店主たみこの観光案内日記

みなとつるが山車会館 ド派手な敦賀の祭りに酔いしれよ

2022年11月01日

みなとつるが山車会館

 

お祭り大好き、敦賀人。
そんな敦賀人のお祭り好きを紹介しているのが、ここ「みなとつるが山車会館」です。

 

派手なんですわ、敦賀の祭り。
特に山車(「やま」と読む)のデコレーションの派手派手ぶりがハンパない。
それでは早速見ていきましょう。

 

みなとつるが山車会館の館内マップ

 

まずは館内マップ。

 

建物は本館と別館に分かれていて、最初は本館から。
ここでは山車を中心に敦賀の派手派手な祭りの様子が紹介されています。
とにかく派手です。

 

別館に移ると北前船や大谷吉継(おおたに よしつぐ)を紹介した展示があれやこれや。
ハッキリ言って祭りとは全然関係ないのですが、まあご愛敬。

 

メインロビー

 

入口入ってメインロビー。
好きなアイテムを身に着けて記念撮影なんかができます。

 

この好きなアイテムってのが結構充実してましてね。
兜とか刀とか脇差とか。
コスプレ気分全開で撮影してください。

 

祭りの様子を紹介したミニシアター

 

その先にシアター。
ここで20分程度、映像で敦賀の祭りの様子が紹介されます。

 

いやーコレがなんちゅーかね。
長いんだわ。
この内容なら5分で良くね?

 

でもね、最後にサプライズが待ってます。

 

壁から張り出す山車

 

突然ゲートが開いてガーン!と迫出す山車!
うお!なんじゃ急に!?とビビりあがります。

 

いや、驚くよマジで。
デカいんでね、派手なんでね、しかもコッチ向かって来るんでね、強烈なんですわ圧力が。
こんなのに抜き打ちでガシーン!と出てこられたらタマランですわ。

 

派手な飾りの山車

 

この山車、実際の祭りで使用される本物です。
山車は全部で6基あって、その内3基がこのシアターで常時展示されています。

 

これがもの凄く凝ってましてね。
人形が着用している鎧兜、全部本物なんですわ。
能面も本物。
さらに衣装や小道具はド派手なキンキラキン2000%仕様。
とにかく演出に対する熱量がほぼ狂気のレベル。

 

琴高仙人図の水引幕

 

この水引幕なんかもスゲーわな。
お祭りのデコレーションなんてレベルをはるかに越えた、アート級工芸作品の域。

 

モチーフは『琴高仙人図』。
琴高ってのは古代中国の仙人で、龍を捕まえると言って鯉に乗って水中から現れたんだそうです。
ちょっと何言ってるのかよく分からんのですが、その辺はおとぎ話ですので細かい事は抜きで。
とにかく鯉に乗ってどっぱーん!と登場したシーンが生き生きと描かれています。

 

こんなん好きやわ~♪
うちの家の襖絵にぜひ描いて欲しい!

 

うちの家に襖なんかないけどな。(←?)

 

みなとつるが山車会館の2階

 

2階はさらにしつこくお祭りの紹介。
6基の山車が大きなパネル写真で解説されています。

 

先に本物見ちゃってるんでね。
こんなパネル程度じゃもう感動ないわな。

 

でもね、2階の目玉はこれじゃないんですよ。
このロビーの左手の部屋にある鎧・兜の展示。
これがもう最強にカッコ良くて、吸い込まれるほどに美しくて、しかもそんなのがズラーっと並んでて。
感動!感動!ひたすら感動!

 

でも撮影不可なのでお見せできません。
残念!!

 

みなとつるが山車会館の別館展示室

 

続いて別館へ。
こちらはお隣にある旧大和田銀行本店の社屋だった建物をリノベーションしたものです。
中央に北前船の模型を置き、その周囲に金庫たら、(移築再現した?)和室たら、お祭りに使うお神輿やら、よー分からん古道具やら、大谷吉継に関する資料たら、なんやら統一感のない展示がゴチャゴチャ。
ほぼカオス。

 

どこに喰い付くかはアナタ次第。
どれでも好きなごはんをお召し上がりください。

 

和室の座敷

 

わたしは喰い付いたのは当然和室の座敷。
数寄屋風のシブ~いしつらえです。

 

枯淡と言うかなんと言うか、いいわな~この空気感♪
質素を愛するワビサビ感がいっぱい。

 

特に見て欲しいのが天井の角度で、分かります?中央を頂点にほんのり傾いてんのが?
よく見りゃ床の間の上の梁もうにゃ~っと曲がってる。
これ、わざとこうしてあるんですね。
ちょっと傾いて倒れそうなくらいのボロっちさがカッコイイ、とそういう訳です。

 

かぁ~~っこエエ~~~♪♪(ぞくぞく!)

 

金泥の豪華な襖

 

この襖もシブイわな~。
茶色く沈んだ画面上に、細線でさらりと描かれたささやかな笹と松。
このスッカスカの空間の多さがワビサビ感全開ギンギンで、もー見てるだけで鼻血出そう!

 

この部屋を作った人(大和田荘七・おおわだ しょうしち・大和田銀行の創始者)はめっちゃカネあったんですけどね。
もっと成金ゲテゲテな部屋なんかナンボでも作れたんですけどね。
でもおカネもあんまり持っちゃうと、最後はこんな悟りの境地みたいな簡素な趣味に行きついちゃうんですかね。

 

ああ・・わたしも悟りの境地に至りたい・・・おカネたくさん持って・・。(←煩悩多すぎ)

 

大谷吉継の人形

 

敦賀人の派手派手なお祭りの一端を垣間見れる、みなとつるが山車会館。

 

とにかくね派手ですわ、派手。
この山車1基作んのにどんだけカネかけてんのよ?と心配になるくらい派手。
そんなスーパー派手な祭り文化、本物を鑑賞してハラの底から味わってください。

 

興味があってタイミングが合えば本物のお祭りもどうぞ。
やっぱお祭りの熱はライブで味わってこそ最高ですよ!

 

 

みなとつるが山車会館

住所:福井県敦賀市相生町 7-6

TEL:0770-21-5570

ホームページ:みなとつるが山車会館公式サイト

 

 

関連タグ >> 美術館・博物館 

 


高岡市福岡歴史民俗資料館 大正レトロな建物にハートギンギン!

2022年10月29日

高岡市福岡歴史民俗資料館

 

山の上に唐突に建つレトロ建築、高岡市福岡歴史民俗資料館。

 

最初に建てられたのは約100年前(大正13年)で、元々は公会堂だったそうです。
その後町役場や図書館として流用され、昭和62年に福岡駅前から現在地に移築。
以降、歴史民俗資料館として保存活用されています。

 

素敵なんだわコレが♪
大正という時代感を生々しく残してて、めっちゃくちゃノスタルジック!

 

高岡市福岡歴史民俗資料館の玄関ポーチ

 

玄関ポーチがいきなりイカス♪

 

ガッスリと腰を降ろす(なぜか四角形の)太い柱。
その上には(装飾性に乏しい)エンタブレチュア(梁)。
そして恐らく鳥居をモチーフにしたと思われる柱頭の飾り。

 

この野暮ったさと言うか洗練性のなさがね、いかにも大正建築。
でもそれが味なんだ♪
心グイグイそそられますわ。

 

壁のピラスター

 

ピラスター(飾り柱)もイカシますわな。

 

中途半端に途中で終わっているフルーティング(縦溝の装飾)。
平面感べったりの四角の形状。
(画像では切れてるけど)イオニア式を意識した柱頭のグルグル模様。

 

楽しいわ~。
今の時代にこんなの作ったらただのバカなんだけど、この時代だったからこそ許される意味不明な洋風建築。
もうホント大好き!

 

高岡市福岡歴史民俗資料館の屋根

 

屋根も妙なんですわ。
マンサード屋根を意識したのかな?とも思われますが、日本の腰屋根的エッセンスも含んでて完全に意味不明。
なんて呼んだらいいんだよ、この屋根?

 

そしてもうひとつ見て欲しいのが軒下の出っ張り。
えっらい短いのが分かると思いますが、これは完全に西洋建築スタイル。
日本じゃこんなの通用しません。(雨がじゃばじゃば吹き込んで建物痛むし)
でも容赦無用でズバッと敢行。
こここそしっかり出っ張らせて雨雪対策すべきなんだけど、ナンも考えんとストレートにやっちゃう所がいかにも大正テイスト。

 

菅笠の展示

 

では館内へ。
展示室は1・2階に分かれていて、1階では福岡の民俗文化を、2階では歴史に関する展示が行われています。
まずは1階から。

 

いきなり登場するのは菅笠(すげがさ)の展示。
時代劇で旅人なんかがよく被ってるヤツですね。


なんで菅笠?と思われるでしょうが、ここ福岡は菅笠の一大生産地なんだそうで。
江戸時代には200万枚もの生産高を誇り、加賀藩の三大移出品に挙げられるほどメジャーな産業だったそうです。

 

シブイな~。
和室に飾ったらめっちゃめちゃフィットしそう。

 

菅笠の制作風景ジオラマ

 

そんな菅笠の制作風景の再現ジオラマ。
農閑期の冬場に、こうやってせっせと編んだんだそうです。

 

厳しそうですな、生活。
ぶっちゃけそんなにゼニにはならんかったでしょうね。
それでも生活の足しにするためにコツコツ編んだのでしょう。

 

分かる、分かるぞ~そのツラさ!
わたしも貧乏人だから~~~!!(←リアル貧乏人)

 

加茂横穴墓群22号墳の実寸模型

 

ジオラマと言えば、こんなのもあります。
加茂横穴墓群22号墳の実寸模型。

 

加茂横穴墓群とはここから車で10分程の所にある、古墳時代末期頃の群集墓です。
山の斜面に小さな穴がボッコボコ空いてて、ミステリアス半分・不気味半分の怖面白い場所。
興味があればこの後にでもどうぞ。

 

高岡市福岡歴史民俗資料館の2階展示室

 

2階に上ると石器時代~江戸時代くらいまでの歴史展示がズラリ。
時代設定が長過ぎてやや大雑把な嫌いはありますが、個別に見ていくと面白い展示もチラホラ。
ドコに喰い付くかはその人次第です。

 

上向田経塚の経外容器

 

こちらは上向田経塚(かみむくたきょうづか)から出土した経外容器(きょうがいようき)。

 

経外容器とはお経の入れ物で、土に埋めるために使います。
なんでそんな事をするかと言うと、仏の教えを守るため。
仏教には正法(しょうほう・釈迦誕生から1000年)→像法(ぞうほう・正法後から1000年)→末法(まっぽう・像法後)の3つの時代があり、末法になると仏の教えそのものが失われてしまうと言われています。
そこでこうしてお経を土中に保存し、仏の教えが失われないようにするのです。

 

ちなみに末法のスタートは1052年、つまり現代は既に末法時代に入っています。
そして末法の世はこの先56億7000万年も続くそうです。

 

56億年後なんて、仏の教えどころか地球が滅んでるっちゅーねん(笑)。

 

木舟城に関する展示

 

ズラリと並ぶのは木舟城に関する展示。

 

木舟城とはここから3kmくらいの所にあった戦国時代の平城で、地震によって倒壊し、そのまま打ち捨てられたお城です。
現在は一面の田んぼと民家だけになってて、ここに昔お城があったんだよ~という石碑がポツンと残るのみ。
そんな木舟城に関する歴史や発掘資料なんかが並べられています。

 

これだけ色々出るって事は、お城があった頃はそれなりに賑わっていたんでしょうね。
一体どんな景色が広がっていたのかな~?

 

木舟城のジオラマ

 

そんな木舟城の想像再現ジオラマも展示されています。
ご覧の通り水堀でぐるりと囲まれた連郭式のお城だったようで。
でもサイズはそれほど大きくないので、大軍に囲まれたら即アウトな感じ。

 

攻めるんなら兵糧攻めですかね。
橋さえ押さえてしまえば、外部からの補給を遮断できますからね。
後は火矢をジャンジャン打ち込んで城内の建物を燃やしちゃえば完全にお手上げでしょう。

 

瑞龍寺奉納刀家重の展示?

 

こちらは「瑞龍寺奉納刀”家重”」に関する展示。
ご覧の通り細っかーい字でびっしりと説明されています。
読む気も失せるくらいの文字量。

 

ただ、肝心の家重がない。
元々展示してないのか、この日はたまたま他所に貸し出してたのかも不明。

 

主役がいないのにこんなに長々と説明されてもな~・・。

 

城ケ平横穴墓群からの出土品

 

墳墓からの出土品なんてのもあります。
城ケ平横穴墓群から出てきたものがズラリ。

 

陶器は分かるけど、骨なんて残ってんですね。
それもエッジまで分かるくらいきれ~な形で。
よほど丁寧に埋葬されてたんでしょうね。
死者に対する尊厳みたいなものを感じます。

 

高岡市福岡歴史民俗資料館の外観

 

外から建物を眺めるだけでも一見の価値アリの高岡市福岡歴史民俗資料館。
とにかくシブイですよ~。
中身に興味なくても、ザ・大正ロマンな建物だけでも見てってください。

 

すぐ目の前は古墳公園になっています。
そんなに古墳ガンガンな感じでもないですけど、時間があれば散歩感覚でどうぞ。

 

 

高岡市福岡歴史民俗資料館

住所:富山県高岡市福岡町下向田畦ケ谷内15

TEL:0766-64-5602

ホームページ:高岡市公式サイト

 

 

関連タグ >> 美術館・博物館 古建築 

 


またいキッチン タコライス ランチセット もりもり頬張る南国の味

2022年10月25日

またいキッチン タコライス ランチセット

 

この日は午後からブラブラ日。
でもその前にまずはランチを食って腹ごしらえ。
さーてドコで食うべかー?としばらく悩み、選んだのが「またいキッチン」。
昼はカフェ、夜はバルをやっている二毛作店です。

 

店に入ってメニューを拝見。
定番メニューはそれほど多くないものの、卓上リスト以外にも壁メニューがいっぱい。
キョロキョロしながら迷う・・迷う・・。
が、迷ったらド定番という事で、店オススメの”タコライス”をチョイス。
ごはん大盛りにボリュームアップして食べたおします。

 

タコライス

 

タコライス。

 

野菜いっぱい。
とにかくいっぱい。
千切りレタスとコロ切りトマトがとにかく冷たく、スキッとした水気で口の中を爽快に洗い上げる。

 

その下に潜むほかほかのライス。
甘い空気と熱いつゆをたっぷりと含んだごはんは柔らかく、そして優しく。
冷たい野菜とも違和感なく馴染み合う。

 

そして挽肉。
このプレートの中で唯一味の圧が強く、「濃い味」がぎゅ~っとしみ出す。
生野菜の抜けるようなフレッシュ感とは真逆の重い味はひたすらたくましく、ひと噛みひと噛みのエネルギー感が格別で。
猛々しいうま味で味のボリュームをガッチリとビルドアップさせる。

 

またいキッチンのコンソメスープ

 

付属のコンソメスープ。

 

味、結構濃いめ。
野菜出汁の風味がざっくり鮮烈で、ほのかな塩気が後味をキリっと引き締める。

 

具は細かくカットされたニンジン、ピーマン、玉ネギ。
どれもトロトロになるまで煮込まれてて、ほぼゼリー。
溶けるような甘みが贅沢。



もりもり食べて。
スープお替り自由なのでもう1杯いただいて。
ラストにアイスコーヒーちゅるーっと吸い込んで。

 

完食。



またいキッチンの”タコライス ランチセット”。
美味かったっス。
野菜中心だったのでちょっと頼りないかなって感じでしたが、食べてみると意外に量も食べ応えもしっかりあって。
充実感抜群。

 

おねーさんも美人でした。(←?)



ごちそうさま。





 

[参考]
・タコライス ランチセット:1,000円
・ごはん大盛り:100円

 


 

 

またいキッチン

住所:石川県河北郡津幡町中橋 167

TEL:076-289-3557

ホームページ:またいキッチン公式サイト

 

 

 


宇賀山 西光寺 境内にあるドスコーーーイ!!!の意味

2022年10月22日

西光寺の入口

 

小丸山城址公園のすぐ足元、背中に曲輪を担ぐような場所に小さなお寺があります。
浄土宗のお寺、西光寺(さいこうじ)です。

 

このお寺、あの奥州藤原氏の三代目、秀衡(ひでひら)と所縁があるお寺と言われています。
なんでも開基(かいき・お寺を開いた人)が秀衡の孫の感叡(かんねい)上人なんだとか。
ただ何がどういう経緯で感叡上人がこの地に来てこのお寺を開いたのかは不明。
誰か詳しい話知ってたら教えてください。

 

西光寺の山門

 

いきなりエントランスをガツーン!と守るのが、太い柱と梁の上に黒瓦を乗せたいかめしい山門。
圧巻の迫力です。

 

鏡柱がいいですわな。
重厚そして豪強。
門だけでなくお寺の風格をも支えているような力強さで、がっしりと脚を降ろしています。
ガチガチ武闘系の素晴らしい門。

 

山門屋根の宝珠の飾り

 

屋根の端には宝珠(ほうじゅ)の飾り。
宝珠とはどんな願いもかなえてくれる玉です。
仏像の持物としてもよく登場します。

 

お寺の建物ってね、結構この部分に面白い装飾があるんですよ。
獅子だったり、亀だったり、七福神だったり。
お寺に参る時はこんな屋根の端にもぜひ注意を向けてみて下さい。

 

西光寺の鐘楼

 

山門をくぐると右手に鐘楼。
これがまた素敵にスタイリッシュでしてね!

 

内転び(上に向かってすぼまる形)に組まれた4本の主柱、その上に大きく展開する立派な反り屋根。
この狭→広のコントラストが実にダイナミック。
さらに瓦の黒と深黒く沈む木肌の色調との調和、その中心にゆらりと垂れる梵鐘のシルエット。
なんかもう見てるだけでビリビリくるような美しさ。

 

鐘楼軒下の獅子と龍

 

軒下もいいのですよ。
四方から天を睨む4頭の龍、そして地を睨む8頭の獅子。
これが強烈に猛々しい!

 

さらにこの獅子、四方に2頭ずつ配置されているのですが、よく見ると口を開けている獅子と開けていない獅子のワンセットになっています。
いわゆる「阿吽(あうん)」というヤツですね。
こうして2頭一体となって息を合わせ、周囲を守護しているのです。

 

西光寺の本堂

 

境内中央には本堂がどーん!
これまた大振りな屋根をばっさりと被せた重厚なマスク。

 

漆喰の白が映えますな。
黒瓦と黒茶色い木との隙間にぴっと輝く白が震えるほど美しい。
まるで荘厳な仏の知恵を象徴するような清浄感です。

 

本堂軒下のバクの彫刻

 

ここの軒下もイカスわー♪

 

ピシピシと小気味よく並ぶ垂木の連続、黒と白が交錯する木肌の色ムラ、ガッチリと組まれた木組みの力感。
日本建築の美しさがぎゅっと凝縮されたような、クラシックなビジュアルです。

 

そして木鼻の部分に施されたバクの彫刻。
バクは夢を食う霊獣、ひるがえって煩悩を食うとも考えられています。
つまりここで参拝者の煩悩をムシャムシャ食ってくれるんですね。

 

わたしくらい煩悩多いと食い切れんだろうけど。(←?)

 

3つの石碑

 

その本堂の右手になんやらよう分からん石碑が3つ。

 

左の石仏は琵琶を持っているので弁天さまでしょうね。
ちょっと逆光に写ってるせいで見辛いですが、穏やかな顔立ちをした優しい立ち姿で表現されています。

 

中央と右は第6代横綱阿武松(おうのまつ)を顕彰したもので、お相撲さんらしく行司の持つ軍配がモチーフになっています。
阿武松は江戸時代の終わり頃に活躍した能登出身の力士で、金沢に巡業に来た際には多くの観客が詰めかけたそうです。
このお寺とどういう関係があるのかは不明ですが、恐らく郷土のヒーローとして讃えられているのでしょう。

 

西光寺の地蔵堂

 

その隣には地蔵堂。
右にお地蔵さま、左に「南無阿弥陀仏」と刻んだ碑。

 

浄土宗イコール阿弥陀信仰。
ゆえにここに「南無阿弥陀仏(※阿弥陀さまに帰依しますの意)」なんですね。
お地蔵さまは死後地獄に落ちて苦しむ人々を救う仏と言われており、極楽浄土の主である阿弥陀如来の化身とも考えられています。
「南無阿弥陀仏」の言葉とお地蔵さまが並べられているのには、そんな意味があります。

 

首だけのお地蔵さま

 

そんなお地蔵さまの足元なんですが、よく見ると何気に怖ぇーモノが置かれています。
首だけのお地蔵さま。

 

はっきりした事は分かりませんが、これは多分明治期の廃仏毀釈の際に折り取られたお地蔵さまの首でしょう。
あの頃は仏教大法難の時代で、こうして仏像の首が折られたり破壊・廃棄されたりといった事が普通に行われました。
そんな黒歴史の残骸がこの首だけになってしまったお地蔵さまと考えられます。

 

困った時には助けてくれと頼み、いらなくなったら壊して捨てる。
まったく人間ってのは勝手なものです。

 

西光寺入口の石碑

 

参拝者もまばらな静かーなお寺、西光寺。

 

落ち着いたいい場所です。
小丸山城見物のついでにでもフラッと寄ってみてください。
横綱がどすーん!と四股踏んで歓迎してくれますよ!

 

すぐ目の前は一本杉通り
これまた人影まばらなストリートですが、情緒満点。
古建築が建ち並ぶシブイ街並みを楽しんでください。

 

 

宇賀山 西光寺

住所:石川県七尾市小島町 148

TEL:0767-52-2695

 

 

関連タグ >> お寺 

 


蓮如上人記念館 七不思議堂 金持ちの匂いがぷんぷんする御屋敷に栄光あれ

2022年10月18日

蓮如上人記念館 七不思議堂

 

浄土真宗中興の祖と呼ばれる蓮如さんを顕彰する施設、蓮如上人記念館。
前回は鳳凰閣、蓮如館、庭園を見てきました。
今回は七不思議堂。

 

こちらは明治14年に富山県砺波市に建てられた梶尾家の母屋を移築したものです。
ハッキリ言って蓮如さんとは全く全然200%関係ないのですが、なぜかどさくさ紛れに一緒に並んでいます。
ちょっと意図が不明。

 

七不思議堂の側面

 

しかしまー建物は立派!
その堂々たるたたずまいはまさに「豪邸」。
カネの匂いがぷんぷんする瀟洒な建物です。

 

実際お金持ちだったそうですよ、梶尾家。
元々は美濃出身の豪族で、城まで持ってたんだとか。
まさにサラブレッドの血族。

 

鬼門除けの鬼瓦

 

こちらは建物正面斜め前の軒先にある鬼瓦。
なぜか桃がデコレーションされています。
コレ、何気に注目ポイント。

 

この建物、アズマダチという建築意匠になっています。
「アズマダチ」とは「東建ち」、つまり家の正面を東に向けています。
という事は右斜め前にあるこの鬼瓦は北東を向く格好になり、北東=鬼門、鬼門に正対します。
そう、この鬼瓦は鬼門を封じているんですね。
さり気な~く桃がデコレーションされているのはそのため。
桃には古来より魔除けや不老不死の霊力があると考えられており、その力を瓦に込めているのです。

 

ん~イカスな♪

 

七不思議堂の間取り

 

内部の間取りはこんな感じ。

 

メインに広い居間がどっかーん!
その奥に座敷が4部屋、うちひと部屋は仏間。
2階には床の間を備えた座敷がひと部屋と納戸(と未公開ゾーン)。
さらに土間があって、そちらにも座敷がひと部屋。
と、こんな間取りになっています。

 

広大な居間

 

いきなりクライマックスとなる居間。
この屋敷最大のデラックスルーム。

 

広いのよ、とにかく広いのよ。
その広さ、実に28畳!
しかも吹き抜けになってて、天井も高ぇー!高ぇー!
圧倒的な空間ボリュームです。

 

豪奢な板戸

 

板戸もデカッ!
しかも縦よりも横の方が寸法が大きいし!

 

そしてその真上の長押(なげし)、これもデカッ!
幅70~80センチくらいあるんじゃないかな?
豪壮感ハンパない!

 

太い梁で組まれた吹き抜け

 

梁もどうよコレ?
ぶっといヤツが何本もガンガンガーン!
惜しげもなくカネを使っています。

 

いいな~。
こんな家に住んでみたいな~。
一体どんな商売やったらこんな家建てられるのかな~?
金持ちうらやまし~~~!!!!

 

七不思議堂の仏間

 

その先には仏間。
なんか意味不明にガラスで閉じられてますが、かつてはここに仏壇が収められていました。

 

ここも見て欲しいのがサイズ。
この空間を埋める仏壇があったんですよ。
どんだけデカいの置いてあったのよ?と。
まーいちいちスケール感が庶民離れしてますわ。

 

豪勢な欄間

 

その隣には床の間を備えた座敷・・なんだけど、それより見て欲しいのが欄間。
1枚板を透かし彫りにした彫刻が超絶カッコイー!

 

モチーフは鶴・松・笹。
いずれも長寿と繁栄の象徴。
画面を大胆にブチ抜いた広大な空間の中に大きく翼を広げる鶴の躍動感が実に見事。
うちにもこんな欄間欲しい~~♪♪

 

七不思議堂の茶室

 

部屋を出ると広縁。
畳敷きの縁側・・って感じに見えますが、まあ実際縁側なんだけど、同時に茶室でもあります。
すぐ隣にはお茶を準備するための水屋もあるし。
恐らくここから庭を眺めてお茶を楽しむ、という趣向だったのでしょう。

 

風流ですわな。
コッテコテの茶室的な茶室に仕立てない所に余裕を感じる。
にくいゼ、金持ち!

 

2階の座敷の床の間

 

2階に上ると座敷がひと部屋。
シックな淡緑色の壁に琵琶床の床の間を備えた、これまたコテコテ感のないカジュアルなしつらえ。

 

でもね、そこはお金持ち、ちゃーんと贅沢してんですよ。
それは床框(とこかまち)。
稀にしか採れない黒柿という高級木材を使っています。
この黒い波目模様がなかなかお目にかかれないシロモノなんだそうで。
こんなどうでもいいトコ(←?)にカネ使っちゃうところが、やっぱお金持ち感覚ですわ。

 

土間の先の座敷

 

再び1階に降りて土間をスタスタ進むと、またもや座敷。
でっけー屏風がでーんと立てられています。

 

ここは恐らく接客空間。
お客さんと語らったり食事をしたりするために使われたのでしょう。
その痕跡はすぐ目の前の廊下にあります。

 

茶室の天井?

 

こちらがその廊下、の天井。

 

おかしくありません?
なんで廊下の天井がこんなんになってんの?と。

 

これ、明らかに茶室の天井です。
という事は今は廊下となっているこのスペースは、元々は茶室だったという事を物語っています。
そして茶室があった頃は、恐らく先に見た部屋とセットで使われていたのでしょう。

 

多分ワビサビ感全開のシブ~イ茶室があったと思うんですけどね。
なんで潰しちゃったんですかね?
茶室大好き人間のわたし的にはすごーーーーく残念!!

 

七不思議堂の入口

 

金持ち意識が随所に見られる蓮如上人記念館の七不思議堂。

 

え~え屋敷ですわ。
住みたいですわ。
欲しいですわ。
こんな家建てられたら、もう人生いつ死んでもいいですわ、100年くらい住んでから。(←?)

 

豪邸万歳♪

 

 

蓮如上人記念館

住所:福井県あわら市吉崎 1-901

TEL:0776-75-2200

ホームページ:蓮如上人記念館公式サイト

 

 

関連タグ >> 古民家 古建築 蓮如上人記念館 

 


 


 

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