鈴木大拙館
2018年09月24日
兼六園から歩いて5分。
ひょいっと横道に入って、ひょいっと横道に入って、ひょいっと横道に入って、住宅地をてくてく歩くと。
あり?こんなとこに?みたいなところにあります。
ほんとに住宅地の真っただ中。
鈴木大拙(すずきだいせつ)館。
「館」なんですからね。
美術館とか博物館とかと同じなんですから。
もっと来館者が来やすい、分かりやすい場所に建てればいいのに、あえて路地裏の住宅地の中。
なんでこんな分かりにくいトコにあるの?と思われる方も多いでしょう。
大拙館側は「ここにたどり着く間に迷い、巡り歩くことで、大拙の奥深い世界に触れる導入口になる」とか言ってるみたいですけど。
いや、意味分かりませんわ(笑)。
ところで、鈴木大拙?誰?って人も多いでしょう。
鈴木大拙、本名貞太郎(ていたろう)。
大拙とは彼が師事した鎌倉円覚寺のお坊さんである釈宗演(しゃくそうえん)から与えられた居士号だそうです。
中国古典からの引用で、「大巧は拙なるに似たり」から取ったとのこと。
これもちょっとよー意味分かりませんね(笑)。
で、何やった人かと言うと、仏教学者。
英語が堪能で、仏教や禅の考え方を英訳し、海外に広く紹介した人だとか。
第四高等中学校退学→英語教師→東京専門学校→帝国大学と進み、帝大時代に例の円覚寺に通って釈宗演に出会い、大拙の名前をもらいました。
ちなみに夫人のベアトリス・レインと出会ったのもこの円覚寺。
帝大卒業後はアメリカの出版社で働き、その時に「大乗起信論」の英訳や「大乗仏教概論」の執筆を行い、仏教の概念を海外に紹介しました。
その後帰国し大谷大学教授に就任、イースタン・ブディスト(Eastern Buddhist・英語誌)を刊行するなど、仏教哲学の啓蒙に精力的に取り組みました。
晩年は再び海外に渡って、仏教に関する講義などを行っていたようです。
生涯を仏教の研究と教化に捧げた人だったんですね。
亡くなったのは1966年、享年95歳でした。
そんな彼の偉業を称えて作られたのが、この鈴木大拙館です。
設計は金沢出身の建築家谷口吉生(たにぐちよしお)氏。
ニューヨーク近代美術館の改築や東京国立近代美術館の設計などを手掛けた、超ビッグネーム。
テーマは、あー、なんだろう?
ざっくり言えば「鈴木大拙の世界観」って感じですかね。
人間や生活の喧騒から切り離された「孤独の静空間」みたいな場所です。
館内は大拙を知る「展示空間」、大拙の思想を学ぶ「学習空間」、自ら考える「思索空間」の3つに分けられており、途中に2本の長い回廊があります。
エントランスから展示室に行くまでがいきなり1本目の回廊で、うす暗い直線がすぅーと続きます。
ここでまず心を落ちつけ、大拙の深い精神世界への入り口にして欲しいという意図があるそうです。
展示室には大拙の書や写真など、彼にまつわる様々なものが収蔵されています。
ただそれぞれに関する説明やキャプションは一切なく、見た人が自分でその意味を感じ取って欲しいという趣向になっています。
うす暗い室内を抜けて外に出ると、それまでとは一転して一面の水鏡がぱっと目の前に広がります。
その水域の中央には思索のための部屋。
ここに腰を下ろし静かにたたえる水面を眺めながら、ゆっくりと自分に向き合って欲しい、多分そういう場所なのでしょう。
行ってみると分かりますが、まーお上品な場所です。
派手さはまるでなくて、なんか水墨画を近代建築で表現したような、そんな場所。
ひたすら「静」「寂」「黙」。
ちょっとお寺に通じるような空気感もあるけど、それとはまた違うモダンな雰囲気も。
鈴木大拙館。
仏教とか禅とか言われると、何となく近寄りがたい難解さをイメージされるかもしれませんが。
大丈夫。
あまり小難しく考えず、ぜひ軽い気持ちで尋ねてみて下さい。
きらきら輝く水鏡の池を眺めてるだけで、なんだか心がさーっと洗われますよ!
鈴木大拙館
住所:石川県金沢市本多町 3-4-20
TEL:076-221-8011
関連タグ >> 美術館・博物館 近代建築
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