長谷山 観音院 長階段のイジワル地蔵に負けるな!
2020年09月12日
いきなり漢字をズラっと並べます。
高野山真言宗長谷山観音院(こうやさん しんごんしゅう はせざん かんのんいん)。
北陸三十三観音霊場の第14番札所です。
その名の通り観音さまを本尊に祀るお寺で、卯辰山(うたつやま)の中腹にあります。
創建は740年頃と言われているので奈良時代、実に1,200年以上の歴史を持つ古刹です。
アプローチは上からと下からの2つのルートがあるのですが、ぜひ使って欲しいのは下からのルート。
「観音坂」と呼ばれる石段を延々と登るルートです。
長いのですわこの階段が。
下から見た瞬間、うん、帰ろう、と思わずUターンしたくなる長さ。
でもねここを登って欲しいのですよ。
だって苦労してお参りした方がご利益がありそうじゃないですか!(←そうなのか?)
ちなみに階段の数は112段。
マジでキツイです。
その長い階段の途中に踊り場が1ヵ所あります。
そこに祀られているのがこちらの六地蔵。
汗をダラダラ流して階段を登る参拝者の姿を、ふふふ・・と笑いながら見ています。
いや~んイ・ジ・ワ・ル♪(←謎)
その前にも仏像が4体。。
左から順に救世観音(多分)、地蔵菩薩、不動明王、観音菩薩(多分)。
階段長いんでね、急がなくていいです。
ちょっと休憩がてら、しん~みりとお参りしていって下さい。
もうちょっとで本堂、という場所にこんな石仏もあります。
弥勒菩薩、か、ひょっとしたら如意輪観音(にょいりんかんのん)。
足を半跏踏下坐(はんかふみさげざ)に組み、右手は軽く頬に当てる思惟手(しゆいしゅ)。
いわゆる「半跏思惟像(はんかしゆいぞう)」というスタイルです。
これは考えてるんですね、どうやって衆生を救うか。
信仰の薄い人や悪いヤツらもいっぱいいますからね、人間の世界には。
でもそんな人たちをも浄化して救済するのが仏さまの務め。
そのためにはどうしたらいいか?どうしたらいいか?
何百年も、何千年も、何億年も、こうして考え悩んでいるのです。
そしていよいよ本堂に到着、平屋建ての小振りな建物がばっと現れます。
造りは比較的シンプルな切り妻造りで、屋根瓦は金沢では珍しい赤瓦。
装飾はほどんどなく、向拝柱上の虹梁にちょこちょこっと雲の彫り物が施されている程度。
建築仕様的には、ちょっと見所が乏しい。
この建物は加賀藩三代目藩主前田利常(まえだ としつね)の正室珠姫(たまひめ)の寄進と言われており、江戸前期のもの。
珠姫は江戸幕府の二代目将軍徳川秀忠(とくがわ ひでただ)の娘で、観音信仰が篤かったと言われています。
そんな縁でここに社殿を寄進したんだそうです。
そんな本堂の前に、は??と考えさせられる石像があります。
狛犬的に一対、のほ~んと安置されています。
何コレ?
狛犬にしてはあまりにブサイ・・・かっちょ良くない。
髪型(?)はおさげでイケてないし、体系もずんぐり太ってて狛犬的たくましさがない。
何よりも『大物オーラ』がない。
でもこれ、正真正銘狛犬なんだそうで。
守ってるんです、お寺を。
ガオオッーーーッッって。
という事ですんで、あまり深く詮索しないでください。
狛犬??????で、納得してください。
中には須弥壇がどどーん!
建物自体が大きくないので、この須弥壇もそんなに大きなものではありません。
それでも威厳は圧倒的。
天井から幢幡(どうばん・上から下がってる長細い金色の装飾)が2本ざらっと下がり、中央には金の宝塔を据え、一番奥に本尊である十一面観音(じゅういちめんかんのん)がこちらを向いてじっと立つ。
思わず背筋が伸びるような、厳かな雰囲気。
ご本尊を目の前にした時に感じる、この独特の緊張感が好きでしてね。
心洗われますわ~、悪人なので。(←?)
本堂の左脇こんな仏さまもいます。
白寿観音(はくじゅかんのん)。
足元にいるじっちゃん・ばっちゃんは長寿の証。
この観音さまには長寿はもちろん、ボケ封じや家運長久のご利益もあるんだそうです。
しかもこのお寺では写経を受け付けていて、書き上げた写経はこの観音さまの体内に奉納してもらえるんだとか。
興味のある人は1枚いかがですか?
白寿観音パワーで、あと100年くらい生きられるかもしれませんよ!
色々な仏さまと出会えるお寺、観音院。
目にする仏像一体一体を愛でながら、どうぞゆ~っくりとお参りください。
なおこのお寺では毎年旧暦の7月9日に、四万六千日(しまんろくせんにち)の法要が営まれます。
これはこの日にお参りすればなんと46,000日分のご利益が得られるというもの。
46,000日は年に換算すると約120年。
とってもお得な大感謝デー(?)となっております。
当日は家内安全・商売繁盛のトウモロコシなんかも配られ、多くの人で賑わいます。
お祭り気分が大好きな人は、こんな日に来ると面白いかもしれませんよ!
関連タグ >> お寺 卯辰山寺院群
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