雲龍山 勝興寺 本坊前編 このお寺最高のVIP要素が詰まったエリア
2024年05月04日
本堂と大広間&式台、ふたつの国宝を抱える勝興寺。
前回は本堂の方を見てきました。
今回はもう一方の大広間&式台を含む本坊を見ていきます。
本坊とはお坊さんの居住スペース。
一般的には庫裡(くり)と呼ばれる建物ですが、ここの場合は公式の接客スペースや書院も付属しており、ちょっと異質。
独特の構成となっています。
では室内の間取り。
入口を入ると左手に接客用の特上スペース。
右手奥に食事を作ったり食べたりする台所。
さらにその奥に書院部屋が並ぶ、上級僧侶用のスペース。
規模としてはかなり大きく、また接客スペースの格式が異常に高い事から、それ相応の身分の人物の出入りがあった事が伺えます。
どんな人が出入りしてたのかについては後ほど。
まずは入口。
なぜか3つ用意されています。
これ、身分によって入口を分けているからです。
公式の解説がないのであくまで私見ですが、恐らく一番左が藩主かそれに匹敵するくらいスゴイ人専用、真ん中が武士専用、右が僧侶専用として使われていたと思われます。
それよりさらに格下の一般庶民や下っ端の僧になると、入口は裏の勝手口。
えらい理不尽なカースト制度ですが、江戸時代はこれが当たり前でした。
そしてこの一番左の出入口が「式台」と呼ばれる、国宝に指定されている部分です。
館内に入り左手に曲がるとそこは公式の接客スペース。
凛とした空気が張り詰める、格の高い空間が広がります。
雰囲気としてはお寺というより大名屋敷みたいな感じ。
上級の人間のためだけの、特別な場所。
気位というか、プライドの高さみたいな空気がバッシバシに漂っています。
大広間の手前には座敷が3つ並んでいて、こちらはそのひとつ。
大振りな床の間を備えた、高天上の部屋。
いわゆる「控えの間」というヤツです。
客人はまずこの部屋に通され、主人が現れるまで待機します。
本来はここに掛け軸やら仏画やらがズラッと並んでたんでしょうね。
今は何もないのでやや物寂しいですが、往時はきっともっと威厳に満ちた部屋だったはず。
もうちょっと当時の姿をイメージ再現して欲しいな。
そしてメインの大広間。
国宝です。
奥行きが凄まじいわな。
どんだけ遠いのよ、一番向こうまで?みたいな。
お寺の接見室としては明らかに異様。
それもそのはず、実はこの大広間、奥に座るのはお坊さんではなく天皇の使いである勅使を想定しています。
なのでこんなにやり過ぎなくらいゴージャスな仕様になっているんですね。
床の間は一面金箔装飾。
今はハゲハゲ状態ですが、かつてはキンキラキンに光りまくってたはず。
さぞ眩しかった事でしょう。
描かれているのは雲+鶴+竹。
雲は天上、鶴は長寿、竹は繁栄の象徴。
「我は天の者なり、長命にして、豊かに栄える者なり」みたいな解釈になるんですかね。
なかなかにお高くとまっています。
その先にある一段高いスペース。
上段の間です。
ひと目で分かる「特別な人のためだけのスペース」。
ここも勅使専用だったんでしょうね。
でも勅使って、一体何回くらい来たんだろう?
天皇の使いってくらいだから京都からはるばる来るはずだし、そう頻繁に訪れたとは思えない。
100回?10回?5回?ヘタすりゃ0回?
ちょっとその辺、知りたい。
クルっとUターンして戻って、今度は台所へ。
その途中にこんな籠が置いてあります。
これ何じゃ?と言うと、前田治脩(まえだ はるなが・後の加賀藩10代目藩主)がこの寺の住職としてやって来た時に乗っていたとされる籠です。
一面が工芸技術の展覧会。
これでもか?ってくらいコッテコテにデコレーションされています。
今で言えばスーパーカスタマイズされたロールスロイスでやって来た、みたいな感じですかね?
前田家の見栄とマネーパワーがギンギンに光る、いやらしいくらいにいやらしい逸品です。
そしてこの先に台所・・・となるのですが、一旦終了。
続きは次回紹介します。
後半は前半に比べてちょっと地味。
その半面、泥臭さというか生々しい生活臭みたいなものが楽しめます。
そして最後はザ・ゴールド・ルーム!となるんだけど、なるんだけどね・・。
ま、詳しくは次回。
関連タグ >> お寺 勝興寺 国宝
コメントをする
伏木古国府の最新記事一覧

伏木北前船資料館 土蔵編 アブネー望楼の先にあるのは極上空間♪
2024年07月20日
江戸~明治期、北前船で大儲けした秋元家。その屋敷が現在まで残る伏木北前船資料館です。前回は正面にある母屋の様子を見てきま・・・
カテゴリー:観光名所

伏木北前船資料館 母屋編 回転する仏壇に金持ち趣味を見る
2024年07月13日
かつて北前船の寄港地として栄えた伏木。その廻船問屋の屋敷として現在まで残されているのが伏木北前船資料館(旧秋元家住宅)で・・・
カテゴリー:観光名所

雲龍山 勝興寺 本坊後編 宗教の本質って何だろう?
2024年05月11日
ここまで4回に渡ってお届けしてきた勝興寺レポート。今回がいよいよ最終回、本坊の後半戦となります。スタートは台所。その名の・・・
カテゴリー:観光名所

雲龍山 勝興寺 本坊前編 このお寺最高のVIP要素が詰まったエリア
2024年05月04日
本堂と大広間&式台、ふたつの国宝を抱える勝興寺。前回は本堂の方を見てきました。今回はもう一方の大広間&式台を含む本坊を見・・・
カテゴリー:観光名所

雲龍山 勝興寺 本堂編 隠れた遊び心を探すのが楽しいのじゃ
2024年04月27日
2022年、本堂が国宝に指定された勝興寺。今回はその本堂の紹介です。何と言ってもサイズが圧巻。幅39.3メートル、奥行3・・・
カテゴリー:観光名所

雲龍山 勝興寺 境内後編 日本の仏教建築ってやっぱ美しい~
2024年04月20日
国宝・重文がズラリと並ぶ勝興寺。前回はそんな入口から境内までの様子を途中まで見てきました。今回はその続きからです。まずは・・・
カテゴリー:観光名所

雲龍山 勝興寺 境内前編 七不思議は果たして不思議なのだろうか?
2024年04月13日
奈良時代、越中国の国府(今で言う県庁)があったと伝えられる伏木。そのまさに推定地とされる場所に、室町時代から続く大古刹が・・・
カテゴリー:観光名所
- 薬王院 温泉寺 「あいうえお」はここから始まりました
- 餃子のあひる 餃子定食 この餃子、エンドレスに食えるわ~♪
- 栄谷丸山横穴群 コウモリに注意してご鑑賞ください
- 富山市郷土博物館 復元模型のテクノな仕掛けがイカスのよ!
- 富山城跡 千歳御門~日本庭園周辺 庭園の読み解き、楽しいわ~♪
- 富山城跡 水堀~西の丸 石垣の詳細がよー分からん、謎多きお城
- 羽咋市歴史民俗資料館 渚の正倉院 氣多大神宮展 今しか見られない貴重なお宝がいっぱい
- 香満居 豚トロ黒胡椒炒め定食+担々麺 ボリュームも美味さも文句ナシの街中華
- 一乗谷朝倉氏遺跡 中の御殿跡・諏訪館跡庭園 こんなカッコエエ庭に憧れるわ~
- 一乗谷朝倉氏遺跡 南陽寺跡庭園・湯殿跡庭園 ちょっともったいないなココは
- 一乗谷朝倉氏遺跡 朝倉館跡 ここにはロマンが眠っています
- 一乗谷朝倉氏遺跡 雲正寺地区・平面復原地区 今も残る生々しい生活の痕跡
- 一乗谷朝倉氏遺跡 下城戸跡・上城戸跡 ここがディフェンスラインの最前線
- とんかつ勝亭 立山ロース定食 この肉、味もボリュームも極上だわ~♪
- 加賀大観音 怖いです、マジで
- 高岡市万葉歴史館 大伴家持への愛がどっぷり詰まった万葉の空間
- 武家屋敷旧内山家 古き日本のノスタルジーを今に残すシブ~いお家
- 兼六園 鶺鴒島 見ただけじゃ絶対に気付けない隠されたストーリーを読む
- 南新保C遺跡現地説明会 詳しい事後検討の報告を求ム
- さぶろうべい 親とり白菜鍋 素材の味が素朴に生きるそのまんまの味