摩利支天山 宝泉寺
2019年07月30日
金沢には3つの寺院群があります。
寺町(てらまち)寺院群、小立野(こだつの)寺院群、そして卯辰山(うたつやま)寺院群です。
今回紹介する宝泉寺は、卯辰山寺院群の中のひとつです。
場所はひがし茶屋街の奥、宇多須(うたす)神社の脇にある小坂をチョコチョコっと登ったすぐ先にあります。
見た目そんな立派じゃないんですが(失礼!)。
実はここ、加賀藩藩祖前田利家と深~~い縁があるお寺なんです。
摩利支天ってご存知ですかね?
戦いの神様です。
陽炎を神格化したもので勝運を導くそうで、戦国時代、武士に広く崇拝されていました。
利家もそんな摩利支天を深く信仰したひとりで、合戦の際には像を兜に納めて出陣したと伝えられています。
え?兜に入れるって、それ小っちゃくね?と思われるでしょう。
はい、実際小さいのです。
利家が愛用したのは、大きさ5センチちょっと。
手のひらサイズです。
そしてこの5センチちょっとの摩利支天像、今もある場所に保管されています。
どこか?
そう、それがここ宝泉寺なのです。
なぜこんな小さなお寺にそんなお宝が流れてきたのかと言うと、理由は場所。
城の鬼門を封じるためです。
鬼門ってのは陰陽道に基づく思想で、鬼が出入りする方角と考えられています。
要するに縁起の悪い方角ですな。
具体的には艮(うしとら・北東)が表鬼門、反対側の坤(ひつじさる・南西)が裏鬼門とされています。
宝泉寺のある場所は金沢城から見てちょうど北東にあり、ドンピシャ鬼門に当たるのです。
って言うか鬼門の場所だから、そこにお寺を建てたんですけどね。
さあこの鬼門を何に封じてもらうか?
なんたって加賀百万石の心臓部とも言える、金沢城の鬼門ですからね。
超ーーーーーー強力なパワーで守って欲しい。
そこで登場したのが摩利支天像。
それも利家が実際の戦で用いて勝利をつかんできた、実績十分の摩利支天像。
これに守ってもらおう!となったのです。
こうしてここ宝泉寺に、貴重な利家愛用の摩利支天像が安置されることとなったのです。
でもね。
すごーく残念な話なんですが。
見られません。
寺の至宝とも言える摩利支天像は秘仏とされており、一般公開はされておりません。
わたしも見たことありません。
寺側の説明によると、摩利支天は隠形(おんぎょう)、要するに目に見えないことにご利益があるとのことですが。
この辺の宗教的小理屈はちょっと意味分からんですな。
常時とは言わないまでも、せめて年に数回程度は公開して欲しいものです。
利家秘蔵の摩利支天像が眠る宝泉寺。
金沢観光のド定番ひがし茶屋街から歩いてすぐの距離です。
ちょっと位置的に外れてはいますが、せっかく茶屋街まで行ったのならぜひ訪れてみてください。
なおこのお寺の高台からの眺めは格別。
この眺めは、かの芥川龍之介も絶賛したと言われています。
涼風をさらーっと浴びながら眺める金沢の小街並。
これもぜひ楽しんでいってください。
関連タグ >> お寺 宝泉寺 卯辰山寺院群
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