恵光山 西方寺
2020年01月08日
金沢で一番有名なお寺と言えば恐らく妙立寺、別名「忍者寺」。
その妙立寺の前を通ってもうちょっと行った先にあるお寺が西方寺(さいほうじ)です。
宗派は天台真盛宗(てんだいしんせいしゅう)、ちょっと聞き慣れん名前ですが、天台宗系の一派です。
開寺は室町時代にまでさかのぼり、元々はお隣の福井県にありました。
それが現在金沢にあるのは、前田利家が強引にこっちに引っ張って来たからです。
と言うのも、利家は一時期福井にいた事があり、その時に親交を深めた盛尊和尚(せいそんおしょう)を自身の娘(菊姫)の菩提を弔うために呼び寄せたからです。
その時にお寺も一緒にこっちに来たのです。
山門がいきなりイカしますわね!
反りのある屋根には黒瓦がビシッと並び、下部には太く力強い棟柱。
構造は堅牢な薬医門で、門扉には重厚な黒金具がずらり。
門口からは真っすぐに参道が伸び、その先には大きな本堂がずしりと構える。
ここに立つだけで、わくわく止まりませんわ♪
ちょっと目線をそらして右側を見るとお地蔵様。
このお地蔵さまは「飴買い地蔵」と呼ばれています。
身重のまま亡くなった母親のお腹の中にいた赤ん坊を不憫に思い、このお地蔵さまが飴を買って与えた、という伝説があるのです。
ありがた~いお話ではありますが、おかげで病身の子供にこのお地蔵さまを削って煎じて飲ませると快癒するという二次伝説がいつの間にかできてしまい。
ガリガリに削りまくられ、今じゃ目鼻も残っていません。
お地蔵様削るって、アンタ。
病気治る以前に、絶対バチ当たるでしょう!(笑)
そして本堂。
これがまースゴイのですわ。
なんやら最近修復を終えたばかりだそうで、金ピカピンの金ピカピン。
本来撮影禁止なのですが、住職さん自ら「最近インスタ流行ってますのでどうぞ!どうぞ!常識の範囲内で撮影していただいて結構です」なんて言うので。
遠慮なく写真撮りまくってきました。
多分この住職さん、修復したてのピッカピカの本堂を自慢したくて仕方ないのでしょうね。
見て見てー!みたいな。
どうしようもない見せたがり屋さん(笑)。
でもまー自慢したくなる気持ちも分かりますわ、こりゃ。
超ぉーーゴージャス!
まず天井からイキましょか。
本堂には本尊を安置する内陣とその本尊を拝む外陣のふたつのエリアがありまして。
基本、内陣の天井は格天井、外陣の天井は格の劣る棹縁天井になっているのが通例です。
時折外陣も格天井になっている例もありますが、その場合でも比較的質素な造りになっています。
が、違います、ココ。
外陣も格天井、それも内陣レベルの金ピカ格天井。
おい!おい!おい!みたいな。
この金ピカ格天井、先の修復の時にしつらえたそうで。
修復前の姿は知りませんが、まず間違いなく元は金ピカではなかったでしょう。
ちなみに内陣の天井はこんな感じ。
こちらも金箔貼りの格天井になっています。
ただ外陣よりもこっちの方が金の色が深めでシック。
この辺は仏様への敬意ですかね、同じ金色でも落ち着きのある雰囲気です。
天蓋もスゴイですよ。
金箔でキラッキラに輝く姿は、まさにお寺版ゴールデンシャンデリア!
その左右にはこれまた金キラキンの幢幡(どうばん)がざらりと垂れ下がり。
神々しい!神々しい!
ほどんど金箔大博覧会(←?)の世界。
柱の装飾も強烈!
ポイントポイントに金のレリーフを並べ。
柱上部には極彩色をふんだんに取り入れたデコレーションがド派手な存在感を放ち。
虹梁には黒の漆、そこに雲様の装飾を施した金板がシブく輝く。
そしてその虹梁の直下にある欄間。
龍ですよ!龍!
うねるような躍動感いっぱいに彫り込まれた龍が、今にも飛び出してきそうな迫力でどーんと踊る!
カッコイイーー!!!
その内陣の右手には西方寺の誇る仏像が4体。
左から順番に金剛童子、十一面観音、地蔵菩薩、不動明王。
サイズは小さいですが、どれも霊力オーラむんむんで。
思わず手を合わせたくなる貫禄。
ちなみに左のふたつ、金剛童子と十一面観音は最近まで厨子に納められ、秘仏として見られませんでした。
それがお堂の修復に合わせて、厨子から出して見られるようにしたんだとか。
住職さんの言によると「今までずっと厨子の中にあって見られませんでしたが、せめてわたしの代の間だけでも見られるようにしたい」との事。
ホントここの住職さん。
見せたがりなんですわー(笑)。
このお寺のもうひとつのお宝がこちら、「前田菊姫画像」。
先にも書いた通り、菊姫は前田利家の実娘で、生まれてすぐに豊臣秀吉に養女に出されました。
そこからさらに近江商人の西川孫右衛門重元の元に預けられ、その後わずか7歳にして亡くなります。
なのでこの絵も幼女の姿で描かれています。
右手には菊の折れ枝、傍らには子供向け玩具。
あどけない顔立ちに、ちょっと悲しさを感じます。
これも最近修復が行われており、その前後の比較がこちらです。
全体に黒ずんだ色調が、やや明るみを帯びた感じに変化。
ぱっと見分かりませんが、裏地や亀裂も修復されています。
最も大きな変更が紙のサイズで、上部に新しい紙が付け足されています。
とにかくザ・ゴージャスな西方寺。
ご訪問の際には金箔の美しさをお腹いっぱい吸い込んできてください。
あまりのゴールデンワールドに。
思わず金歯を入れたくなりますよ。(←なんでや!)
関連タグ >> お寺 寺町寺院群
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