高岡城 中の島&小竹藪◆城内で最も庭園化されたエリア
2021年06月28日
現在は公園として整備されている高岡城。
城郭建築の類はひとつもありませんが、現役時代の堀や曲輪がほぼそのままの形で残っている全国でも稀有な城です。
ある意味戦国時代のタイムカプセル。
前回はそんな高岡城の大手口から本丸までの様子を見てきました。
今回はさらにその先へと進みます。
本丸広場を抜けてトコトコっと降りていくと、すぐ下に水堀が見えてきます。
その堀に渡された橋がこちら、「朝陽橋(ちょうようばし)」。
朱塗りの反り橋です。
これがまた絵になるのですよ!
朱塗りの神聖さと反り橋のプロポーション。
そしてバックに映える緑と水。
でもわたしが撮るとイマイチ冴えませんね。
プロのカメラマンが撮ったらもっとカッコ良くキメちゃうんでしょうが(汗)。
その朝陽橋なんですが、渡らずにちょっと左の脇道に降りて欲しいのです。
その先にこんなのがあります。
「聖観音菩薩」。
これもまた絵になるんですわ。
細い滝が白い水しぶきを吹きながら激しく落ち、その傍らに静かにたたずむ観音さま。
動と静の対比。
そして背景には生き生きと萌える緑。
でもやっぱわたしが撮った写真だと冴えませんね。
現場はもっと静謐感漂う神秘の空間なんですけどね。
スキル低っ!
さて、ここでちょっと疑問。
この滝の水、どっから来てんの?
考えてみれば不自然なのですわ。
滝の水はこの下の水堀へと流れていくのですが、という事は本来の水位はその水堀の水位。
でも滝の水はその上から落ちてます。
おかしくね?
って事で上に戻って調査してみました。
こちらが水源。
どうやら地中に水道管を通してあるようです。
地中だけに詳しい経路は分かりませんが、恐らく堀からポンプで水を汲み上げて流しているのでしょう。
つまりいかにも自然の滝っぽく見せてるけど、実は100%人工的なもの。
なのでスイッチ切ったら止まります、多分。
この滝、電気で動いてんのかー、と思うと。
急に薄っぺらく感じてしまうのはわたしだけ?(笑)
再びさっき見た朝陽橋に戻り、橋を渡って左に降りると中の島に出ます。
ここは高岡城で最も眺めの美しい場所。
ただ一方で違和感も。
なんかお城っていうより庭園っぽくね?
そう、庭なんです、ココ。
明治に入って、元あった水堀をベースに庭園として改造されています。
設計に当たったのは京都の庭師であった廣瀬萬次郎。
具体的にどこをどういじったのか詳しい情報がないので不明ですが、先に見た人工滝はどうもこの人の仕事みたいです。
そして中の島。
冷静に考えれば、お城の水堀の中に島があるなんておかしいですよね?
この島も萬次郎によって造成されたものです。
中の島を中心とした今ある回遊ルートも恐らくこの時に整備されたものでしょう。
その中の島の中心部が築山になっていて、石碑が1基建っています。
碑には『服部嘉十郎先生頌徳碑』の文字。
服部嘉十郎(はっとり かじゅうろう)?誰?って感じですが、実はこの人、高岡古城公園の生みの親です。
高岡城が戦後の宅地開発の波に飲み込まれず、江戸期の姿をそのままに保ち続けた背景には、この人の尽力が大きく関わっていました。
詳しく書くと長くなるので省略しますが、要するにお城の公園化を進めた中心人物です。
その業績と遺徳を顕彰し、ここに碑が建てられているのです。
やっぱいいコトするとご褒美があるんですね。
わたしも死んだ後、碑が建てられるように頑張らんと!
悪いコトしかしてないけどな。(←?)
その中の島からちょっと上がった先に現れる広場が小竹藪(おたけやぶ)。
芝生がざっと広がる開放的なエリアです。
ここは元々曲輪だった場所。
敵が攻めてきた際、ここに兵を伏せて迎撃あるいは反撃を行う基地として使うスペースですね。
今はの~んびりとした場所で、ほんわかムード。
ゴザ敷いて子供と一緒におにぎりでも食べたくなるような、そんな雰囲気。
そんな広場の一角に妙なオブジェが置かれています。
室崎琴月(むろざき きんげつ)の歌碑。
この人も誰?って感じだと思いますが、大正から昭和にかけて活躍した高岡出身の作曲家です。
代表作に「夕日」という童謡があり、その詩が刻まれています。
この歌碑がね、何気にメッセージ深いのですよ。
ちょっと読み解いてみますね。
まず角度的に後ろが西になるので、この碑の後方に夕日が沈む形になっています。
造形のカクカクした形状は恐らくお城の石垣の表現。
そして碑に刻まれた歌は「夕日」。
以上を総合して考えると、お城の向こうにゆっくりと夕日が沈んでいき、その背景には琴月の歌が静かに流れている、とそんな情景がイメージされます。
う~ん、なかなかにロマンチック!
面白いものをもうひとつ。
こちらは広場の一角にある、茶室庭園・・・っぽいもの。
この簡素な門構えと脇にある竹垣は明らかに茶室のソレ。
本来ならこの先に石庭なんかがあって、四季の風流を楽しめる樹木が植えられてて、そして茶室がある、はず、なのですが。
ないです。
コレだけです。
この明らかに不自然な茶室庭園っぽいもの、多分未完なんじゃないかと。
本当はここに茶室を含む日本庭園を造成する予定だったのが、多分予算の都合かなんかでカットされて、こんな中途半端なものだけが作られたと、そんな事が予想されます。
もうしそうだとしたら、あまりにも残念!
やるんならちゃんと最後まで作り切って欲しかったな~。
高岡城内で最も見所の詰まった中の島周辺、そしてすぐ隣の小竹藪。
城郭建築の類が何もないのでお城の様子をイメージするには少々想像力が必要ですが、でもそんなの抜きにしても楽しい場所です。
あまり堅苦しく考えず、どうかゆる~い気持ちでご散策ください。
高岡城編最終回、次回は三の丸→明丸を見て行きます。
ファミリーで遊びに来るなら多分一番オススメなエリア。
お子様の人気者もいっぱいいますよ~♪
関連タグ >> お城 高岡古城公園 公園
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