大谷博物館 母屋編 ザ・金持ちの趣味が詰め込まれた魅惑の豪邸
2022年09月10日
ホテルニューオータニを創業した大谷米次郎(おおたに よねじろう)の家をリノベーションした大谷博物館。
前回は敷地内の様子を一通り見てきました。
今回は母屋の内部を見ていきます。
中も広くてね、とにかく部屋がいっぱい。
ザ・金持ちエネルギーがギンギンに光っています。
まずは間取り図。
入口はふたつあって、大物用とザコ用。(←?)
江戸時代の身分格差社会の臭いを残す仕様です。
中央には客間となる広間、その奥に家人のプライベートスペースとなる奥座敷や茶の間、接客用の離れ座敷などなど。
農家と武家屋敷をハイブリッドさせたような、独特の構造になっています。
最初に目にするのはこの広間。
12畳半の大部屋です。
すげーわな、長押(なげし)。
長押ってのはちょうどボンボリ時計のある場所に横に伸びてる部材ですが、ぶってー!
この太さ、ハッキリ言って強度的な意味は全くありません。
単に豪壮さを演出しているだけです。
「どうだこのぶっとい長押、スゴイだろー!」って、自慢するだけのものです。
金持ち好みのデコレーションです。
その隣には奥座敷。
仏間ですね。
ギンギラギンギンの仏壇がまばゆいほどにギンギラギンギンです。
この画像じゃ分からんですが、仏壇中央には阿弥陀如来の画が掛かっています。
後光を放射状にビッカー!と大放出。
恐らくは死者を迎えに行くシーン、いわゆる「阿弥陀来迎図」でしょう。
そして阿弥陀さまから分かる通り、大谷家の宗旨は浄土真宗です。
その手前に前座敷という部屋があり、その脇に畳2畳の小さな部屋があります。
一応床の間もしつらえられた、極小の部屋。
多分ここ、茶室ですね。
定員は2人、多くても3人。
気の置けないごく親しい仲間か家人を相手にお茶を楽しむためのスペースとして設けられたのでしょう。
その奥に進むと奥の間へとつながるのですが、ここはその手前の部屋。
ここで「?」と思った人、スルドイ。
これ、完全に武家屋敷の造りです。
手前に控えの間、奥に家主の間、この形はいわゆる「謁見の間」の構成。
もうちょっと威張り腐ると、家主側の部屋の床を一段上げて上段の間にしちゃったりするんですけどね。
その家主の部屋。
デカい床の間をバーンと備えた、数寄屋風の書院座敷。
壁の色がエグイですわな。
ゲテゲテしい赤ではなく、落ち着いたブラウンではなく、深緑。
トリッキーなのか味わい深いのか、どっち付かずの微妙~な色。
前に茶室があった事を考えると、お茶をイメージして植物の色である緑を使ったのかもしれませんね。
それも明るい緑じゃなく、ちょっとワビサビ感のある暗い緑。
その奥に行くとボイラー室なんてのもあります。
この家が建てられた昭和初期、まだボイラーなんてのはほとんど普及してなかったそうです。
つまり超ぉーーー贅沢品。
そんな最先端ハイテクノロジーマシンを、ここ小矢部の片田舎の家に持ってきちゃったのです。
今で言えば、電気も来ない山奥のポツンと一軒家に自家用ヘリを置いているようなもの。
ザ・金持ちの道楽、やっぱスゲー!
そんな最先端ボイラーシステムを搭載した風呂場がこちら。
・・・意外と地味(汗)。
風呂よりも見て欲しいのがこの床に貼ってあるタイルで、見る人が見るとスッゲーものらしいです。
何がスッゲーのか案内の人も分からんそうなので、わたしも分からんのですが、なんやろ、技術的に難しい貼り方なのかな?
とにかくスッゲーそうです。
見学する時は舐めるように見てって、何がスッゲーのか解明してみてください。
さらに面白いのが天井。
どーよ、この高い意匠性?
中央に据えられた格天井と透かし彫りがアートセンスビンビン!
これ眺めてぽっかーんと湯に浸かってたら、気持い~いだろうな~♪
ちなみに天井の形状がゆるいスロープになっているのは、雫を壁へと誘導するためだそうです。
なるほど、湿気で木が腐らんよう、ちゃーんと考えられてるのね。
改めて元来たルートを戻ると、次に現れるのが茶の間。
中央に囲炉裏を備えた、家族団らんの場です。
この部屋、なーんか変なんだけど、何が変か分かります?
それは天井。
囲炉裏があるなら、本来この上は煙を逃がすために吹き抜けになってなきゃダメなはず。
でもこの部屋にはバシッと天井が張られています。
明らかに「本当に使われていた感」がない。
多分これは展示用に後付けされた囲炉裏なのでしょう。
最後の部屋は「農村のくらし」と名付けられた常設展示室。
昭和初期の農家のイメージでデコレーションされています。
ここもややわざとらしさが目立ちますね。
壁のススはどう見ても手で塗ってあるし、所々部材が新しいし、あざといリフォーム感がむんむん。
でも柱や天井の梁なんかはオリジナルのものが使われてるみたいで、それなりにノスタルジックな雰囲気も。
囲炉裏の自在鉤なんかも使用感あるしね。
小矢部の寒村の田んぼの中にポツンとある大谷博物館。
古建築好きな人にはヨダレじゅるじゅるのダイヤモンド物件です。
隅から隅まで心行くまでじ~~くり見てってください。
そして大谷ファンになった人は、東京のホテルニューオータニにもぜひどうぞ!
わたしは貧乏だから無理だけど。
大谷博物館 敷地編 カネ持ちはみんな思い付きで行動しちゃうのです
2022年09月06日
誰もが知る高級ホテル『ホテルニューオータニ』。
そのホテルニューオータニを創業した大谷米太郎(おおたに よねたろう)の生地がここ富山県小矢部市です。
残念ながら生家そのものは残っていませんが、昭和10年に米太郎が建て直した建物は現在大谷博物館として一般公開されています。
これが立派でね。
なんたってホテルニューオータニを創った人の家ですんでね。
「お屋敷感」ハンパない!
では敷地の見取り図から。
まずは入口に門。
ここから既に庶民レベルではありません。
その門をくぐると左手に土蔵、正面に母屋。
母屋右手に風呂場、作業納屋、となっています。
全体としては金持ち農家の家、みたいな造り。
カネは農業じゃなくて鉄鋼業で儲けたんだけどね。
門です。
ズバーン!と立派な薬医門。
お寺かよ!?みたいな重厚さ。
実際これはバリバリの寺院建築スタイルですね。
明らかに民家の入口に備えるような門じゃない。
脇の塀には狛犬っぽいデザインの鬼瓦。
強力な霊威をギンギンに放ちながらエントランスを守護しています。
この屋敷ね、何気に塀の上も面白いのですわ。
これ以外にもお尻に藻の生えた亀(長寿を願う亀)なんかもいます。
興味があったら探してみて下さい。
その門をくぐると立派な土蔵がどーん!
何があったんでしょうね、ここに?
興味あるわ~。
なんたってホテルニューオータニを創った大富豪の家の蔵なんでね。
我々一般庶民なんかにゃ思いも付かんくらいのスゲーものがいっぱい仕舞い込まれていたのでしょう。
蔵内は現在展示室として使われ、大谷米次郎とその弟の竹次郎(たけじろう)を中心とした案内パネルがびっしりとぶら下がっています。
すごいわね、成功した人って。
あんな「スゴイ事」しました、こんな「スゴイ事」しました、みたいな話がいっぱい。
儲けたカネにモノを言わせてメチャメチャ社会貢献しまくってたみたいです。
わたしの半生なんてあんな「ヤバイ事」しました、こんな「ヤバイ事」しました、みたいな話しかないからね。
子孫に見せたら引くわ!(←何をした?)
こちらはこの近くにある今石動城(いまいするぎじょう)の模型。
地上からでは実感できない、鳥目線での城の全体像が見られます。
このお城ね、一応見学できるようになってますが、歩き回れるのは本丸を中心としたごく一部だけなんですよ。
それ以外は全部雑木林の中に埋もれてて、「全体」がどんな感じになっているのかは全く不明。
入口の案内板に詳細な全体図は解説されているものの、実際歩いてみると???な感じ。
でもこうして模型にして見せてもらえると、ものすごく具体的に全体の形が理解できる。
これ見てから改めて行くと、また違った楽しさを発見できそう。
謎の施設、風呂場。
実は母屋にも風呂はあります。
でもここにも風呂。
なぜダブルであるのかは謎。
なんでやろ?
併設されている犬小屋の意味も謎。
作業納屋。
農具の収納小屋ですね。
ノスタルジックですな。
うちの親元の家にもありましたよ、こんな小屋。
中には何に使うかサッパリ分からん農具がゴチャゴチャいっぱい置かれていました。
今はもう潰してなくなっちゃったけどね。
室内には昔の農業道具がズラリ。
その業界の人じゃなきゃ分からんようなものばかり。
どれもこれも基本人力ですな。
今でも農業なんて半分以上マンパワーですけど。
でもこの家が建てられた昭和初期は機械なんて全くなかった時代だから、全てがマンパワー。
毎日くったくたになるまで頑張ったんでしょうね。
土壁、カッコええ~~♪
こんな眺め大好きですわ!
上品な白漆喰もいいんですけどね、土壁の素朴さも捨てがたい。
もちろん当時はオシャレで土壁にしてたんじゃなくて、安上がりだから土を塗っただけなんだろうけど。
でもこの貧乏臭さが返って美しい~!
ビバ!古建築!
最後にメインの母屋。
ガバっと横に広い平屋建て。
入口の門はイカツイ寺院仕様だったのに、家屋は平和な農家建築というチグハグさ。
この一貫性の無い、思い付いたモン片っ端から寄せ集める感覚が、い・か・に・も・金持ち的発想だわ(笑)。
スタイルとしてはアズマダチ。
アズマダチとはアズマ→東、つまり東向きに玄関を備えた建物です。
さらに妻(つま・屋根下)には柱と束を縦横に走らせ、白漆喰できゅっと締めるという意匠になっています。
ハッキリ言ってヤボったくてド田舎感全開。
でもそれが逆にカッコ良くてね、わたし大好きなんですわアズマダチ。
こんな家に住みたい~♪
はい、今回はここまで。
次回はいよいよ母屋内部の様子を見ていきます。
中も素晴らしいですよ。
い~い感じに古くなってて、でもザ・金持ちな雰囲気はしっかり残ってて。
あ~金持ち羨ましい~!
荒山城跡 ここは戦場、その怖さを冷や汗たらして味わえ~
2022年09月03日
金沢方面から石動山へと向かう山道の途中、右手にお城の案内が現れます。
それが今回ご紹介する荒山城跡。
中世の頃、石動山衆・上杉謙信・佐々成正そして前田利家が取り合った、領国境という火薬庫のような場所にあったお城です。
現場は駐車場が完備されており、見学環境は比較的良好。
そんなに気合入れなくても、軽装で気軽に訪城できます。
城域はこんな感じ。
中央に主郭を置いた、輪郭式(りんかくしき・曲輪を円状に配置した城)構造。
山の険しさも手伝って、かなりやっかいなお城になっています。
見て歩けるのは黄色い部分。
余計な所をウロチョロすると危ないので、動ける範囲で見学してください。
主郭へとつながる道はこんな感じ。
結構キツそうに見えますが、実際角度的にはキツイんだけど、山城の道としてはメチャメチャ歩きやすい部類。
そこそこ幅のある足元のしっかりした道を、なんの障害物もなく歩けます。
ひどいお城はもっと悲惨ですからね。
道なんてなくて当たり前、藪をかき分けかき分け死ぬような思いで到達、なんて所もあります。
もっともそんなヤバイお城にわざわざ行くのは、一部のお城大好きド変態だけだけどね。
例えばわたしとか。(←?)
登城10分程でいきなり開ける視界。
城跡の登場です。
ホントいきなり現れるんですわ、この景色。
ここまでが結構キツかっただけに、この瞬間の感動は格別。
よっしゃー!城じゃー!みたいな歓喜がムキムキ湧き上がります。
この辺りは平地+急傾斜が連続する、段丘状になっています。
明かに人の手による造成痕。
自然界にはあり得ない、不自然な地形です。
頑張って作ったんですね、この地形を。
足場となる陣地を整備し、敵を跳ね返す斜面を作り、さらに今は残ってないけど柵や櫓などの建物も作って。
どこから攻められても迎え撃てる、鉄壁の要塞がこの一面に展開していたのです。
実際には攻め落とされたんだけどね。
唐突に櫓台。
お城感を出すために作られた、現代製の「なんちゃってデコレーション」です。
多分なかったでしょうね、こんな所には。
櫓を建てるなら「高い場所」「突き出た所」「曲輪の端」がセオリー。
こんな曲輪の連続する内側に建てても何の意味もありません。
あくまでお城感を演出するためのお飾りです。
さて、お城とは全然関係ないんですけど、ここを歩いてるとやたら目に付くものがあります。
それがこれ。
何か分かります?
これ、珪藻土ですね。
以前にイソライト珪藻土記念館で紹介した、七輪の原料になるってアレです。
能登半島の土壌はかなりの部分がこの珪藻土で占められてるんだそうで。
以前紹介した森寺城跡なんかにも結構ゴロゴロ転がってました。
え?それがどうしたって?
お城以外の話すんなって?
いやだってこんなん見付けるとテンション上がるし・・・。(←石も大好きド変態)
この曲輪群を登り越え、その先の細道をさらにぐいぐい進むと主郭到達。
広さは野球の内野くらい。
ここがすげー気持いいのですわ。
山頂なんでね。
360度邪魔するもの何もナシの大パノラマ。
頬を撫でる風が涼しく心地良く、たまらなく爽快!
眺めはこんな感じ。
半島の向こうにある日本海までズッバー!と見渡せます。
王様気分です。
気分は完全に大王様。
どうぞ腹からふんぞり返ってガッハッハ♪と大王笑いしてやってください。
さてここで、この主郭へと繋がる2本の道を確認して欲しいのです。
こちらは今登ってきた方の道。
すさまじい程の急勾配。
これは「切岸(きりぎし)」と呼ばれる防御のための仕掛けです。
元々斜面だったところをさらに削って角度を付け、敵の足を止めるのです。
今でこそステップを付けて階段状になってますが、当然昔はこんなモノもナシ。
そこを足をズルズル滑らせながら、重い甲冑や武器を身に着け、さらに城側の攻撃にさらされながら命懸けで登ったのです。
まさに死のクライミング!
そしてもう一つの入口がこちら。
見ての通り通路がぐにゃ~と曲がってます。
これは「食い違い虎口」と呼ばれる仕掛け。
こうしてわざと通路を曲げることで攻めてくる敵の勢いを削ぎ、側面をガンガン突くのです。
もちろん主郭手前は切岸の急斜面になってて、周囲には高い柵がジャッキーン!
どうです?ヤバイでしょ、山城って?
そしてここは実際に戦場になりましたからね。
このラインを巡って、そりゃーもう血なまぐさい攻防戦が繰り広げられたのでしょう。
そのままスタスタ進むと入って来た時とは別の通路が現れ、その先でも面白いものが見られます。
そのひとつがこちら、空堀です。
足場的に攻撃側はこの狭い掘底を進むしかありません。
そして見上げると、すぐ上は切岸に守られた曲輪になっています。
つまりここを進むという事は、上から矢や投石の雨あられにさらされるという事なのです。
生きた心地しねえ・・・(怖)。
数々のトラップと強力な曲輪群によって守られた荒山城跡。
怖ぇーですよ。
お城の構造が理解できる人にはブルブルに怖ぇーですよ。
現場を訪れる時にはそんな凍り付くような恐怖に震えながら散策してください。
そうでない普通の(?)人は主郭からの爽快な眺めを腹いっぱい楽しんでってください。
マジ気持ちいいですよ~♪
荒山城跡
住所:石川県鹿島郡中能登町芹川
関連タグ >> お城
尾小屋マインロード 命懸けで掘った先人の偉業を見よ
2022年08月30日
明治期から昭和初期にかけて稼働していた尾小屋鉱山(おごやこうざん)。
その実際の坑道を見学用に整備した施設が、尾小屋マインロードです。
マイン(mine)は英語で鉱山、ロードは道(road)。
ふたつ合わせて「マインロード」。
ここが素敵なんですわ。
なんたってガチの坑道ですんでね、リアリティ全開!
ヤバイくらいの生々しさです。
坑道の全体図はこんな感じ。
昔はグルリと周遊できたようですが、今は半分くらいしか見学できません。
見れないとなるとますます見たいですわね、昔の見学路。
ちょっとムズムズしちゃう所です。
どーしても見たい!って人は、前回紹介した尾小屋鉱山資料館に行けば映像で見られます。
それで涙を飲んでガマンしてください。
入口。
どーよ、この別世界感!?
まるで秘密の研究施設にでも入って行くかのような雰囲気。
ミステリアス感いっぱいです。
しかもサプライズはこれだけじゃありません。
この先数メートル進むとそれは表れます。
急~に下がる温度。
ハンパなく涼しくなります。
何でも年間を通じて14度程度なんだとか。
ハッキリ言って寒いです。
身震いするくらい。
寒いのが苦手って人はカーディガンか何か羽織るものを用意した方が無難かもしれません。
天井からはポタポタと水滴。
地下から湧き出したものですね。
地下水ってね、結構やっかいらしいですよ。
トンネル工事なんかでも大問題になるそうです。
水は溜まるんでね、ちゃんと排水しながらじゃないと掘り進められない。
坑道掘削当時も、きっとこの水には相当悩まされた事でしょう。
坑道内には所々掘削の様子を紹介するジオラマが展示されています。
こちらはそのひとつ、ボーリング作業の再現。
ボーリングというのは穴開けです。
本格的に穴を掘り進める前にこうして細い穴を開けてサンプルを採取し、その先にある鉱物の状態を確認したのです。
そりゃそうでしょうな。
ただやみくもに掘って何も出なかったら意味ないし。
こうやって慎重に掘削先の岩質を検討し、より効率よく鉱石を採取したんですね。
その次に行われるのが発破。
ダイナマイトを詰め込んでドカーン!と爆発させるヤツです。
なんともダイナミック!
でも崩落とかしないんですかね、ダイナマイトなんか使って。
そんな乱暴な事したら天井がガラガラ落ちてくる気がするんだけど。
実際そんな失敗もあったんじゃないかな?
まさに命懸けですな!
砕いた石はこうして掻き出して、トロッコに乗せて貯鉱井(ちょこうい)へと運ばれます。
そしてそこから順次出荷、となるんですね。
どの作業もキツそうだな、肉体的にも危険度的にも。
死人もきった出たんでしょうね。
根性ナシのわたしにゃ絶対無理ですわ!
ついでに岩肌も見てみてください。
典型的な凝灰岩です。
凝灰岩とは火山灰が降り積もって固まった岩石。
元々が灰なので固着が弱く、手で簡単に崩せます。
しかもここの岩は水分を多く含んでいるのでさらにボロボロ、ちょっと引っ掻けばあっけなく剥げ落ちます。
迷惑にならない程度に表面をカリカリやってみて下さい。
200メートルほど歩くと行き止まり。
この先にも坑道は続きますが、見学はここで終了です。
どうなってんですかね、この先?
興味深々!
入ってみたいな~。
まあ穴が延々と続くだけなんだけどさ。
実際に使われていた坑道を見学できる尾小屋マインロード。
楽しいですよ~、めちゃめちゃミステリアスで。
なんかゲームの世界に入ったみたい。
どうぞ冒険者にでもなった気分歩いてください。
運が良ければスライムくらいには会えるかもしれません。(※会えません)
そしてその帰り。
道の途中にある十二ヶ滝へ。
尾小屋マインロードへの経路上にある滝です。
ここも凝灰岩。
それを川がコツコツと削り取って、現在の形が生まれました。
で、見て欲しいのは滝じゃありません。
河原に落ちてる石コロ。
鉱石発見~♪
ごくごーく少量ですが、表面にキラキラした粒が確認できます。
多分黄銅鉱(おうどうこう)、銅の材料です。
楽しいな~、河原。
こんなのが拾えるからたまらない。
河原は石マニアにとって最高最強のパラダイスです!
・・・・と思うようになったら完全に病気だけどな・・。
尾小屋マインロード
住所:石川県小松市尾小屋町
尾小屋鉱山資料館 昔はメチャメチャ栄えた銅山だそうです
2022年08月27日
一時期は日本一の銅の産出量を誇った尾小屋鉱山(おごやこうざん)。
そんな賑やかだった当時の様子を紹介しているのが尾小屋鉱山資料館です。
場所は山奥。
元々鉱山だった場所なので当然山奥。
車で行っても結構かかります。
訪れる時は半分ドライブ気分でお越しください。
館内はこんな感じ。
入って左手に受付、そのまま坑道のジオラマを通って展示室へ、という流れになります。
ここの展示がなかなか充実してましてね。
興味深い石のサンプルがゴロゴロ。
さらに採掘に使われた道具とか、かつての鉱山の様子の紹介とか。
アッチもコッチも珍しいものだらけで、なかなかに飽きない内容になっています。
導入口のジオラマトンネル。
ハリボテ感全開なんですけどね、結構雰囲気出てます。
お、坑道ってこんな感じかな?みたいな。
目の前には本物の掘削道具も。
恐らく当時使われていたものです。
こんなの使ってガンガン穴掘ってたんですね。
そこを抜けると今度は石のサンプルがズラー。
銅山と全然関係ないものも含めて、ごちゃ混ぜに並べられています。
左が鉱石、右が岩石。
どれも興味をソソルものばかり。
石マニアなんでね。
こんなん見るとアガりますわ~♪
1個1個ベロベロ舐めて回りたいくらいですわ!(←?)
こちらは坑道の3Dモデル。
こんな感じで山の中に穴を張り巡らせたそうです。
総延長距離、実に160km!
すごいな。
まるで血管みたい。
何十年もかけて、こんな巨大な地下世界を築いたんですね。
時には崩落事故なんかも起きただろうし、毎日が命懸けだったはず。
血と汗と執念の大迷宮です。
当時の鉱山のジオラマなんかもあります。
これを見ると鉱山稼働時はかなり賑わっていたようで。
今とは全然風景が違ったんでしょうね。
ふもとには作業員が住む家が、山には精錬工場が立ち並び、中央には運搬用の汽車がガシュガシュ走ってて。
山に突き出た煙突からは煙がもうもうと立ち上がり、多くの人が往来して、活気と喧騒に満ち溢れてて。
夢と希望がいっぱい詰まった、熱い生活模様が繰り広げられていたのでしょう。
鉱石のサンプル。
結晶の粒がエゲツナイほどのサイズ。
こんなのができるのって、きっと何千何万年レベルなんだろうな。
しかも超ぉぉぉーーーー希少な条件が揃わないとできないはず。
まさに奇跡の結晶。
鉱石については全然詳しくないけど、さすがにこんなの見るとスゲーなーと思いますわ。
・・・売るといくらくらいになんのかな?(←すぐにカネの話)
もう1発鉱石。
これらはいわば銅や亜鉛のタネです。
画像じゃ全然分かりませんが、表面を見るとなんとなーくキラキラした粒がごく少量付着しています。
このキラキラを砕石したり選別したりして取り出し、最後にひとつにまとめるのです。
ただ当然ながら、取り出した鉱石よりもカスの方がはるかに大量に出ます。
その膨大なカスをどうするかと言うと、全てブロック状に成形して建材として売られました。
これがそのブロック。
黒い六角柱のヤツがそうです。
確かにこうしてキッチリ規格化されてると使いやすいですわな。
土台に使ってもヨシ、石垣のように積んでもヨシ、結構応用範囲広そう。
庭の隅に数個コトコトっと庭石代わりに積んどいてもオシャレかもしんない。
ダイナマイトなんかも展示されてます。
これを何本も差し込んで爆発させながら掘り進んでいったんですね。
すごかったろうな~爆発音。
坑道の中なんでね、相当響いたはず。
もちろん大量の煙も出るから、ホコリが舞いまくるだろうし。
換気はどうしたんだろう?
わたしなんかきっと一発で喘息になっちゃうな・・。
尾小屋鉱山のかつての姿を偲べる尾小屋鉱山資料館。
なんかねー、ノスタルジックですよ。
失われた時代の回想録、そんな場所。
今じゃ静かなこの山もかつては大いに賑わってたんだな~、なんて感傷に浸りながらご観覧ください。
次回は尾小屋マインロードを見ていきます。
こちらは実際の坑道を見学用に整備した施設。
これまた楽しいですよ!
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