常在山 本土寺 天井画にズッコケないでネ
2021年07月21日
血なまぐさい伝承を持つ本土寺(ほんどじ)。
ここ、あんまり気持ち良くない言い伝えが残っています。
宗教ってなんだよ?
坊主ってなんだよ?
みたいなね。
何が気持ち良くないって、人が殺されてんですよ。
しかも殺したのが寺の坊主っていうね。
詳しくはこの石板に書かれているんですけど、読んでも分からんです。
無駄に言い回し難しくて、何書いてあんのかさっぱり分からんです。
なので分かりやすく訳すと以下の通り。
日蓮宗の開祖、日蓮の孫弟子で日像ってお坊さんがいました。
そのお坊さんが萬蔵ってお坊さんに頼まれて、石動山の天平寺で説法を行いました。
そしたら天平寺の僧たち大激怒!
日像と萬蔵を敵と見なし、殺しに(マジで)来ました。
それを助けたのが太郎・北太郎という兄弟農夫。
でも2人vs石動山のクレージー僧侶軍団ではハナから勝負にならず、あえなく殺されてしまいました。
そんな2人を哀れみ、無事逃げ伸びた日像が後に建てたお寺がこの本土寺です。
って感じ。
どうなんですかね、宗教者であるお坊さんが殺人って?
まあ石動山のお坊さんって暴虐的だったと言うか、そもそもあんまり素行が良くなかったみたいですけどね。
そんな本土寺のエントランスを飾るのがこの山門。
両脇に仁王像を収めた八脚門です。
ま~スバラシイですわな♪
黒瓦と太い柱が作り出す重厚感。
木の枯色からにじみ出る威厳と老蒼感。
そしてその周囲を覆う木々と苔が放つ神秘的な緑。
幽玄です。
霊的エネルギーギンギン!です。
その門を守る仁王像。
コレもい~いじゃないですか♪
左に吽像(うんぞう)、右に阿像(あぞう)。
燃えるような紅色の肌は熱く強く、両の太い足で大地をどしりと踏みつける。
腕は筋肉でもりもりに盛り上がり、手には武器となる法具を握り締め、無限の法力で邪なる敵を迎え撃つ。
まさに仏法の守護神!
ちなみにこの仁王像、元々は太郎・北太郎兄弟を惨殺した僧達がいた、あの天平寺にあったものです。
それが明治初年の廃仏毀釈のゴタゴタの中でなぜかここへ移され、以来ずーっと大切に守られてきました。
なんとも釈然とせん話ですな。
わたしならそんな因縁のあるお寺の像なんて絶対受け入れんけどね。
いったいどんな成り行きがあってこうなっちゃったんですかね?
その仁王門を抜けるとすぐ目の前が本堂。
壁は白漆喰の真壁作り、腰回りには下見板張り。
屋根は反りのない切妻造りで、桁行五間の中規模サイズ。
ごくごくオーソドックスなスタイルです。
装飾らしい装飾と言えば、中央の唐破風とその軒下の彫刻くらいですかね?
左右の木鼻に獅子、中央に龍。
その上に雲形文様を刻んだ蟇股(かえるまた)がガッシリ。
ぶっちゃけそんなに主張の強くない、地味な造り。
こちらは境内左側にある鐘楼。
これまたシンプルな造りで、内転び(上に向かってすぼまっていく形)の4本柱に切妻屋根。
なんだけど。
素敵なのは建物より基壇の石垣。
武骨感満点の野面積み(自然石の積み重ね)が素晴らしくワイルド。
しかもその石、よーく見ると色んな石が組み合わさっています。
砂岩、泥岩、花崗岩、変成岩とバラエティー豊かで、石マニアには至福の眺め!
絶対わざとでしょうね、コレ。
色んな場所から表情の違う石をエッサエッサと集めて組んだのでしょう。
ん~ファンタスティック♪
さらにその鐘楼の脇に謎に上に伸びる石段があります。
登り口左脇には『奥の院』の文字が刻まれた石碑。
奥の院とはその名の通り奥に設けられた仏堂または何らかの碑です。
一般的には開山した祖師や本尊なんかが祀られています。
ただ決まったルールがある訳ではなく、何があるかはそのお寺次第。
現場まで行って確かめるしかありません。
早速登ってみましょう。
その途中、90度に折れ曲がる角にあるのがこのお堂。
名称不明、詳細不明。
ぱっと見、明治期か昭和初期くらいの建物かな?といった感じ。
取り立てて派手なデコレーションのない、質素なお堂です。
中にはお社(やしろ)。
神社ですな。
祀られている神はこれまた不明ですが、見た感じ三十番神(さんじゅうばんしん)と思われます。
三十番神とは1ヶ月間日替わりで守ってくれる神さまです。
じゃあ31日ある月はどうすんだ?って思われる方もおられるかもしれませんが、大丈夫。
31日専門の神さまも別にちゃんといらっしゃいます。
じゃあ「三十番神」じゃなくて「三十一番神」になるんじゃないの?と思われる方もおられるかもしれませんが、大丈夫。
大丈夫です。
もうこれ以上深く考えないでください。(←?)
そして石段の最終地点に現れるのがこのお堂。
七面大明神(しちめんだいみょうじん)を祀ったお堂です。
七面大明神とは法華経の護法神とされている神で、七面天女とも呼ばれています。
伝承によると、日蓮が説法をしていた際に現れた神さまなんだそうで。
法華経を奉じる人々を守り、大いなる安らぎを与えると言われています。
中にはやっぱりお社。
内部に像が安置されていて、どうもこの像が七面大明神ってことみたいです。
なんだけど。
顔が全然見えん・・(汗)。
見たいな~。
像の全体が見たいな~。
見たいーーーー!!!!(←なんでも見たがり)
ここでちょっと見て欲しいのが天井。
仕様としては格式高い格天井。
なのですが、見て欲しいのは天井の仕立てじゃなくて画。
なんだよコレ?
えらいフレンドリーじゃないか。
見た感じお地蔵さんに見えるんだけど。
って言うか、なんでこんなにカワイイの?
えっれ~緊張感ねーな(笑)。
小さいけど、所々に面白さを散りばめている本土寺。
いいですよー。
心洗われますよー。
なんか仏の神霊力が天からサラサラ降り注いで来るような霊験空間を味わえますよー。
場所は山奥です。
なかなかの僻地です。
車がないとちょーっと来るには厳しい立地ですけど、でも来るだけの価値はあります。
大自然と仏教が織りなす神秘のワンダーワールド、ぜひ一度はご堪能を。
仁王様も目玉ギョロギョロさせて待ってますヨ!
常在山 本土寺
住所:石川県鹿島郡中能登町西馬場 ユ 3
TEL:0767-72-2235
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