめ込んだ跡です。
その切り取られた残骸が右に積んであるヤツ。
別に捨ててもいいんだけど、見学用にわざとこうして置いてあるのでしょう。
あと見て欲しいのが、四隅の軒下。
肉眼ではほぼ視認不可能ですが、地味~に勝興寺の七不思議が隠れています。
それがこの「屋根を支える猿」。
4匹のちっちゃなお猿ちゃんが本堂の大屋根を支えているのです。
これは大工さんの遊びでしょうね。
見えない所に仕込んでヒヒヒと楽しむという、隠された意地悪。
かわいい茶目っ気です。
茶目っ気ついでにもうひとつ。
こちらは縁側の踏み板の埋め木。
埋め木ってのは部材の痛んだ部分をくり抜き、新しい木材をはめ込む修復法です。
それがなぜかひょうたん形。
遊んでますね~。
四角形でバシバシっとやった方が全然手っ取り早いのに、敢えてひょうたん型にしてしまうこだわり。
多分これやった大工さん、普段からおふざけ大好きなんだろうな(笑)。
そしていよいよ本堂内部へ。
一歩足を踏み入れると、そこにはキンキラキンの黄金装飾ワールドが待っています。
阿弥陀さまがおられるという極楽浄土の世界を表現した、ワンダフル・ファンタジー・ランド。
強烈ですよ。
うわ、天上世界ってこんなんか!?みたいな。
さすが仏さん、すげートコに住んでますわ。
この極彩色!
金・黒・紅・青・緑がうにゃうにゃに入り乱れる。
お寺というより王宮のような色彩空間。
実際ね、仏教のエッセンスには古代インドの王族の風習が色濃く取り入れられているのですよ。
お経で表現される仏の世界も、その頃の宮殿の様子をイメージしたものが多いし。
お寺に行くと何となく感じる宮殿的感覚、あれは古代王宮が仏教装飾のベースになっているからなのです。
でーん!と鎮座する、謎にデカいローソク。
高さおよそ2メートル、重さ不明。
檀家の間で繰り広げられた「大きいローソクお供え競争」の最終作品なんだとか。
このデカローソク、なんと現役です。
法要で実際に使われています。
とは言ってもこれ自体に火を点ける訳じゃなく、この上に普通の小っちゃいローソクを乗っけて使います。
意味ねー(笑)。
左奥に目をやるとまた面白いものがひとつ。
勝興寺七不思議のひとつ、「魔除けの柱」。
これの何が魔除けなの?って話なのですが、この柱、なぜか他の柱とは材質が違います。
他は全て欅、これだけ桜。
こうする事でわざと未完成の状態を作り、永遠に完成させないんだとか。
完成させちゃうと次は衰退に向かうって事で、縁起が悪いんだそうです。
いかにも日本人の好きそうな発想ですな。
威厳と人間臭さが共存する勝興寺の本堂。
ここに来たらとにかく内陣です。
その美しさに見とれてください。
仏教世界の荘厳さに触れてください。
極楽浄土の優艶な空気感、思う存分吸いまくってください。
次回は本坊を見ていきます。
こちらも国宝指定、ギンギン華麗なスーパー建築ですよ!
関連タグ >> お寺 勝興寺 国宝
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