店主たみこの観光案内ブログ

国立工芸館 展示編 その2 ◆気絶必至の松田権六の緻密ワーク

2020年11月21日

国立工芸館中央階段の窓

 

前回は国立工芸館の1階部分と展示室1を見てきました。
今回は2階の様子と展示室2・3を見て行きます。

 

まず見て欲しいのがこの窓。

中央にある明治レトロな木製階段の踊り場にあります。

 

カッコエーですなこれも♪
ちょっと教会っぽい、アーチ形の深茶色の枠に、縦横斜めに伸びるトレーサリー(飾り枠)。
そこから差し込む神々しい光と、優しく伸びる白と黒の陰影。

 

いやーアートですわ。
工芸作品も素晴らしいですけど、建物もガッチガチにアートですわ!

 

2階のラウンジ

 

そんなザ・アートな階段の先にあるのがこの小さな部屋。
「ラウンジ」と呼ばれる場所です。

 

この建物が元々は旧陸軍第九師団司令部の庁舎だった事は既に書いた通りですが、ここはその師団長の部屋だったそうです。
社長室みたいなモンですね。
中には小さな作品がポツポツと展示されています。

 

ただね遠いんですわ、作品まで。
小っちゃいくせに遠くからしか見れないんで、なーんか中途半端。
もうちょっと展示の仕方、考えた方がいいんでないの?

 

松田権六の仕事場

 

その部屋を背に右に進むと、次に目にするのが「松田権六(まつだ ごんろく)の仕事場」と銘打たれた展示。
ご覧の通り仕事部屋が再現されています。
再現って言うか、多分現物でしょう。
本当に使っていた部屋をバラして持ってきて再構築したと思われます。

 

松田権六ってのは蒔絵師で人間国宝だった人。
金沢生まれの大作家さんです。
ただ活動拠点は東京だったようで、この仕事場も東京の自宅にあったものです。

 

松田権六の仕事道具

 

裏には使っていた仕事道具やメモ書きなんかの展示も。
実際に見てもらうと分かるのですが、まー細かいのですわ、道具が。
こんなん使ってやってたの?みたいな。

 

この正面には仕事風景の映像なんかも流されてて、その繊細な手作業がリアルに見られます。
細かいです。
鬼のように細かいです。
わたしみたいな老眼ぢぢーにはもう気絶しそうになるくらいの細かさです!(←?)

 

国立工芸館の展示室2

 

その向こうにあるのが展示室2。
ここでは「『自然』のイメージを更新する」というテーマで展示が行われています。
もうちょっと分かりやすく言うと「古来より現代に至るまで作家たちは『自然』をどのように表現してきたか」を追って見て行くという趣向になっています。

 

展示内容はさらに細分化されており

 

・模倣する、自然を移し替える
・見立てる
・本歌取りする─反復し、のりこえる
・単純化する
・抽出する

 

の5テーマに分けられています。

 

この辺の意味は何言ってるのかわたしもよく分かりません。
自力で解釈してください。(←おいっ!)

 

川喜田半泥子 志野茶碗 赤不動

 

こちらは川喜田半泥子(かわきた はんでいし)の『志野茶碗 赤不動』。

 

これ、見おぼえありません?
そう前回記事で見た、タッチパネルで「いじくり回せる」茶碗です。
現物はこのようにガラスケースの中に入れられてて制限された角度からしか鑑賞できませんが、あのタッチパネルを使うとこれが360度、それこそ茶碗の裏っかわまで見られるのです。

 

そう考えるとすげーですな、あのシステム。
家でパソコンからアクセスできたらさらにスゲーんですけどね。

 

芽の部屋

 

展示室2を出て反対側に向かうと、右手に現れるのが「芽の部屋」という展示室。
ご覧の通りキューブ状の箱っぽいものがでんと置かれ、中に作品が飾られています。

 

こちら何の展示かと言うと、新人作家さんの紹介コーナーです。
部屋の名前にある「芽」とは、新人作家さん達の事なんですね。
で、キューブ状の箱は、画像じゃちょっと分からんと思いますが、細い竹で編まれています。
これは恐らく植物の「根」の表現。
つまりこの展示は、新しい作家さん達の作品が今まさにこの根の中から芽吹き、そして大きく成長していく、というそんな瞬間を表しているのです。

 

見た感じ静かーな展示ですが。
実はエネルギーと野望の塊なんですよ、コレ。

 

国立工芸館の展示室3

 

その先が最後の部屋、展示室3。
ここでは「風土─場所ともの」というテーマで展示が行われています。
内容は比較的シンプルで、地域ごとに区切った作品が紹介されています。

 

板谷波山 葆光彩磁牡丹紋様花瓶

 

中でも一番目を引くのがこれですかね。
板谷波山(いたや はざん)の『葆光彩磁牡丹紋様花瓶』。

 

素晴らしいですよね、この冷やりとした白の中にふんわり浮かぶ牡丹紋様。
どこから始まってどこで終わるのかわからない、不思議な色彩の重なり。


例によって作品名を因数分解するとこんな感じ。

 

「葆光(ほこう)」・・・人が到達する極限の先に見える光
「彩磁(さいじ)」・・・釉薬の下に彩色してある
「牡丹紋様(ぼたんもんよう)」・・・紋様のパターン
「花瓶(かびん)」・・・用途

 

こんな花瓶、家に飾ったらカッコイイだろうな~。

ウチは狭くて無理だけどな(笑)。

 

旧金沢偕行社側への入口

 

さらにこの展示室3には、もうひとつ見落とせない大事なポイントがあります。
それがこちらの旧金沢偕行社側への入口。
でもクローズド。

 

だからこの先が見たいんですわ!
わし、ここ見に来たんですわ!
なんでシャットアウトやねん!

 

旧金沢偕行社の建物

 

ちなみに旧金沢偕行社の建物は事務所&保管庫として使われています。

 

意味ねー。
そんなん別棟にすりゃいいやん。
わざわざ価値ある建築をそんな他でも間に合うような用途で使う意味が分からん。
何考えてそんなんしたんか理解に苦しむわ・・・。

 

国立工芸館の外観

 

以上、3回に渡って見てきた国立工芸館、いかがだったでしょうか?
カッコイーですよ、とにかく建物がカッコイーですよ。
工芸ってよー分からんけどーって人は、ぜひ建物だけでも見に来てください。
1時間くらいぼーっと見てられますよ!(←そこまでいったらマニア)

 

なお今回紹介した企画展「工の芸術―素材・わざ・風土」は、2021年1月11日までの開催予定です。
面白そうだし見に行きたいなって人は、それまでにご来館を!

 

 

国立工芸館

住所:石川県金沢市出羽町 3-2

TEL:050-5541-8600

ホームページ:国立工芸館公式サイト

 




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関連タグ >> 美術館・博物館 国立工芸館 

 


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