店主たみこの観光案内ブログ

観法寺墳墓群発掘調査現地説明会 お宝は早いモン勝ちです

2022年10月08日

観法寺墳墓群

 

過日行われた石川県埋蔵文化財センターによる観法寺墳墓群の発掘調査現地説明会に行ってきました。

 

現場は山側環状道路の観法寺PAのすぐそば。
現在2車線のこの道路を4車線化するに先だっての発掘調査だそうです。
遺跡は山の尾根上に点在しており、弥生時代後期から中世頃(鎌倉・室町)までの墓坑や建物跡、土器や陶器などが出ています。
発掘調査はほぼ終了しており、後は埋め戻して道路にするだけのようです。

 

観法寺墳墓群の概要

 

遺跡の分布状況はこんな感じ。
尾根上に細長ーく展開しており、一番東に7号墓。
そこから西に向かって順に、竪穴建物、1、2、3、4、5、6号墓。

 

単位が「墳」ではなく「墓」なのは古墳時代以前のお墓だからで、この頃はまだ大きな墳丘で形作られた墓、いわゆる古墳という文化はありませんでした。
なので名前も観法寺「古墳群」ではなく「墳墓群」となります。

 

観法寺墳墓群の出土品

 

ズラリと並ぶのは出土品。
この遺跡から出てきた古代の遺物です。

 

主に土器・陶器が中心のようですね。
しかも弥生~室町と時代範囲が広く、それだけ長い世代に渡ってこの地で人が活動してきたことが分かります。
高台ゆえに見通しが良く、しかもかつてはこの直ぐ近くまで河北潟が迫っていた事が理由のようです。

 

全体の様子

 

遺跡をざっと俯瞰。
掘ってます、掘ってます、ぐりぐりに掘りまくってます。

 

白くマーキングされているのはこれから掘るライン、あるいは何らかの痕跡の目印。
こうして地面に印を付けながら調査を進めるのです。
不規則にうねるラインの交錯が、なんかすげーミステリアス♪

 

トレンチ調査の溝

 

現場を走る幾筋もの深い縦溝。
これはトレンチ調査というヤツです。

 

遺跡発掘と言うと地面を「面」で掘り下げるというイメージが強いと思いますが、それだと掘り終えた部分の情報が完全に消失してしまいます。
そこで所々このように「線」で掘る事によって、断面の状態を保存しておくのです。
これによりこの深さまでは何時代、ここから下が何時代みたいな感じで、掘った後でも時代検証ができるのです。

 

観法寺墳墓群の建物跡

 

こちらは建物跡。
7×5.8メートルの建物がここに建っていたそうです。
輪郭が二重になっている事から、恐らくこの場所に2度建てられたと考えられています。

 

中央には炉跡。
煮炊きの痕跡ですね。
ただこの建物に人が住んでいたかどうかは不明で、単なる宿舎的なものだったかもしれません。
事実この遺跡から出た建物跡はこれひとつだけで、ムラや集落の存在を匂わせるものは見付かっていません。
人々の生活の場は他にあった、と考えるのが妥当です。

 

1号墓の第1主体部

 

そのすぐ隣にある1号墓。

 

手前の四角い窪みが棺の埋まっていた場所で、画像左に向かって頭が向けられていました。
面白いのはその棺の形で、長方形ではなく台形だったそうです。
それがこの時代のスタンダードだったんだとか。


さらに副葬品も見つかっています。

 

観法寺墳墓群から出た鉄刀

 

これがその副葬品。
ボロッボロサビッサビの鉄刀。
お菓子のトッピングみたいに小石が癒着しまくってるし。

 

画像だと左が束側、右が切っ先になるのですが、注目なのは束側。
なぜか折られています。
これは恐らく故意的なものと考えられており、理由は不明。
何らかの宗教的意味があったのか、あるいは慣習上のものなのか。
それはこれからの研究となります。(と言っても永遠に分かる訳ないけど)

 

巨大な土坑

 

すぐ側にはでっかい土坑。
深さ・径ともに2メートルくらいあります。

 

土坑と言えば作業場や食料保存のイメージがありますが、これは何のための穴だったんですかね?
食料保存にしてはデカすぎる。
とすれば作業場?
これだけのサイズの穴を必要とする作業とは?

 

分からん・・・・(悩)。

 

2号墓と3号墓

 

その先に続く2号墓、3号墓。
まだかなりラフな状態です。
恐らく本格的な調査はこれから。
でももうタイムアップが近いので、ほぼ手付かずで終わるのかも?

 

なんならわたしが引き継いでやりましょうか?
掘りますよ、独りでコツコツと。
そして出てきたお宝は換金して・・ふっふっふっ・・・。(←目的ソレか?)

 

虎ロープの向こうの4・5・6号墓

 

虎ロープで遮断されてて行けませんが、さらにこの先に4・5・6号墓。
結構エグイ角度の斜面上に並んでいます。
そしてやっぱり発掘はこれからみたいな感じ。

 

まだまだいいもの出るんですかね?
誰も知らないお宝がこの下にどっさり眠っているんですかね?

 

ん~ロマン!

 

1号墓の第4主体部

 

アチコチほじくり返してあるだけで、専門家の説明がないと何が何だかさっぱり分からん観法寺墳墓群。

 

基本現地には立ち入りできません。
今回は発掘調査説明会という事で特別に見学できました。
恐らく一生に一度の貴重~な機会。
調査が完了した段階でまたやって欲しいな~と思うけど、多分もうやんないだろうな。

 

石川県埋蔵文化財センターさん、調査の最終報告、楽しみにお待ちしております。
次回は年度報告で詳しい成果発表をお願いしまーす!

 

 

観法寺墳墓群

住所:石川県金沢市観法寺町

 




エリア >> 石川県 > 金沢市 > 観法寺町

 

関連タグ >> 遺跡 古墳 

 


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