店主たみこの観光案内ブログ

宇賀山 西光寺 境内にあるドスコーーーイ!!!の意味

2022年10月22日

西光寺の入口

 

小丸山城址公園のすぐ足元、背中に曲輪を担ぐような場所に小さなお寺があります。
浄土宗のお寺、西光寺(さいこうじ)です。

 

このお寺、あの奥州藤原氏の三代目、秀衡(ひでひら)と所縁があるお寺と言われています。
なんでも開基(かいき・お寺を開いた人)が秀衡の孫の感叡(かんねい)上人なんだとか。
ただ何がどういう経緯で感叡上人がこの地に来てこのお寺を開いたのかは不明。
誰か詳しい話知ってたら教えてください。

 

西光寺の山門

 

いきなりエントランスをガツーン!と守るのが、太い柱と梁の上に黒瓦を乗せたいかめしい山門。
圧巻の迫力です。

 

鏡柱がいいですわな。
重厚そして豪強。
門だけでなくお寺の風格をも支えているような力強さで、がっしりと脚を降ろしています。
ガチガチ武闘系の素晴らしい門。

 

山門屋根の宝珠の飾り

 

屋根の端には宝珠(ほうじゅ)の飾り。
宝珠とはどんな願いもかなえてくれる玉です。
仏像の持物としてもよく登場します。

 

お寺の建物ってね、結構この部分に面白い装飾があるんですよ。
獅子だったり、亀だったり、七福神だったり。
お寺に参る時はこんな屋根の端にもぜひ注意を向けてみて下さい。

 

西光寺の鐘楼

 

山門をくぐると右手に鐘楼。
これがまた素敵にスタイリッシュでしてね!

 

内転び(上に向かってすぼまる形)に組まれた4本の主柱、その上に大きく展開する立派な反り屋根。
この狭→広のコントラストが実にダイナミック。
さらに瓦の黒と深黒く沈む木肌の色調との調和、その中心にゆらりと垂れる梵鐘のシルエット。
なんかもう見てるだけでビリビリくるような美しさ。

 

鐘楼軒下の獅子と龍

 

軒下もいいのですよ。
四方から天を睨む4頭の龍、そして地を睨む8頭の獅子。
これが強烈に猛々しい!

 

さらにこの獅子、四方に2頭ずつ配置されているのですが、よく見ると口を開けている獅子と開けていない獅子のワンセットになっています。
いわゆる「阿吽(あうん)」というヤツですね。
こうして2頭一体となって息を合わせ、周囲を守護しているのです。

 

西光寺の本堂

 

境内中央には本堂がどーん!
これまた大振りな屋根をばっさりと被せた重厚なマスク。

 

漆喰の白が映えますな。
黒瓦と黒茶色い木との隙間にぴっと輝く白が震えるほど美しい。
まるで荘厳な仏の知恵を象徴するような清浄感です。

 

本堂軒下のバクの彫刻

 

ここの軒下もイカスわー♪

 

ピシピシと小気味よく並ぶ垂木の連続、黒と白が交錯する木肌の色ムラ、ガッチリと組まれた木組みの力感。
日本建築の美しさがぎゅっと凝縮されたような、クラシックなビジュアルです。

 

そして木鼻の部分に施されたバクの彫刻。
バクは夢を食う霊獣、ひるがえって煩悩を食うとも考えられています。
つまりここで参拝者の煩悩をムシャムシャ食ってくれるんですね。

 

わたしくらい煩悩多いと食い切れんだろうけど。(←?)

 

3つの石碑

 

その本堂の右手になんやらよう分からん石碑が3つ。

 

左の石仏は琵琶を持っているので弁天さまでしょうね。
ちょっと逆光に写ってるせいで見辛いですが、穏やかな顔立ちをした優しい立ち姿で表現されています。

 

中央と右は第6代横綱阿武松(おうのまつ)を顕彰したもので、お相撲さんらしく行司の持つ軍配がモチーフになっています。
阿武松は江戸時代の終わり頃に活躍した能登出身の力士で、金沢に巡業に来た際には多くの観客が詰めかけたそうです。
このお寺とどういう関係があるのかは不明ですが、恐らく郷土のヒーローとして讃えられているのでしょう。

 

西光寺の地蔵堂

 

その隣には地蔵堂。
右にお地蔵さま、左に「南無阿弥陀仏」と刻んだ碑。

 

浄土宗イコール阿弥陀信仰。
ゆえにここに「南無阿弥陀仏(※阿弥陀さまに帰依しますの意)」なんですね。
お地蔵さまは死後地獄に落ちて苦しむ人々を救う仏と言われており、極楽浄土の主である阿弥陀如来の化身とも考えられています。
「南無阿弥陀仏」の言葉とお地蔵さまが並べられているのには、そんな意味があります。

 

首だけのお地蔵さま

 

そんなお地蔵さまの足元なんですが、よく見ると何気に怖ぇーモノが置かれています。
首だけのお地蔵さま。

 

はっきりした事は分かりませんが、これは多分明治期の廃仏毀釈の際に折り取られたお地蔵さまの首でしょう。
あの頃は仏教大法難の時代で、こうして仏像の首が折られたり破壊・廃棄されたりといった事が普通に行われました。
そんな黒歴史の残骸がこの首だけになってしまったお地蔵さまと考えられます。

 

困った時には助けてくれと頼み、いらなくなったら壊して捨てる。
まったく人間ってのは勝手なものです。

 

西光寺入口の石碑

 

参拝者もまばらな静かーなお寺、西光寺。

 

落ち着いたいい場所です。
小丸山城見物のついでにでもフラッと寄ってみてください。
横綱がどすーん!と四股踏んで歓迎してくれますよ!

 

すぐ目の前は一本杉通り
これまた人影まばらなストリートですが、情緒満点。
古建築が建ち並ぶシブイ街並みを楽しんでください。

 

 

宇賀山 西光寺

住所:石川県七尾市小島町 148

TEL:0767-52-2695

 




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