笈松山 浄安寺 金沢四大仏のひとつは今日も燦然とゴールド
2020年04月18日
金沢の誇る老舗料亭つば甚のほぼ真向かいに、戦国期から続く古刹があります。
浄土宗の浄安寺です。
今から400年以上前の1583年、尾張国(現在の愛知県)出身の貞蓮社白誉岌松上人(ていれんじゃびゃくよきゅしょうしょうにん)という、フリガナがないと絶対名前の読めない(←笑)お坊さんによって創建されました。
現在地にお寺が建てられたのは1616年。
それ以前はここから徒歩10分ほど向こうにある片町に寺地があったそうです。
話がちょっと逸れますが、金沢のお寺の経歴を見ると「1616年に移転」という記載をよく見かけます。
何で多くのお寺が1616年に一斉に移転したかと言うと、藩の命令があったから。
お寺の持つ宗教的・政治的影響力を集中管理しやすいよう、それまで散在していたお寺を特定地域に集めたのです。
それが現在の寺町(てらまち)寺院群、卯辰山(うたつやま)寺院群、小立野(こだつの)寺院群です。
中でも最もお寺の数が多いのが、浄安寺のあるここ寺町寺院群です。
まずは門から見て行きましょう。
ここがいきなり面白いですよ!
見た目は比較的スリムな黒瓦をいただいた薬医門。
特段凝った装飾もなく、シンプルな造りになっています。
ですが。
よーく見ると、妙なモノがあります。
それは脚の部分。
ふんぎゅーーっっっ!と邪鬼を押し潰しています。
左右に一体ずつ。
邪鬼さん、両手でがっしりと支えて、ちょっと首を斜めに傾けて、歯を食いしばって耐えてます。
雨の日も風の日も、もちろん雪の日も、熱っ~~~い真夏の炎天下の元でも、文句ひとつ言わず耐えています。
ん~~~~~。
結構エゲツないかも(笑)。
門をくぐると、すぐ目の前に本堂。
こちらもそれほど装飾のない質素な造りになっています。
屋根は黒の桟瓦が並ぶさっぱりとした切妻屋根。
向拝下にある正面入口の柱は、細身のものが2本、素っ気なくすとんと下りているだけ。
中央上部に取り付けられている蟇股(かえるまた)も至って質素。
左右にほんのちょびっと雲の彫り物が入っている程度。
壁の構成は上下に分かれてて、上部はフラットな白漆喰、中央に中国風の格子が入ったガラス窓を挟んで、下部は純和風の下見板張り。
左側にひとつだけ配されている花頭窓(かとうまど)だけがオシャレと言えばオシャレですかね?
建築意匠的には、取り立てて特徴のない、実用性のみを追いかけた建物になっています。
でも中に入ると印象は一転!
大仏さまがどでーん!
金箔で彩られた大仏さまはひたすらに気高く神々しく。
大きいから余計に貫禄満点で。
見る者を圧倒的なオーラで包み込みます。
ちなみにこの大仏さまは阿弥陀如来さま。
どこで阿弥陀如来って判別するのかと言うと、手の平の形です。
右手と左手で「印」を結んでいるのですが、この指の組み方が阿弥陀定印という印形になっています。
阿弥陀定印を結んでいるから阿弥陀如来さま、と識別できるのです。
印には他にもいろんな形があります。
興味のある方はググって調べてみてください。
この大仏さま、木造です。
寄木造りという構造になっていて、いくつかの木のパーツを合体して作ってあります。
言葉はちょっとアレかもしれませんが、プラモデルのようなイメージです。
仏像の構造には大きく鋳造(ちゅうぞう)・塑像(そぞう)・乾漆像(かんしつぞう)・木造の4つのパターンがあります。
奈良の大仏さまは銅を流し込んで作った鋳造。
国宝の阿修羅像は中が空洞の乾漆像。
運慶・快慶が作った事で有名な東大寺南大門の金剛力士像は寄木造りの木造、つまりここの大仏さんと同じ作り方になっています。
これは外陣(大仏さまの安置されている場所が「内陣」、その正面にある参拝のための場所が「外陣」)の天井に吊り下がっている天蓋(てんがい)と幢幡(どうばん)。
イケてますわ~♪
金の下地の上に描かれた極彩色の画。
中央には鳳凰が美しく翼を広げ、その左右の対角線上に二頭の龍と獅子が向かい合う。
その隙間に埋め込むように描き込まれた植物と雲。
やや描き込みが多すぎてゴチャゴチャした感はありますが、見方を変えれば画面いっぱいに迫力が詰まってて。
天上極楽の世界観が生き生きと描写されています。
その左横の部屋に安置されているのが木造八臂弁財天坐像(もくぞうはっぴべんざいてんざぞう)。
厨子の中に収められています。
「八臂」とは手が8本という意味。
ちょっと暗くて分かりづらいですが、左右に4本ずつ腕があり、それぞれに何か持っています。
視認できるのは宝玉・宝輪・弓・剣。
後はちょっと分かりません。
多分矢と宝棒、金剛杵、鍵、と思うのですが、とにかく暗くてよく見えません。
もうちょっと照明当てて欲しい・・・。
弁財天と言えば楽器の琵琶を持った天女の姿で描かれることが多く、こんな武闘派(←?)の弁財天のイメージはあまりないでしょう。
でもこのタイプの弁財天像ってのは、日本全国他にもたくさん例があるみたいで。
うーん女の人って。
やっぱり裏と表の顔があるのね。(←それは違う)
金沢にある四大仏(蓮昌寺の釈迦如来立像・玄門寺の阿弥陀如来立像・極楽寺の阿弥陀如来坐像・そしてここの阿弥陀如来坐像)のひとつが見られる浄安寺。
まー素晴らしいです。
間違いなく一見の価値がありますので、機会があればぜひ一度ご訪問を。
蛇足ながら、阿弥陀如来さまとは衆生を極楽へと導いてくださる仏さまです。
手を合わせてしっかり拝んどけば、きっと素敵なあの世へ連れてってもらえますよ!
・・・・保障はしないけどね(笑)。
関連タグ >> お寺 寺町寺院群
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