東別院東山蓮如堂 蓮如上人像に隠された謎を解け!
2021年01月27日
卯辰山の中腹、宝泉寺(ほうせんじ)の裏手にどーんとそびえる像があります。
蓮如(れんにょ)さんです。
ここ金沢は真宗王国と呼ばれ、浄土真宗系のお寺を多く抱えています。
当然信徒も大勢いる訳ですが、その背景には蓮如の存在が大きく影響しています。
蓮如は1415~1499年(室町時代)に活躍した僧侶で、その生涯は波乱に満ちたものでした。
一旦は本拠地である本願寺を放逐されるのですが、その後各地を転々としながら布教を続け、ここ北陸にも足を運びます。
そして隣の福井県の吉崎に御坊を開き、浄土真宗の一大王国を作り上げるのです。
最後は本願寺へと戻って教団の復興に尽力、現在の本願寺教団の元を築き上げ、「本願寺中興の祖」と呼ばれるに至りました。
こちらが像の前にあるお堂です。
取り立てて特徴のない、簡素~な造り。
布教のためというより、蓮如を祀るために使われる施設なのでしょう。
ここでは毎年4月25日には蓮如忌、10月には報恩講が行われています。
内部の様子は不明。
浄土真宗なので、多分須弥壇に阿弥陀如来が祀ってあるんじゃないですかね。
いつか機会があれば覗いてみたいと思います。
そのお堂を横目にちょっと行った先にあるのが、先にも見た蓮如上人像。
高いのですわ、台座が。
それも自然石でガッチガチに組まれてて、荒々しさハンパない。
これを見るとアレを思い出しますね、兼六園の日本武尊像(やまとたけるのみことぞう)。
あれも自然石組みなのでそっくり。
別に意識した訳じゃないだろうけど。
基壇の右側にはこんなお堂があります。
人の背丈よりもちょっと高い程度のちっちゃなお堂。
これについては扉が閉じられていることもあり、全く詳細が不明。
中に何入ってんですかね?
多分蓮如さんが祀られてると思うのですが、何の案内もなくさっぱり分かりません。
誰か開けてください。(←おいっ)
ちょっと引いて像を真正面から。
いいですわね~、このアングル♪
石積みの基壇をきっちり組み上げ、周囲を石のレールでぐるりと囲む。
直線×直線×直線の幾何学的な構造。
その上に自然石をゴチゴチと無造作に積み上げ、頂点に錫杖と数珠を携えた蓮如上人が悠然と立つ。
この自然石の台座は修行の厳しさを表現してるんでしょうね。
艱難辛苦に満ちた仏の道を、ひたすらにまい進する蓮如上人。
そんな彼の生涯や生き様が、この像のテーマなのでしょう。
基壇の形にもちょっと注目してみましょう。
正八角形をしています。
これにも当然意味があります。
仏教において「八」は大変縁の深い数字で、八大菩薩、八大竜王、八解脱など、やたら「八」の付く言葉が見当たります。
また教義においても八徳(仁・義・礼・智・信・忠・孝・悌)や八正道(正見、正思惟、正語、正業、正命、正精進、正定)という言葉があります。
さらに八には八方へ広がって行く、つまり無限の広がりという意味もあります。(逆にまったく行き場がなくなるのが「八方ふさがり」)
基壇が八角形に作られているのは、蓮如の教えが四方八方へあまねく伝わっていく、そんな姿を描いているのです。
以上をまとめるとこの像には、岩の上で厳しい修行を重ねる蓮如上人が、幾多もの苦難を乗り越えながら悟りを重ね、磨き上げ。
そこから体得した大いなる知恵や教えを八方へと伝播させ、衆生を仏の道へと導いていく。
と、そんな壮大なストーリーが隠されているのです。
なんか1本の映画みたいですね。
深いゾ!蓮如像!
何気に色んなメッセージが込められた蓮如上人像。
そんな像の謎解きも楽しいですが、ここは宗教の場、難しく考える必要はありません。
心静かに手を合わせ、祈りを捧げればそれでオーケーです。
蓮如さん、それできっとにっこり微笑んでくれます。
すぐそこには日本三大摩利支天像を祀る宝泉寺(ほうせんじ)があります。
境内は高台になっていて、金沢の街並みがざっと見渡せます。
その眺めは、かの芥川龍之介も絶賛したと言われる大絶景。
歩いて1分ですので、こちらもぜひ堪能していってください。
東別院東山蓮如堂
住所:石川県金沢市子来町 55-6
関連タグ >> お寺 卯辰山寺院群
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