茶和庵 ナポリタン このケチャップまみれな味こそ下町の味の大王道
2022年08月23日
この日は小松駅に用事があってチョイとお出掛け。
せっかくだしメシ食ってから帰るべと、メシ屋を検索。
googleをイヂイヂして見付けたのは、茶和庵(ちゃわあん)というちっちゃな個人の定食屋さん。
車を走らせ数分で到着。
取り合えずカウンターに座ってメニューを拝見。
リストされているのは
・おまかせランチ
・ちゃわあんランチ
・ナポリタン
・カレーライス
の、四品のみ。
凄まじいまでの潔さ(笑)。
多分”おまかせ”と”ちゃわあん”のふたつがメインっぽいんだけど、なぜかハートを思いっ切りつかんだのは”ナポリタン”。
こちらを大盛りにして食べたおします。
ナポリタン。
麺はしっとりしなやか。
芯のないクテクテ系で、もっちりちゅるりんと唇を滑る。
味わい伸びやかでみずみずしく、いい意味で緊張感のない軽い食味。
そこにべっちょりからむケチャップ。
トマトの甘みと酸味が味にぐっと厚みを付け、ドロ感がジャンクに味を暴れさせ。
大人のお子様心(?)をグイグイくすぐるレトロな美味さで、どっばどばに口の中を舐め回す。
トッピングのベーコン。
肉質ぎゅっと詰まってて、凝縮感強烈。
乾いた肉の味にぎっとりした脂の甘みを交え、強重い味をずっしりと落とす。
これがライト&ジャンクなパスタとよー合うのですわ。
パスタは軽くみずみずしく、ベーコンは重く乾いてて。
パスタはジャンクで、ベーコンも脂ぎとぎとで。
そんな補完と融合をない交ぜにしながら、ひとすすりひとすすり充実感いっぱいの美味さを積み重ねていく。
付属のサラダ。
キャベツしゃっきしゃき。
小気味良い歯応えでバリバリ砕け、冷たい水気をびゃっとしみ出し、青々しい植物香をふわっと湧き立たせる。
そして酸味キレッキレのドレッシング。
冷野菜の緊張感をさらに引き締め、シャープな後味を鮮やかに残す。
完食。
茶和庵の”ナポリタン”。
美味かった。
なーんのヒネりもないこのベタな味がひたすら美味かった。
子供の頃散々食ったこの味、やっぱナポリタンは永遠のソウルフードですわ♪
ごちそうさま。
[参考]
・ナポリタン:850円
・大盛り:150円
茶和庵
住所:石川県小松市園町ロ 46-1
TEL:0761-24-0780
加茂横穴墓群 興味のある人は墓穴の中までどうぞ
2022年08月20日
山肌にボコボコと口を開ける横穴。
知らずに行くとちょっと気持ち悪い場所、それが加茂横穴墓群です。
いや実際ね、不気味なんですわ。
ここはこんな場所って分かってて行っても、なーんかザワザワしてくる気持ち悪さ。
そういう所はちょっと苦手って人は止めた方がいいかもしれません。
入口の目印はこちら。
田舎ロードをテレテレ走ってると鴨城跡の看板が見えてくるので、この脇道を入ってってください。
突き当りで右側の未舗装路に突入すると、そのすぐ先が入口になります。
車は入口前に数台程度なら停められます。
既に名前が出てますが、こちらは鴨城跡への入口でもあります。
多分加茂横穴墓群よりもソッチ目当てで来る人の方が多いでしょう。
山への入口。
見ての通りこの先はガッツリ山道となります。
ハッキリ言ってね、傾斜がエグイですよ。
ほぼ登山なんてレベルでなく、ガッチガチの山登り。
ただ現場までの距離はそんなに遠くなく、鴨城跡まで行くならまだしも、加茂横穴墓群までなら10分もかからないレベル。
そんなに根性ないんだけどー・・って人でも多分大丈夫です。
登り始めて程なくすると、道が二手に分かれます。
あれ?どっち行ったらいいの?と思わず当惑。
結論から言ってどちらに進んでもオーケー。
右が本道で左は行き止まり。
取り合えず行き止まりの左から見ていきます。
30メートルほど進むと突き当りに穴。
最初の横穴墓です。
見ての通り、状態はかなり良好。
掘られたのは今から1300~1400年前頃と言われていますが、現在も穴の輪郭がはっきりと残っています。
中は大人ひとりが横になれるかなれないかギリギリくらいの広さ。
奥行はそれほどありません。
改めて先ほどの分岐路に戻って右側の道を進むと、今度は連続して穴・穴・穴。
ちょっとした異世界状態。
なんか来ちゃいけない所に迷い込んでしまったような、不気味~な空気に包まれます。
分かってんですけどね、この穴が何か。
別に害になるものでもヤバイものでもないってのは分かってんですけどね。
でもなん~~~か不気味。
振り向いたら後ろに変なモンいるんでねえの?みたいな不気味さ。
穴のコンディションは色々。
いいものになるとこんな感じで今なお当時の輪郭がそのままクッキリ残っています。
コレ、何使って掘ったんですかね?
古墳時代後期頃だから、まだそんなに金属器なんて普及してないはずだし。
やっぱ石かな?
謎じゃ~~。
中にはもちろん崩落してしまっているものもあります。
これなんかそう。
一体ここにどんな横穴墓があったのかはもう永遠の謎。
ゆくゆくは今残っている横穴墓も全部崩れちゃうんでしょうね。
1000年以上も残ってきたものだから、まだ100年や200年でどうこうって事はないだろうけど。
後世のためにも、今の内に何か対策しとかないといけないかもしれませんね。
ちょっと地面をアップ。
地質的にはこの山、珪質泥岩という石でできています。
珪質泥岩とは海の底に溜まった泥(シリカを多く含む)が固まったものです。
石の年齢にもよりますが基本的に柔らかく、それゆえに古代の人でも容易に成形することができました。
エッジが残るほどきれいに加工できているのは、そんな石の性質によります。
興味があったら試しにちょっと爪で引っ掻いてみて下さい。
結構簡単に傷が付きます。
そのままひたすら登ると、メッチャきれいな横穴墓が現れます。
22号墳です。
この加茂横穴墓群の中で最もきれいな状態を留めていて、建造当時の様子を今もリアルに残しています。
スゴイね。
とても1000年以上経っているとは思えない生々しさ。
と同時に、こんなのを1000年以上も前の人が作ったという技術力の高さにも驚きです。
身をかがめれば中に入ることもできます。
服が汚れても気にならない人は入ってみてください。
内部はアーチ天井になっていて、なかなかの広さ。
ただお墓ですんでね、あんまり気持良くはありません。
なんとなーく気分だけ味わったらとっとと脱出してください。
ちょっとホラー感漂う加茂横穴墓群。
山登り無理~、怖いの無理~って人は諦めてください。
当然訪れる時はそれなりの動きやすい格好で、ついうっかりコケても大丈夫なよう、汚れてもいい服装でお越しください。
体力に自信のある人はこの上にある鴨城跡もどうぞ。
曲輪や空堀といった中世山城の遺構が待っています。
特に本丸から見下ろす眺めは最高ですよ!
加茂横穴墓群
住所:富山県高岡市福岡町加茂
黒谷城跡 油断して登ると最後に戦慄のイベントが待っています
2022年08月16日
ヤバさ満点のお城、黒谷城跡。
場所は加賀の山奥。
人の往来は限りなくゼロ。
車で数分ほど走れば山中温泉がありますが、この付近まで観光客が来ることはまずありません。
だってコレよ。
入口をガーン!と封鎖された廃トンネル。
心霊スポット感むんむん!
実際ね、昼なら全然いいけど、夜来たらマジでシャレになりません。
憑かれます。
間違いなく憑かれます。
遊びでも夜は来ないように!
お城への入口はその廃トンネルの右手、このヘコたれまくった階段です。
階段と言ってもほとんど埋没してしまってて、ほぼ土の斜面。
唯一、垂れ下がっているトラロープだけが目印となっています。
勇気いるよ~。
おい、おい、おい、こんなトコ突入して大丈夫なのかよ?みたいな。
勇気のある方のみ、覚悟を決めてどうぞ。
そこから所々四つん這いになりつつ、ひたすらよじ登り続けると、右手に巨大な縦溝が現れます。
竪堀(たてぼり)です。
竪堀とは敵の移動を封じるための溝です。
これが深いのよ、しかも長いのよ。
掘ったのかよ?これ手で掘ったのかよ?と言いたくなる規模。
あまりのサイズに思わず唖然とします。
そのまま進むと今度は大堀切(おおほりきり)。
堀切ってのは敵の侵入を遮断するための溝です。
これがまたね、バカみたいにデカいんですわ。
ざっと見、高低差5メートルはある感じ。
これも当然掘ったんですよ人の力で。
地獄の労働量だな・・(怖)。
そのバカデカい大堀切をエンヤコラと登り、右側に進むと小さな広場が現れます。
曲輪(くるわ・広場)です。
恐らく大堀切右側を守る部隊の待機場所だったと思われます。
背後には1本の細道。
攻め落とされた際の退却路でしょう。
そのまま進むと山中城に繋がるそうですが、真偽は不明。
ヒマな人は確認してみてください。
今度は反対の左側を前進。
すると突然、大きな鉄塔が出現します。
物見櫓ですね。
戦闘時はここに登り、上空から敵の動向を探ったのです。
・・・ウソです。
お城とは全然関係ありません。(当たり前だけど)
さ、次イキましょ!
ここから先は尾根伝いの道となり、その途中途中にお城の痕跡が現れます。
そのひとつがこちらの段々。
トラップとしてはごくささやかなものですね。
せいぜいつまずかせたり歩きにくくする程度。
とは言え、戦闘を想定して考えるとかなり厄介です。
足元を気にしつつ、同時に飛来する攻撃にも対応しなければなりません。
間違ってコケたりなんかすれば、思いっ切り的にされて集中砲火!
地味だけどヤバいトラップです。
その先を進むと明らかに両端を削られた狭路が出現。
土橋(どばし)です。
こうして足場を狭めることによって敵の隊列を強制的に細くし、そこを狙い撃ちにするのです。
さらにこの土橋、仕掛けは足場だけではありません。
土橋直下にももう一発トラップがあります。
竪堀どーん!
これも敵の足場を奪う仕掛けです。
つまり上にも下にも面倒臭ーい罠が待っているんですね。
イライラするでしょうね~、敵。
さっさと前に進んで城を落としたいけどアチコチに鬱陶しいトラップがあって、その度に足止め喰らって反撃されて。
削られて削られて、次にやられるのは自分か?なんて恐怖に怯えながら戦って。
そんなシーンを想像しながら現場を眺めると、結構ブルっとキます。
そこからしばらく行くと曲輪跡。
草木が生えてて少々不明瞭ですが、ほんのり平地になっているのが確認できます。
ただかなり狭くてね、待機できてもせいぜい10人程度。
そんなに重要な拠点ではなかったようです。
それでも曲輪としての防備はしっかり施されており、それは出入口に見られます。
それがこの堀切。
ハッキリと急傾斜になっているのが分かります。
今でこそちょっと傾斜キツめのスロープって感じですが、恐らく昔はもっと露骨な「段差」になっていたはず。
当然簡単には乗り越えられず、敵がドン詰まってモタモタやってる所をズババー!と狙い撃ち。
見た目単純なんですけどね。
何気に少人数でガッチリ守れる効果的な仕掛けです。
その先にもトラップ。
切岸(きりぎし)です。
切岸とは人工的に削った急斜面です。
見ての通り、敵は斜面中腹にある細道を通るしかありません。
お城側はそれを見越して斜面上に兵を潜ませておき、タイミングを見計らって隊列の横腹を一斉攻撃。
反撃したくても城兵は手の届かない斜面の上にいるので、一方的にやられるだけ。
成すすべなく、斜面の下へコロンコロン。
完全にバンザイです。
そこからしばらく行くと、いきなり視界がズバー!
遥か向こうの山まですっきり見通せる眺めのいい場所に出ます。
どうもこの辺りがお城の境界みたいで、この先にはもうお城を思わせる痕跡は見付かりませんでした。
って事でUターン。
攻城終了という事で、帰ります。
が、その途中で想定外のアクシデントが発生!
帰り道が・・・分からん・・。
遭難した・・・・(汗)。
しばらくウロチョロしたけど、どこをどう通って来たのかさっぱり分からず、完全に迷子。
道を聞こうにもここは山の中。(そもそも道を聞く相手もいないけど)
ただ幸いにも携帯の電波が届いていたので、google mapで現在位置を確認しつつ方向だけを頼りに藪の中を力ずくで突き進みました。
間違っていない、方向的には間違っていない、と信じつつ進みました。
その途中。
偶然空堀発見~♪
それも二連になってる手の込んだヤツ。
ふっふっふ・・・転んでもタダじゃ起きねーゼ。
これぞザ・山城クエスト魂!!!
まあその前に遭難すんなって話なんだけど(笑)。
その後元来た場所に無事に生還。
なん~~~とかガチの遭難にはならずに済みました。
い~やヤバかった。
マジでヤバかった。
未整備の山城には何度も行ってるけど、遭難したのは初めてだわ。
こんな事もあるんだな~(怖)。
スタートもラストも恐怖続きだった黒谷城跡。
ここを登る時は本当に気を付けてください。
自分がどこをどう通ったかしーーかり記憶しながら進み、間違っても遭難しないよう十分ご注意を!
黒谷城跡
住所:石川県加賀市山中温泉東町(※このマップのピンの位置は本来の場所からちょっとズレてます)
関連タグ >> お城
明治の館室木家 母屋内後編 この庭が面白ぇ~♪♪
2022年08月13日
江戸時代から続く名家の豪邸、室木家。
前回は母屋の半分を見てきました。
今回は残り半分を見ていきます。
まずは庭。
簡素でコンパクトな池泉式庭園なんですけどね、しみじみとした味があるんですわ。
情緒にあふれてて、ワビサビ感全開!
まず見て欲しいのが池の形。
この形、両翼を広げた鶴の姿をイメージしています。
なんで鶴かって言うと、そりゃ長寿の象徴だから。
何気にここまでで鶴、2回登場してますが、覚えてますか?
1回目は前々回見た塀垣の下の石垣。
2回目は前回見た仏間の前の部屋の欄間。
鶴、好っきゃの~(笑)。
さらにこの池の中央部分、ここにも面白いものがあります。
それがこの亀頭石。
にょきっと突き出た姿がなんとなーく亀の頭に見えるでしょ?
鶴亀と言えば永遠と繁栄のシンボル。
つまりこの池には家の永遠の継続と発展の願いが込められているのです。
さらに池の左上にはこんな石が。
三尊石(さんぞんせき)です。
三尊石とは、お寺なんかでよく見掛ける三尊像(3体セットの仏像※)を石で表現したものです。
こうして庭に仏の加護を呼び込み、家を守ってもらうんですね。
(※釈迦三尊像(文殊菩薩→釈迦如来→普賢菩薩)、阿弥陀三尊像(勢至菩薩→阿弥陀如来→観音菩薩)、薬師三尊像(月光菩薩→薬師如来→日光菩薩)など)
傾斜にも注目。
横から見ると手前が低く、奥が高くなっているのが分かります。
立体感の表現ですね。
この庭、奥行が短くてはっきり行ってドン詰まり。
その狭さをこのように高低差でカバーしているのです。
奥を高くする事で遠近感が生まれ、実寸以上の広さとなって目に映るのです。
もう一発目に付くのが、この2本の杉。
間には敷石が並べられ、明らかにこの先へと誘導しています。
でもそこには何もない。
ここ、昔は祠があったんじゃないですかね?
いわゆる屋敷神というヤツ。
じゃなきゃこの行き止まりの敷石の通路はどう考えても不自然。
とは言え現場にはなんの案内も痕跡もなく、真相は不明。
どうだったんだろうな~~~???(悩)
再び室内に戻ると、今度は長い廊下。
庭側にはガラス張りの戸板がずらーりと連続。
このガラスがまたタマランのですわ。
画像じゃ分からんですが、表面がうねうねにうねってんのね。
だからここから覗く景色もほんの~りうねって見えて、なんとも深い味わい。
パーフェクトに真っ平らな現代ガラスには出せない、古い時代のガラス独特の風情です。
その長廊下から見える庭の眺め。
こちらは先に見た池泉式の庭とは違って、石と植栽だけで構成された枯山水庭園になっています。
手入れされていないので少々荒れていますが、それでも日本文化の匂いがむんむん漂うシブ~い空気。
いいな~、枯山水。
こんな庭のある家での生活、憧れますわ。
維持にカネかかるから貧乏人にゃ絶対無理だけどな。
長廊下の途中には茶ノ間と呼ばれる大きな座敷がどん!
今で言えばリビングルームみたいな部屋ですかね。
現在は室木家の大物ぶりを紹介する様々な資料が展示されています。
やっぱスゴかったのね、室木家。
二代に渡って代議士を勤め、地域の顔役として働き、八面六臂の活躍をしてたそうで。
しかもメッチャメチャ勉強までしてて。(難しそうな蔵書がいっぱい展示されています)
もうホント、一般庶民とは全然別次元の世界の中に生きてた人なんだなーってのがひしひしと伝わります。
寝転んでマンガ読んでゲラゲラ笑ってるわたしとは根本的に思考のレベルが違うわ・・。
その先を進むと右手に階段。
ここから2階に上がれます。
なんとなーく粗末な印象を受けるのは、この階段、家主が使うものじゃないから。
この上は使用人が住む部屋になっていて、いわば連絡通路みたいなもの。
だから通れりゃいいわ的なテキトーな作りになっています。
その先の2階なんだけど、狭っ!
いきなり閉塞感全開。
天井は低いし、壁は汚いし、1階で散々見てきたゴージャス感とは真逆の世界。
使用人たちはこんな中で日々寝起きしていたのです。
ツライね~、いつの世も下の身分の人間は。
上の人間が豪奢に生活してわっはっは♪と笑っている影で、下の人間はこうして肩を寄せ合いながら細々と生きているのです。
ガンバレー!下の人間ーー!!
その隣の屋根裏部屋。
これもまた窮屈!
なんか物置きっぽい感じですが、多分ここにも人が寝起きしていたと思います。
これだけの屋敷なのでね、使用人も相当数いたはず。
先に見た部屋だけじゃ狭いから、あぶれた人は恐らくここで寝ていたのでしょう。
見るからに夏は暑く、冬は寒そう。
キツかったろうな~!
お金持ちエネルギーをギンギンに放つ豪邸、明治の館室木家。
いやー立派ですわ。
惚れ惚れしますわ。
涙出そうですわ。
ここを訪問する時は、そんなザ・お金持ちパワーを存分に味わってください。
お金持ち。
バンザイ。
明治の館室木家 母屋内前編 仏間ストリートの荘厳さに恍惚
2022年08月09日
江戸時代からこの辺り一帯の大元締めみたいな家系だった室木家。
現在公開されている建物は、そんな室木家が明治期に入って建てた屋敷です。
圧倒的なボリュームを誇る大豪邸!
前回はそのエントランスから入って敷地、そして母屋の外観までを見てきました。
今回はいよいよ建物内に入ります。
まずは屋敷の間取り図。
入口を入るといきなり黒い部屋(台所)。
主に使用人が使っていた部屋です。
そこを左に折れると広間、さらに左に進んで仏間、さらに左が上座敷・中の間・下座敷。
そこから庭を眺めて裏手に回って、蛸の間・茶の間・納戸を見て、最後に2階、とそんな流れになります。
わたしの中で特に刺さったのは仏間と庭ですかね。
もう思いっ切りハートずきゅん!でした。
では早速見ていきましょう。
最初は台所。
ザ・ブラックな部屋。
黒の理由は見ての通り囲炉裏ですね。
この囲炉裏から出る煙にいぶされて真っ黒けっけになったのです。
そしてこの囲炉裏、今でも毎日焚かれています。
絶えず煙でいぶし続ける事で、茅葺屋根を腐食や虫から守るんですね。(※囲炉裏の煙には防腐・防虫効果がある)
囲炉裏の上はこんな感じ。
真っ暗でなんも見えませんが、天井に竹が張られています。
この竹の隙間を通って煙が天井裏へと抜け、茅葺の屋根全体をいぶすのです。
屋根裏も多分真っ黒なんだろうな。
きっと真っ黒クロ助でいっぱい。
トトロもいるかも?(←何の話?)
その隣には広間。
この屋敷一番のでっかい部屋がばーんと控えています。
中央付近にはまたもや囲炉裏。
ここでなんか変な違和感感じません?
部屋の壁や天井、妙ぉ~にきれい。
先に見た部屋と違ってどこもススで汚れておらず、明らかに囲炉裏を使っていた形跡がない。
じゃあなんなんだよこの囲炉裏?フェイクか??って事なんですけど。
これについてはこの館の案内人も分からないそうです。
この部屋の天井がまた美しいんだ~♪
欅(けやき)で作られた豪奢な梁がガシガシガッシーン!
ほんのりカーブを描いていて、漆でつやつやに仕上げられてて。
木肌の深茶色が壁の白漆喰の中に見事に映えてて。
重さ、深さ、圧力がもー格別!
こんな家に住めるようになりたいな~。
どんだけカネあったのよ、一体?
その隣はバリバリにカッコイイ仏間。
え?仏間?これが?って感じですけど、仏間です、正真正銘仏間です。
何と言っても目を引くのが襖のラインですな。
曲線にスライドする襖。
こんなの初めて見た。
どっから出てきたのかね、こんな斬新な発想?
仏間という宗教空間がまるでステージのように華々しく演出されてて、めっちゃめちゃオシャレ。
感性の高さが異次元ですわ。
さらにこの天井!
威光がさんさんと降り注ぐような、格式最強の折り上げ格天井。
江戸時代なら将軍レベル、お寺なんかでも相当お金のある大寺院のご本尊の真上くらいにしか用いられることのない、超VIP専用の天井です。
しかも仕立てが美しいんだわ。
艶やかな黒漆のラインと、深みあふれる木目の四角形。
その中にシャープに走るきらびやかな金線。
ゴージャス感がハンパない!
そしてもう一発見て欲しいのが、この仏間へと至るルート。
式台と呼ばれる「エライ人」専用の玄関と1本の線でスパっと結ばれています。
このラインはいわば「エライ人」専用の通路。
ゆえに装飾のグレードがワンランク上になっています。
例えば中央の鶴と笹の欄間。
この欄間だけが屋敷内で唯一、彫刻を施された透かし欄間になっていて、高級感が別格。
さらに釘隠しや襖のサイズなんかも特別仕様になっていて、明らかに格上の空間としての意図が垣間見れます。
その隣には上座敷→中の間→下座敷と続く三連の間。
画像は上座敷の床の間の様子。
ガッチガチのフォーマル仕様ですね。
直線×直線でビシビシ区切られた堅苦しい構成、武家屋敷なんかでよく見掛ける付け書院、シックな装飾の明かり障子。
なんとなく肩に力が入ってしまう、いかめしい緊張感に囲まれています。
それに対して下座敷の床の間。
こちらもややお堅いですが、上座敷に比べれば幾分カジュアル。
半円形の明かり障子がなんともポップで、さり気ない遊び心が感じられます。
そんな遊び心は畳にも現れていて、それを表すのが左側にある小さな正方形の小畳。
これは炉畳と呼ばれるもので、めくるとお茶を点てるための炉が現れます。
つまりこの部屋はお茶室としても使われていたんですね。
なんとなーく遊び心があるのは、お茶を飲みに来た客をリラックスさせる意味も込められているのです。
そして見逃してはならないのが床脇の上の額。
素っ気なく飾られてますが、この文字、なんと孫文の直筆です。
孫文と言えば現代中国の礎を築いた大革命家。
その孫文の活動を経済的に援助したお礼として贈られた墨書なんだそうです。
しかも「室木先生」と名前入り。
スゲーな!
孫文って歴史上の人物だよ。
学校の教科書にも出て来るよ。
そんな人から名前入りで贈り物貰ってるって、付き合う相手のグレードが別次元過ぎるでしょ!?
ホント、住んでる世界が違うね!
はい、今回はここまで。
次回は後半部分、庭~二階までを見ていきます。
庭がい~いのよ♪
そんなにコッテコテにデコレーションされてる訳でもないんだけどね、でもよく見るとポツポツと面白い発見があって。
思わずニヤリとしてしまう庭です。
詳細は次回!
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