
祥雲山 龍国寺 謎の資金力を持つお寺
2020年10月14日

加賀友禅ってご存知ですかね?
金沢の伝統工芸で、京都の友禅染にルーツを持ちます。
今回紹介する龍国寺は、そんな加賀友禅と深いつながりを持つお寺です。
このお寺、アプローチが少々分かり辛くてね。
卯辰山寺院群の奥地、しかも道路わきにひっそりある細い階段を上がって、その先にようやく見えてくるといった場所にあります。
ここに行くぞー、って明確な意思がないとまずたどり着かないような、そんな場所です。

こちらがその階段。
ご覧の通り赤鳥居がずらーっと続いています。
赤鳥居と言えばお稲荷さん。
だけどお稲荷さんは神社。
でもココはお寺。
あら?どうなってんの?、と頭の中???でいっぱいになりますが、とりあえず進んでください。
やがて本堂のある広場に到着します。

両側にキツネが2体(右のキツネは隠れちゃってますが)お出迎え。
狛犬ならぬ、狛キツネです。
この形、典型的なお稲荷さんの神社スタイル。
でも奥に見えるのは社殿じゃなくてお寺の本堂。
ここまで来るともうはっきり分かるのですが、ここは「お稲荷さん」を祀った「お寺」。
要はご本尊が「仏さま」じゃなく「神さま」なんですね。
仏教と神道がなんやらごちゃごちゃ。
なんでこんなことになったのか、ちょっとお寺の縁起を探ってみます。

創建から現在までの流れを時系列で追ったのがこちら。
始まりは普通にお寺だったみたいです。
宗派や本尊は不明。
それがすったもんだを挟んで一旦消え、その後復活して、その復活時からお稲荷様を祀るようになったそうです。
なぜお稲荷さんだったかと言うと、前田利家の出世を助けたお稲荷さんを祀るお寺を建てたかったからとのこと。
縁起書きを抜粋すると、以下の通りです。
『寛文11年(1671年)、前田家菩提寺である宝円寺(金沢市宝町)8代目住職虎白禅師が、前田利家公出世開運のお守りを封じ込めた高徳稲荷大明神を祀るために当地に重建した』
この書き方だと「出世開運のお守り」ってのがあって、それを「封じ込めた」「高徳稲荷大明神」ってのがあると読み取れます。
これどういう意味かと言うと、かつて利家を加護したお守りのお札ってのが実在するらしいんですね。
そしてそのお札を内部に収めたお稲荷さんの木像がここのご本尊なんだそうです。
つまりその木像が「高徳稲荷大明神」なんですね。
ただ残念ながら、肝心の木像は厨子に入れられてて見れません。

それではお寺の様子を見て行きましょう。
まずこちらが本堂。
狭い敷地に不釣り合いなほど大きくどどーん!と建っています。
屋根は黒瓦葺きの切妻屋根。
面積をたっぷりと取った、大振りな造り。
建物中央の開口部には大きな引き違い戸を4枚備え、その左右にある窓も全て引き違い戸。
よくよく見るとこれらの扉、格子の形が全部狐格子(正方形を連続させた枠)に統一されています。
「お稲荷さん」だけに「狐」格子。
うん、絶対わざとだ(笑)。

本堂の中を覗くとこんな感じ。
どーですかコレ?
えらいゴージャスじゃないですか?
最奥にある須弥壇の様子は暗くて良く見えませんが、その前にある外陣部分はキンキラキン!
中央に大きな天蓋をぶら下げ、その四隅にも大振りな幢幡(どうばん)をざらりと垂らし、全てを金箔で覆って神々しい光をバンバン放つ。
正直ね、そんなにお金持ってそうじゃない(失礼!)んですわ、外観的には。
ああ、ちんまりしたどこにでもよくあるお寺のひとつね、くらいの感じ。
でもそんな第一印象を一瞬にして吹っ飛ばす、この派手なしつらえ。
一体この資金力はどこから来るのか?
う~~ん・・謎だ・・・・(悩)。

本堂の横、ちょっと先にこんな建物があります。
「友禅堂」。
これは加賀友禅の名前の元ともなっている、宮崎友禅斎を偲んで建てられたもの。
なぜここにそんな建物があるのかと言うと、その宮崎友禅斎の墓がこのお寺で見つかったからです。
冒頭にチラッと書いた「龍国寺と加賀友禅の繋がり」とはそういう事なのです。
お堂の形式は方形(ほうぎょう・正方形)、多分。
多分ってのは、正確には正方形になっていないからです。
でもよーく見るとあちこち出っ張ってる部分はどうも後から付けたした感があるので、多分元々はきれいな方形。
それにゴチャゴチャ追築した結果、今の形になったと思われます。

ちなみにこのお堂、人が住んでるらしいです。
友禅作家のおばあちゃんが、去年からここに暮らしてせっせと創作活動にいそしんでいるのだとか。
その看板がこちら。
『加賀友禅工房 欒堂(らんどう)』。
フリガナがないと絶対読めない、難しい~名前(笑)。
最初に見たお寺へとつながる細い階段の途中にあります。
ちょっと調べてみると、「家族団らん」の「ラン」がこの字(欒)みたいですね。
要はみんなで楽しく語らうがごとく、加賀友禅を通して多くの交流を深めていきましょう、とそんな意味があるのでしょう。

今や加賀友禅の業界関係者にとっては聖地ともなっている龍国寺。
でもそんなの関係なくても、なかなかに楽しめるいいお寺です。
どうか訪問の際には、「このキンキラリン本堂作るカネは一体どこから来るんだろう??」というミステリーに首をひねりながらお参りください。
まあ多分加賀友禅の業界からどっさり寄進受けたんだろうけど(笑)。
毎年5月17日には「友禅まつり」が開催されます。
余裕があればそんなタイミングも狙ってみてください。
データベースの接続に失敗しました。