摩利支天山 宝泉寺 本堂に飾られている天狗のお面は誰のもの?
2021年04月07日
金沢の観光名所と言えば真っ先に名前の挙がるひがし茶屋街。
そのひがし茶屋街の奥、ちょっと急な坂道を登ったところにあるのが宝泉寺(ほうせんじ)です。
こちらのご本尊である摩利支天やお寺建立の経緯などについては、既に以前の記事で紹介しているのでそちらをご参照ください。
今回は寺内の様子について見ていきます。
まずは本堂左。
いきなりビビッと目に突き刺さる赤鳥居×赤鳥居×赤鳥居×赤鳥居。
その先に続くお堂も赤。
「赤」とくれば当然アレですな、アレ。
お稲荷さん。
お堂の入口には「鎮守堂」のお札が下げられてますが、どこから見てもお稲荷さんのお堂です。
ちょっと中を覗いてみましょう。
奥にキツネがいますね。
天井につるされた提灯には「正一位稲荷大明神」の文字。
バンバンにお稲荷さんです。
建物はまだ新しいので、比較的最近建てられたものでしょう。
10年か、まあ20年は経ってないですね。
もう50年くらいすれば建材や塗装に疲労感が出て、なんとな~く貫禄が備わってくるでしょう。
今はまだちょっとピカピカすぎて軽いですね。
そしてこのお稲荷さんを横目に奥へと進むと、心臓部である本堂が見えてきます。
大振りな入母屋屋根に、滑らかなカーブを描く唐破風の向拝が美しいお堂。
なのですが。
画面的に木が邪魔だ(笑)。
もうちょっと寄ってみます。
イイ~ですなこのマスク♪
前面にガシッと張り出した2本の向拝柱。
太くて重量感があって、押し迫るような威圧。
その上に渡された虹梁(こうりょう・横に渡した木)もずっしりと太く、存在感満点。
両端の木鼻部分には猛々しいバクの彫刻がガシリ。
バクには参拝者の煩悩や仏敵である邪鬼を食うという意味合いがあります。
神社で言えば狛犬のような存在。
だから悪いヤツはこの下を通ることができません。
おかげでわたしも通れません。(←?)
もうひとつ見て欲しいのがこの部分。
「摩利支天」と揮毫(きごう)された扁額の左右にあるお面です。
見ての通り天狗のお面。
なんで天狗なの?って感じなのですが、この天狗、後でもう1回出てきます。
今はとりあえず、あーこのお寺、なんか天狗祀ってんだな~、くらいに記憶しといてください。
本堂前にはこんな石仏が置かれています。
摩利支天像。
摩利支天は陽炎(かげろう)の神で、陽炎ゆえに実体がなく、隠形・迅速・不可触の象徴とされてきました。
その摩利支天がこのお寺のご本尊なのです。
ただ残念ながら秘仏として御開帳されていないため、代わりにここに石仏を置いて摩利支天アピールをしているのです。
でもまあ代理とは言え、この石仏、いい感じですよね。
ゆったりとした衣をまとい、足はリラックスした遊戯坐(ゆげざ)に組み、座ははっきり判別できませんが恐らく岩座。
頭には宝冠を頂いて、口元にうっすらとしたアルカイックスマイルを浮かべ、静かにこちらを見下ろしています。
う~ん守ってもらえそう♪
わたし悪いヤツだけど。(←??)
そしてこちらが宝泉寺ご自慢の五本松。
幹が5方向に分かれ、まるで5本の松が生えているかのような姿形からそう名付けられています。
その異形から、かつてはこの松の上に天狗が住んでいると言い伝えられていたそうです。
ここで思い出して欲しいのが、先ほど見た本堂の天狗のお面。
あの天狗面は、この五本松の天狗に由来しているのです。
何気にアッチとコッチが天狗で繋がってんですね。
最後に見て欲しいのがこの眺め。
有名な宝泉寺の絶景です。
絶景とは言っても、金沢の田舎臭い町並みがもそ~っと見えるだけなんですけどね。
この宝泉寺は卯辰山の中腹、つまり傾斜地のヘリに建っているような格好になっています。
なので高台になっていて、ものすごーく見通しがいいのですよ。
ここから見渡すと見える見える、はるか先まですかーっと見える。
かつて芥川龍之介がここを訪れた際、この眺めを「金沢一の大絶景」と称賛したそうです。
実際気持ちいいですよ。
高台ゆえに吹き抜ける風が心地良くて。
宝泉寺に行った時は、ここは必ずチェックしてってください。
不思議な神秘感に包まれたお寺、宝泉寺。
この幽玄な空気は摩利支天が作っているのか、天狗が作っているのか、あるいは高台という立地が作っているのか。
ひとつひとつじっくり解釈しながら、自分なりに探ってみてください。
この宝泉寺の奥をもうちょっと進むと、蓮如上人の像があります。
こちらも立派!
歩いて1分ほどなので、ぜひ合わせて参拝してみてください。
関連タグ >> お寺 宝泉寺
コメントをする
子来町の最新記事一覧

摩利支天山 宝泉寺 本堂に飾られている天狗のお面は誰のもの?
2021年04月07日
金沢の観光名所と言えば真っ先に名前の挙がるひがし茶屋街。そのひがし茶屋街の奥、ちょっと急な坂道を登ったところにあるのが宝・・・
カテゴリー:観光名所

東別院東山蓮如堂 蓮如上人像に隠された謎を解け!
2021年01月27日
卯辰山の中腹、宝泉寺(ほうせんじ)の裏手にどーんとそびえる像があります。蓮如(れんにょ)さんです。ここ金沢は真宗王国と呼・・・
カテゴリー:観光名所

卯蕎 鴨せいろ ひがし茶屋街の奥にある隠れ家的お蕎麦屋さん
2020年07月01日
この日は卯辰山界隈をぶ~らぶら。観音院をお参りして、宝泉寺をお参りして、そろそろお昼。メシを食わねば!この付近に前から目・・・
カテゴリー:グルメ
- 一乗谷朝倉氏遺跡 雲正寺地区・平面復原地区 今も残る生々しい生活の痕跡
- 一乗谷朝倉氏遺跡 下城戸跡・上城戸跡 ここがディフェンスラインの最前線
- とんかつ勝亭 立山ロース定食 この肉、味もボリュームも極上だわ~♪
- 加賀大観音 怖いです、マジで
- 高岡市万葉歴史館 大伴家持への愛がどっぷり詰まった万葉の空間
- 武家屋敷旧内山家 古き日本のノスタルジーを今に残すシブ~いお家
- 兼六園 鶺鴒島 見ただけじゃ絶対に気付けない隠されたストーリーを読む
- 南新保C遺跡現地説明会 詳しい事後検討の報告を求ム
- さぶろうべい 親とり白菜鍋 素材の味が素朴に生きるそのまんまの味
- 城が平横穴古墳 古代の墓地跡にちょっと戦慄
- 西山 光照寺 空海が彫った伝説の仏像はどこ??
- 穴水城址 アッケラカンとした拍子抜けな城跡
- 魯山人寓居跡 いろは草庵 魯山人も愛したシブ~い屋敷
- エジプト、サッカラ遺跡発掘調査最新報告展 エジプトに眠る古代ロマン、胸躍るわ~!
- 金沢カレー研究工房 金の金沢カレー ヘビーなカレーが食いたい人はどうぞ
- 琴ヶ浜海水浴場 砂が泣く不思議な砂浜、のはずなんだけど・・泣かなくね?
- 北の庄城址資料館 柴田公園をより深く楽しめる情報がいっぱい
- 北の庄城址 柴田公園 モテたいヤツはココに来い!
- 旧角海家住宅 相当儲けとったようやの~北前船・・
- 高岡御車山会館 やっぱお祭り楽しいぜ~