店主たみこの観光案内日記

金沢能楽美術館

2018年12月22日

金沢能楽美術館

 

「能」と聞かされると、ちょっと近寄りがたいとか、自分には縁のない世界とか、そんなイメージはないでしょうか?
実はわたしもそっち側の人間です。(←!)
でもここ金沢は、藩政期より深く能と関わり合ってきた土地でした。

 

事の始まりは加賀藩藩祖、前田利家の時代にまでさかのぼります。
織田信長や豊臣秀吉が能を愛したことから、利家も能に随分力を入れ、彼自身も自ら演じたと言われています。
さらに3代目藩主利常は京都からわざわざ当時の主流であった金春流(こんぱくりゅう)の役者竹田権兵衛安信(たけがごんべいやすのぶ)を招聘、四百石もの厚待遇で召抱えました。
その後5代目藩主の綱紀(つなのり)の代になると、今度は将軍綱吉が宝生流(ほうしょうりゅう)を贔屓にしたことからそっちに乗り換え。
今度は宝生流が藩の主流へと踊り出ます。
そうして生まれたのが「加賀宝生」。
加賀の気質と宝生流が融合して生まれた、この地特有の能の形です。
やがて明治の世を迎え、武家の庇護を失ったことで一時期下火になりましたが、民間の努力で再度盛り返し。
昭和25年には金沢市文化財に指定され、現在も盛んに上演が続けられています。

 

そんな能にまつわる衣装や小道具などを収めているのが金沢能楽美術館。
開館したのは今からちょうど10年前の平成18年。
建物の中央がトンネル状の通路になっており、真裏にある金沢21世紀美術館とはダイレクトに行き来できます。

 

建物全体はガラス張りのスタイリッシュな外観。
キラキラした光沢と金属の放つ滑らかな艶は、「伝統」という言葉の持つ重苦しいイメージとは真逆の印象。
でもその分出入りが気軽で、中も清潔感あふれる明るい雰囲気。
まるでデパートにでも来たみたいな、開放的な空間です。

 

建物は三階建て。

 

一階は無料の展示スペースで、能に関する小道具や能面などが飾られています。
特に目を引くのが精巧に作られた能舞台の模型。
もともとこの場所(正確にまさにこの場所という訳ではありませんが)には、かつて”金澤能楽堂”と呼ばれる能舞台があったそうで。
現在は移設されて、ここから徒歩5分程の石川県立能楽堂にあるのですが、その舞台の模型が飾られています。

 

話は逸れますが、金沢のお子様は中学3年生を対象に授業の一環として能を観に行くことになっているらしく。
うちのボウズに聞いたら「あーそー言えば行ったー」とか言ってました。
試しにその舞台模型の写真を見せたら、「あーそー言えばこんなんやったー」と言ってたので、かなりリアルに再現できているみたいです。

 

ちなみに能ってどんなん観てきたん??って聞いてみたら。
時間は15分くらいで、なんか壺に毒が入ってて、でもそれは主人の嘘で、主人の留守中にこっそり食べたら美味しくて全部食べてしまったので、こりゃマズイと思い、家の大事なもの壊してしまったので死のうとして壺の毒を食べたけど、食べても食べても死に切れなくて、ついに全部食べてしまいました、ってウソついてごまかした、っていうお話やったと言ってました。
それって完全に一休とんち話のパクリやん、と言ったら、あーそーやな、ははははは、と言ってました。

 

話戻して、二階に上がると今度は有料ゾーン。
一気に雰囲気が骨董臭くなります。
こちらは実際に使用された衣装や面、その他能に関する様々な品が見られ、かなりゴージャス。
一部屋のみの展示と規模は少々コンパクトながらも内容の充実度は高く、一品一品じっくりと見たくなる品がずらりと並んでいます。
特に衣装の見応えは高く、金の刺繍で施された装飾は贅沢感満点!
かつて能がどれほど豪華なショーだったのかが実感できます。

 

三階は研修室。
こちらは要予約なので、基本立ち入れません。
能装束に身を包んで能体験をしてみたり、和楽器の演奏体験なんかができるそうです。
団体対象のようですが、興味がある方は直接問い合わせてみて下さい。



金沢で古来より親しまれてきた能。
今ではすっかり縁遠い世界になってしまいましたが、それでも重要な文化遺産です。
いきなり能を観覧するのはちょっと敷居が高いなって人は、まずは能に関する面や衣装などから触れてみてはいかがでしょうか?
意外と興味が深まるかもしれませんよ!

 

 

金沢能楽美術館

住所:石川県金沢市広坂 1-2-25

TEL:076-220-2790

 




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