上田城 城内◆まだまだいっぱい詰まったお城の魅力を発掘
2020年12月02日
ここまで3回に渡ってお伝えしてきた上田城。
今回が最終回となります。
最後はこれまでに紹介し切れなかった城内の様子をレポートします。
まず真っ先にご紹介したいのがこちら、西櫓。
二層二階建て。
腰回りに板張りを巡らせ、軒下は白漆喰となっています。
シンプルだけどシックな造り。
この建物はこのお城唯一の、江戸期からそのまま残ってきた建物。
先に紹介した東虎口にあった南北櫓も江戸期の建物ではありますが、2度移築してますので、厳密な意味では江戸期「そのまま」ではありません。
本当に江戸時代から同じ場所・同じ姿でずーっと残ってきたのはこの西櫓のみなのです。
なのでやっぱ違いますわね、風格が。
いい意味でボロい。
江戸時代の人もこれと全く同じ眺めを見てたのかなー、なんて考えるとものすごく感慨深くなります。
で建物をひとしきり楽しんだら、今度は足元を見て欲しいのですよ。
分かります?通路がクランクになってるの?
これ、枡形ですね。
本来はここに東虎口と同じような櫓門が建っていて、前面・側面・背面から敵を集中攻撃できる構造になっていたのです。
その痕跡は今も残っており、かつてあった櫓門の礎石が確認できます。
簡単に見つかりますので、興味のある人は探してみてください。
その西櫓の下に細い階段がありまして、そこをトントン降りると尼ヶ淵(あまがふち)に出ます。
淵って割には普通に地面ですが、かつてはここにモロに川が流れてて、文字通り「淵」となっていました。
それが一番良く分かるのがこの崖。
どう?えぐれてるでしょ?
これは明らかな川の浸食。
まさにこの足元のラインまで川が来てたんですね。
この川はそのまま天然の水堀となり、上田城を守る重要な防衛線となっていました。
その反面侵食も激しく、江戸時代に度々補強のための工事なんかが行われたそうです。
今も残る石垣がその工事の大変さを物語っています。
ご覧の通り高さも面取りもガッタガタ。
かなり無計画に補強されてきた様子が読み取れます。
この川の浸食と城の保全というのは本当に大問題だったそうで、1732年にはついに崖が大崩落を起こし、大規模な修復・補強工事が行われています。
でも石工や石材が足りず、結局中途半端なままに終わったんだとか。
やっぱ自然にゃ勝てませんな。
その尼ヶ淵をずっと進んで左に折れると、細い通路に出ます。
ここはかつての水堀跡。
今はけやき並木になっています。
この直線通路、一時期電車の線路が通っていたそうで、その名残りが画像の通路右側。
これ、昔の駅のホームの跡なんです。
だからここだけちょっと段が高くなってるんですね。
その並木道を上がると、土塁上になぜか唐突に鐘楼があります。
その名も平和の鐘。
これはかつてあった「時の鐘」の復元です。
時の鐘ってのは、昔上田にあった時を知らせる鐘です。
それが太平洋戦争の軍事物資として接収されてしまい、残された建物も時と共に消えてなくなりました。
やがて戦争が終わり、人々の生活が少しずつ日常に戻っていくと、この失われた鐘を復活させようという機運が盛り上がってきました。
そうして再建されたのが、この平和の鐘なのです。
名前にある「平和」には「戦争のない平和な世界を創っていこう」という願いが込められているんですね。
その平和の鐘がある土塁を降りるとすぐ下にあるのが上田市立博物館。
本館と別館があり、本館では真田氏の活躍した中世から、江戸時代までの資料がずらっと展示されています。
鎧やら屏風やら色々。
わたしこんなん好きでね~。
やっぱカッコイイですわ、鎧とか刀とか。
かつてこれ着て戦ってたんだなーなんて考えると、なんかわくわくしません?
一着欲しいー!!!
その向かいには同じ博物館の別館。
こちらでは上田城に関する(ほぼ)立体映画的なものが見られます。
この臨場感がスゴイのですよ!
うおっ!迫る!迫る!みたいな。
ただ3Dのゲームとか映画が苦手って人はちょっと避けた方がいいかも?
あまりに生々しすぎて、そんなん平気なわたしですら時々うっ!となる瞬間ありましたからね。
臨場感高過ぎるってのも考えものですな。
上田市立博物館を背にすたすた進むと水堀が現れます。
本丸を囲う水堀ですね。
ここで見て欲しいのが向こう岸の形。
一部分、不自然にへこんでいる場所があります。
これは「隅落とし(すみおとし)」と呼ばれるもの。
このへこみは、わざわざこんな形になるように作ってあります。
陰陽道の考えで鬼がやって来る方角というのがあります。
俗にいう鬼門というヤツで、北東がそれに当たります。
そして鬼って頭にツノが生えてますよね。
ツノ=角、の共通項から、鬼は角を好みます。
そこで北東方向にある角、この場合は四角形の形をした本丸の右上部分って事ですが、そこをバスッと切り落としちゃうのです。
それが隅落としです。
こうする事で鬼の進入経路を遮断し、城内への災いの招来を防ぐんですね。
妄想的なおまじないの類ではありますが、今でも結構信じられていて、わたしも自分の部屋の鬼門と裏鬼門の窓際にお守りをぶら下げています。
おかげで。
特に何もありません。(←お守りのおかげ?)
最後に本丸。
ここは現在ただの広場に石碑がチョロチョロっと置いてあるだけになっています。
あまりに何もなさ過ぎてちょ~っと寂しい。
でもこの場所、昔は櫓が7棟、櫓門が2棟建っていたそうです。
軍事施設ぎゅうぎゅう状態。
カッコ良かったでしょうね。
その頃の本丸の姿、見てみたいな~~!!!
以上、4回に渡って上田城の様子をレポートしてきました。
今思い出しても全てがうきうきわくわくのワンダフルゾーン。
ここは絶対来といて損はないですよ!
一番の見所は何と言っても最初に紹介した東虎口櫓門ですかね?
まずはここを攻めて、その後はひたすら城内をぶらぶら散策して。
疲れたらひと休みして。
飽きたら招魂社行って忍者修行して。(←?)
どうぞ思いっ切り楽しんでいってください。
戦国ロマンワールドがあなたのお越しをお待ちしてますよー!!!
関連タグ >> お城 上田城
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