国立工芸館 まだオープン前ですが
2019年12月07日
来年オープンとなる国立工芸館、正式名称「東京国立近代美術館工芸館」。
いよいよ開館まで秒読み段階となりました。
地方創生策の一環として、それまで東京にあった国立美術館が地方都市である金沢へ移転されると発表されたのが2016年。
そこから着々と準備が進められ、今秋ついに建物が完成。
先日マスコミおよび抽選で選ばれた一般市民を対象に、初のお披露目が行われました。
この話の流れだと、え?お前行ったの?って感じですが。
スミマセン、行ってません。
内見会を開催するのは知ってましたが、その内その内と応募を先延ばししてたら、応募期間終わってました。(←バカ)
なので建物外観しか分かりませんが。
内部の詳細は全く不明ですが。
このタイミングで一度記事を上げとくのもいいかなと思い、少々フライング気味ですが書きます。
さてこの建物、なんか変じゃありませんか?
右と左、非対称なのはまあいいとして、違いすぎません?
明らかに統一感がないと言うか。
それもそのはず、これ元々は全く別の建物を持ってきて強引にドッキングさせたものなのです。
右が「旧金沢偕行社(きゅうかなざわかいこうしゃ)」、左が「旧第九師団司令部庁舎(きゅうだいきゅうしだんしれいぶちょうしゃ)」。
共に明治期の建物です。
見た目の違いが大きいのは、それぞれの性格の違いによるもの。
個別に見ていきます。
まずは旧金沢偕行社。
この建物、陸軍将校の社交場として作られたものです。
要は舞踏会を開いたり、祝賀会が開かれたりと、そういった場所。
なのでご覧の通り見た目が華やか。
様式としてはバロック様式。
17~8世紀頃、イタリアで流行った建築様式です。
特徴としては派手、そして派手、さらに派手、です。(←?)
驚いたのが色ですね。
縦横に走るグリーンのライン。
これ、移築前の旧金沢偕行社を見たことある人なら、え?と目を疑う思うはず。
ちなみに移築前の姿がこちら。
移築前の画像を持ってるところが我ながらマニアだな(笑)。
違うでしょ?全然。
浅い紫色と言うか、紫っぽい肌色と言うか。
少なくともグリーンのイメージは全然ない。
この色がなんでグリーンになっちゃったのかと言うと、移築に伴い元の色が分かったからなんだそうで。
多分解体したら、部材の継ぎ目の空気にずっと触れてなかった部分が鮮やかなグリーンの色をしてたんじゃないかと予想しますが。
それで移築ついでに色も元のグリーンに戻しましたと。
そんな事らしいです。
前の色の方がレトロ感があっていいですが。
だけどグリーンの方がバロック様式らしい派手さがよく出てるし。
どちらがいいかは見る人の好みでしょうね。
続いて左の旧第九師団司令部庁舎。
スタイルとしてはルネッサンス様式。
バロックより早い15~6世紀頃にイタリアで流行った建築で、特徴としては地味そしてシンプル。
基本的に古代ローマやギリシャ建築をイメージしています。
確かに旧金沢偕行社と違ってかなり大人しい印象。
装飾は少ないし、色使いも控えめ。
と言うのも、この建物の使用目的はその名の通り軍の司令部。
社交目的で遊ぶために作られた旧金沢偕行社と違って、とってもオカタイ施設なのです。
要はお役所みたいな感じですね。
もちろんこちらもちゃんと移築前の画像が残ってます、マニアなので(笑)。
え?と思いません??
サイズが全然違う。
明らかに小さい。
実は新しくなった旧第九師団司令部庁舎、ツギハギしてあります。
移築と同時に、建物の左右に増築を施したのです。
でも意味もなく勝手に継ぎ足した訳ではありません。
本来はこれが正しいサイズなのです。
この建物、元々は金沢城の二の丸に建てられたのですが、その当時はこのサイズでした。
だけど後に移築した際、両サイドを削って半分程の大きさに縮小しちゃったのです。
それが今回の再移築に伴い、元のサイズに戻したという事なのです。
ちなみにこの建物、木造なのですが、継ぎ足した部分については鉄筋になってるそうです。
最後にこれらの建物の引っ越しの変遷を。
国立工芸館の正面、道を挟んだ先に石川県立能楽堂があります。
その横に新しくできた駐車場があるのですが、この場所に今年の初めくらいまで旧金沢偕行社と旧第九師団司令部庁舎の建物が並んで建っていました。
その前はどうだったかと言うと、旧金沢偕行社は元からそこにあったらしいです。
ただ昭和45年に曳家工事(建物をちょっと浮かして場所をズラす)をしてるそうなので、どうも位置的には少しだけ動いてるみたいで。
どのくらいの距離かは不明ですが、曳家なので長くてもせいぜい10~20メートル程度でしょう。
旧第九師団司令部庁舎は既に書いた通り、金沢城の二の丸にありました。
それが昭和43年に旧金沢偕行社の横に移築。
そして今回、再度移築され、旧金沢偕行社と一緒に国立工芸館として新たに活用される事となったのです。
参考までに、工事中はこんな感じ。
フェンスで囲まれてて、んーーー中見えんぞー、みたいな。
って言うか、工事中から撮影して追いかけてたのかよって感じですが(笑)。
いよいよオープン間近となった国立工芸館。
現時点では2020東京オリンピックに間に合うようにという表現にとどまり、具体的な開館日は発表されてませんが。
どうですかね?春くらいにはオープンするんじゃないですかね?
今はとりあえず待つのみです。
オープンしたら改めてレポートしまーす!
関連タグ >> 美術館・博物館 古建築 国立工芸館
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