兼六園 鶺鴒島 見ただけじゃ絶対に気付けない隠されたストーリーを読む
2024年12月28日
日本庭園には様々なストーリーが込められていることが多く、今回ご紹介する鶺鴒島(せきれいじま)もそのひとつです。
場所は兼六園の小立野口から入って真っすぐ、日本武尊像(やまとたけるのみことぞう)のすぐそばを流れる曲水の中に浮かんでいます。
ちょうど中州のような感じ。
目印は鳥居です。
ご存知と思いますが「鶺鴒」とは鳥の名前で、神話によると伊弉諾(いざなぎ)と伊弉冉(いざなみ)に男女和合の方法(セックス)を教えたと言われています。
神さまともあろう者が子作りの方法を鳥に教えてもらって初めて知ったというのも妙な話ですが、まあその辺はおとぎ話ですので、ああそうなんだというコトで納得しといて下さい。
この島はその鶺鴒にちなんで名付けられており、島内には誕生~結婚~死、という人生における三大イベントが表現されています。
まず鳥居ですね。
ガズンとそびえる石鳥居。
かつてはこの前に島とつながる橋が架かっていたとかいないとか。
鳥居の意味はそのまんま、島の聖域化を表しています。
ここから先は神社と同じ扱いですよって事ですね。
中央の扁額には「三社」と書かれているそうですが、遠くて暗くて全く視認できません。
その左奥に3つの石。
中央は歌碑で、左右二つが陰陽石(いんようせき)と呼ばれるものです。
陰陽石とは性器に見立てた石の事で、左が男性の陰茎、右が女性の膣。
つまりこの陰陽石はワンセットで男女和合を表しているんですね。
この部分が島の名前の由来となった鶺鴒に関わる部分です。
その意味するところは「誕生」で、ここでまず人が生まれます。
その陰陽石の後に松の木が2本立ってまして、相生の松(あいおいのまつ)と呼ばれています。
目の前の陰陽石と同じ配置で、右が女松、左が男松。
話の流れ的にもうお分かりと思いますが、この松が「結婚」を表しています。
そう言われて見ると確かに仲良く並んで立っているようにも見えるし、でもなんか互いに嫌がって離れようとしてるようにも見えるし。
どう見えるかはアナタの心根次第です。(←?)
そして鳥居の右側に建っている石塔。
これはお墓を表し、「死」をイメージしています。
ここでこの島のストーリーが完結するわけですね。
実にシンプルな人生。
リアルな人生はもっと色々あるんですけどね。
わたしなんかもー、アンな事やコンな事や、あー、涙出てきた・・・。(謎)
ただひとつ、妙な事を感じません?
誕生・結婚・死を伝えたいのは分かったけど、もうちょっとバランスよく配置できんの?みたいな。
誕生・結婚がいびつに近接して左側に置かれて、死だけが唐突に右側にぽーん。
この意図については不明ですが、わたしが考えるに、元々この島はこういう設計で作られた訳ではなく、このストーリーは後付けで作られたものではないかと。
何となく島を眺めてて、陰陽石の後ろの松、夫婦に見えるな~、あーじゃー右側の石塔は墓って事にしたらひとつのお話が出来上がるなー、みたいな。
そう考えるとわたし的には納得できるのですが、どうでしょうか?
さらにもうひとつ、この鶺鴒島に関連する面白いものがあります。
それがこちらの五葉松。
鶺鴒島のすぐそばにあります。
幹が独特ですよね。
妙に枝分かれしてて、それらがみりみりとねじれるようにらせん状に絡んでて。
これ、鶺鴒島の相生の松のあまりの仲の良さにジェラシー燃やして、うらやましくてうらやましくてこうなった、と伝えられています。
面倒くせー松だな(笑)。
まあこれこそ後から付け足されたお話しでしょうね。
兼六園の鶺鴒島。
地味ーな島ですが、なかなかに想像力かき立てられるスポットです。
そばを通ったら、おーあれが陰陽石か、後ろが相生の松でその右にお墓、で、向こうからじーっと視線飛ばしてるのがジェラシー松ね、みたいに愛憎渦巻く人間模様をじっくりとお楽しみください。
ま、人生はもっとドロドロでグチャグチャなんだけどね。
関連タグ >> 兼六園 庭園
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