店主たみこの観光案内日記

石川県立伝統産業工芸館

2018年12月15日

石川県立伝統産業工芸館

 

工芸王国と称えられる石川県。
その裏には江戸時代より工芸を厚く保護してきた加賀藩の政策が強く影響しています。

 

徳川家に次ぐ大藩であった加賀百万石。
その巨大過ぎる石高ゆえに、幕府からは常に厳しい警戒の目が向けられていました。
実際に身に覚えのない因縁をつけられ、お家取り潰しの危機にさらされた事件もあり。
大藩ゆえ安泰、という訳では決してありませんでした。

 

そんな幕府からの警戒をかわすために取られたのが文治政治。
武力強化などとんでもない!文化・経済の発展にしか興味がありませんよ、という「ポーズ」を前面にアピールしたのです。

 

その一環として取り組まれたのが、工芸分野の振興。
金沢城内にあった武器・武具の修理メンテナンス工房「御細工所(おさいくしょ)」を工芸製品の製造工場へと変え。
民間技術を取り入れるため、一般から優れた技術者をどしどし登用し。

しまいには専門の奉行まで立ち上げてしまうなど、藩を挙げた全面的なバックアップ体制を取りました。

その結果加賀藩の技術水準は大きく向上。
現在の工芸王国石川へと繋がる礎となりました。

 

ところで石川県の伝統工芸と聞いて何を思い浮かべますか?
輪島塗?九谷焼?加賀友禅?
色々あるとは思いますが、それらをまとめて見られる場所があります。
それが石川県立伝統産業工芸館。
兼六園のすぐそばにあり、多岐に渡る県内の工芸分野のサンプルが一堂に集められています。
その品目は全部で36種。
ざっと羅列すると。

 

・加賀友禅
・金沢漆器
・金沢表具
・郷土玩具
・牛首紬
・珠洲焼
・竹細工
・琴
・加賀繍
・大樋焼
・鶴来打刃物
・三弦
・能登上布
・茶の湯釜
・金沢仏壇
・太鼓
・金沢和傘
・金沢箔
・七尾仏壇
・銅鑼
・手捺染型彫刻
・和紙
・美川仏壇
・加賀獅子頭
・九谷焼
・桐工芸
・七尾和ろうそく
・加賀提灯
・輪島塗
・檜細工
・加賀毛針
・加賀水引細工
・山中漆器
・加賀象嵌
・加賀竿
・能登花火

 

どうです?
いくつご存知ですか?
正直、わたしもえ?こんなのもあるの?みたいのがあって、意外な発見に驚かされます。

 

館内は二階建てになっていて、一階は無料スペース。
売店がメインで、お土産用の工芸品グッズなんかが購入できます。

 

二階は有料の展示スペース。
全部で4つの展示室で構成され、第一・第二が常設展示、第三・第四が企画展示用として使われています。

 

建物の規模はそれほど大きくなく、その分高密度にぎっしりと展示品が詰められており、なかなかに見応え満点。
それぞれの展示品に付けられたキャプション(説明書き)も分かりやすく、お、これカッコいいな!みたいな感じでぐいぐい引き込まれます。

 

ちなみにこの建物、元々は石川県立美術館として建てられたもの。
移転に伴い、現在の石川県立伝統産業工芸館として再整備されました。
設計は谷口吉郎(たにぐちよしろう)。
ホテルオークラなんかの設計も手掛けた、金沢出身の有名な建築家です。
コンセプトは「地域に根差した建築」。
エントランスには金沢城の石垣にも使われている戸室石をタイルにして貼り付け、周囲の壁面は少し下げて防雪対策を。
さらに建物のサイズを町家のスケールに合わせるなど、随所に「金沢」を意識したデザインが盛り込まれています。



工芸王国石川の全貌が見られる石川県立伝統産業工芸館。
工芸に興味がない人にもきっと面白い場所だと思うので、もし兼六園まで来る機会があるのならぜひ立ち寄ってみて下さい。
工芸から見る石川県ってのもなかなか面白いですよ!

 

 

石川県立伝統産業工芸館

住所:石川県金沢市兼六町 1-1

TEL:076-262-2020

 




エリア >> 石川県 > 金沢市 > 兼六町

 

関連タグ >> 美術館・博物館 いしかわ生活工芸ミュージアム 

 


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