店主たみこの観光案内ブログ

明治の館室木家 母屋内前編 仏間ストリートの荘厳さに恍惚

2022年08月09日

明治の館室木家の母屋

 

江戸時代からこの辺り一帯の大元締めみたいな家系だった室木家。
現在公開されている建物は、そんな室木家が明治期に入って建てた屋敷です。
圧倒的なボリュームを誇る大豪邸!

 

前回はそのエントランスから入って敷地、そして母屋の外観までを見てきました。
今回はいよいよ建物内に入ります。

 

母屋の間取り図

 

まずは屋敷の間取り図。

 

入口を入るといきなり黒い部屋(台所)。
主に使用人が使っていた部屋です。
そこを左に折れると広間、さらに左に進んで仏間、さらに左が上座敷・中の間・下座敷。
そこから庭を眺めて裏手に回って、蛸の間・茶の間・納戸を見て、最後に2階、とそんな流れになります。

 

わたしの中で特に刺さったのは仏間と庭ですかね。
もう思いっ切りハートずきゅん!でした。

 

明治の館室木家の台所

 

では早速見ていきましょう。
最初は台所。
ザ・ブラックな部屋。

 

黒の理由は見ての通り囲炉裏ですね。
この囲炉裏から出る煙にいぶされて真っ黒けっけになったのです。
そしてこの囲炉裏、今でも毎日焚かれています。
絶えず煙でいぶし続ける事で、茅葺屋根を腐食や虫から守るんですね。(※囲炉裏の煙には防腐・防虫効果がある)

 

囲炉裏上の天井

 

囲炉裏の上はこんな感じ。
真っ暗でなんも見えませんが、天井に竹が張られています。
この竹の隙間を通って煙が天井裏へと抜け、茅葺の屋根全体をいぶすのです。

 

屋根裏も多分真っ黒なんだろうな。
きっと真っ黒クロ助でいっぱい。
トトロもいるかも?(←何の話?)

 

明治の館室木家の広間

 

その隣には広間。
この屋敷一番のでっかい部屋がばーんと控えています。
中央付近にはまたもや囲炉裏。

 

ここでなんか変な違和感感じません?
部屋の壁や天井、妙ぉ~にきれい。
先に見た部屋と違ってどこもススで汚れておらず、明らかに囲炉裏を使っていた形跡がない。

 

じゃあなんなんだよこの囲炉裏?フェイクか??って事なんですけど。
これについてはこの館の案内人も分からないそうです。

 

欅の豪華な梁

 

この部屋の天井がまた美しいんだ~♪
欅(けやき)で作られた豪奢な梁がガシガシガッシーン!
ほんのりカーブを描いていて、漆でつやつやに仕上げられてて。
木肌の深茶色が壁の白漆喰の中に見事に映えてて。
重さ、深さ、圧力がもー格別!

 

こんな家に住めるようになりたいな~。
どんだけカネあったのよ、一体?

 

スタイリッシュな仏間

 

その隣はバリバリにカッコイイ仏間。
え?仏間?これが?って感じですけど、仏間です、正真正銘仏間です。

 

何と言っても目を引くのが襖のラインですな。
曲線にスライドする襖。
こんなの初めて見た。
どっから出てきたのかね、こんな斬新な発想?
仏間という宗教空間がまるでステージのように華々しく演出されてて、めっちゃめちゃオシャレ。
感性の高さが異次元ですわ。

 

仏間の格天井

 

さらにこの天井!
威光がさんさんと降り注ぐような、格式最強の折り上げ格天井。
江戸時代なら将軍レベル、お寺なんかでも相当お金のある大寺院のご本尊の真上くらいにしか用いられることのない、超VIP専用の天井です。

 

しかも仕立てが美しいんだわ。
艶やかな黒漆のラインと、深みあふれる木目の四角形。
その中にシャープに走るきらびやかな金線。
ゴージャス感がハンパない!

 

式台から仏間までの眺め

 

そしてもう一発見て欲しいのが、この仏間へと至るルート。
式台と呼ばれる「エライ人」専用の玄関と1本の線でスパっと結ばれています。
このラインはいわば「エライ人」専用の通路。
ゆえに装飾のグレードがワンランク上になっています。


例えば中央の鶴と笹の欄間。
この欄間だけが屋敷内で唯一、彫刻を施された透かし欄間になっていて、高級感が別格。
さらに釘隠しや襖のサイズなんかも特別仕様になっていて、明らかに格上の空間としての意図が垣間見れます。

 

明治の館室木家の上座敷

 

その隣には上座敷→中の間→下座敷と続く三連の間。
画像は上座敷の床の間の様子。

 

ガッチガチのフォーマル仕様ですね。
直線×直線でビシビシ区切られた堅苦しい構成、武家屋敷なんかでよく見掛ける付け書院、シックな装飾の明かり障子。
なんとなく肩に力が入ってしまう、いかめしい緊張感に囲まれています。

 

下座敷の床の間

 

それに対して下座敷の床の間。
こちらもややお堅いですが、上座敷に比べれば幾分カジュアル。
半円形の明かり障子がなんともポップで、さり気ない遊び心が感じられます。


そんな遊び心は畳にも現れていて、それを表すのが左側にある小さな正方形の小畳。
これは炉畳と呼ばれるもので、めくるとお茶を点てるための炉が現れます。
つまりこの部屋はお茶室としても使われていたんですね。
なんとなーく遊び心があるのは、お茶を飲みに来た客をリラックスさせる意味も込められているのです。

 

孫文直筆の額

 

そして見逃してはならないのが床脇の上の額。
素っ気なく飾られてますが、この文字、なんと孫文の直筆です。
孫文と言えば現代中国の礎を築いた大革命家。
その孫文の活動を経済的に援助したお礼として贈られた墨書なんだそうです。
しかも「室木先生」と名前入り。

 

スゲーな!
孫文って歴史上の人物だよ。
学校の教科書にも出て来るよ。
そんな人から名前入りで贈り物貰ってるって、付き合う相手のグレードが別次元過ぎるでしょ!?
ホント、住んでる世界が違うね!

 

台所の囲炉裏

 

はい、今回はここまで。
次回は後半部分、庭~二階までを見ていきます。

 

庭がい~いのよ♪
そんなにコッテコテにデコレーションされてる訳でもないんだけどね、でもよく見るとポツポツと面白い発見があって。
思わずニヤリとしてしまう庭です。

 

詳細は次回!

 

 

明治の館室木家

住所:石川県七尾市中島町外 13

TEL:0767-66-0175

ホームページ:七尾市公式サイト

 




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関連タグ >> 古民家 古建築 明治の館 室木家 

 


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