能美ふるさとミュージアム 展示編2 古墳愛が止まらない♪
2021年06月02日
古代好きにはわくわくの博物館、能美ふるさとミュージアム。
前々回は建物の仕様、前回はD以外の展示室の様子をお伝えしてきました。
ここで改めておさらいすると、能美ふるさとミュージアムとは能美市の文化や歴史を紹介している施設です。
館内にはA~Iまでの展示室があり、部屋ごとに時代とテーマが設定されています。
中でもDはこのミュージアムの核とも言える古墳時代の展示。
今回はそのDの部屋のみにスポットを当ててお話しします。
テーマは「平野と大河川。大きなお墓と国づくり。」。
この辺り一帯は古墳銀座とも呼べる土地で、そこら中に古墳が転がっています。
この能美ふるさとミュージアムが建っている裏手の丘にも、ゴロゴロ古墳が並んでいます。
当然そこからは大量の出土品が発見されており、それらを体系的に見てもらうのがこのミュージアムの大きな目的です。
まず導入部にあるのがこの古墳マップ。
周囲一帯にある古墳群の分布状況がジオラマで見られます。
その数実に68基!
ただ古墳が作られたのは今から約1500年前ですからね。
本来はもっとあったはず。
それらが時代と共に姿を消していき、現在まで残ったのが68基。
本当はいくつあったんですかね?
こちらは古代の鉄の甲冑。
もちろん古墳時代のものです。
いやーカッコイイ!
この時代、甲冑は中央(奈良や飛鳥)の大王からの拝領品であり、これを所有する事自体が強力な権威の象徴となりました。
今で言えば皇室から瑞宝章とか旭日章とかを貰って、周りから「おお~すげー!」って言われるようなモンですね。
ゆえに死後もこうして副葬品として添えられ、埋葬者のステータスを高めるアイテムとして利用されたのです。
こちらは秋常山古墳の1号墳(大きい方)と2号墳(四角形の小さい方)の模型。
1号墳は見ての通り前方後円墳ってヤツですね。
全長は実に140メートルにも及びます。
表面を覆っているものは葺石(ふきいし)と呼ばれるもので、見た目を美しく飾るのと表土の流出を防ぐ役割があります。
覆い方が中途半端なのは、単に建造途中の様子を再現しているからで、最終的には斜面全面がこの葺石で覆われました。
ちなみに現場はこんな感じ。
全長140メートルもの構造物がこんな感じで石でびっしり覆われていたのです、それも今から1500年も昔に。
衝撃的だったでしょうね、当時の人々にとってこの光景は。
こんなん造っちゃう人ってスゲー!逆らってもとてもかなわねー!と心の底から思ったはず。
民衆に権力の強大さを見せつけるため、古墳はまさに格好のモニュメントとして機能したのです。
こちらは「めがね壺」。
どこがメガネって、口の形。
なんとなーくメガネっぽい、不自然な形をしています。
これ、なんでこんな形になっているのかについては謎。
研究者の間でカンカンガクガクやってますが、いまだ決定的な結論が出ていません。
楽しいですね、こういうミステリーについて考えるの。
果たしてこの形にどんな意図があったのか?
ぜひコナン君になって推理してみて下さい。
真実はいつもひとつ!です。
こちらは円筒埴輪と呼ばれるもの。
先に模型で見た秋常山古墳の2号墳の上に並べられていたものの再現です。
これもね、目的についてはいまだはっきりとした結論が出ていないのですよ。
宗教的意味があったのかもしれないし、何かの道具をイメージしていたのかもしれないし、単なるデコレーションだったのかもしれないし。
なにしろ文字資料のない時代の遺物ですので、出てきたモノから意図を推察するしかありません。
そこはまあ色々想像して楽しんでください。
こちらは全部古墳から出てきた刀剣類。
見ての通り、サビっサビ。
これらの鉄器も恐らく中央の権力者からもらったものなのでしょうね。
この頃はまだ能美で鉄を生産する技術はなかっただろうし。
それがこんなにどっさり出てくるという事は、この時代既に中央との間で頻繁に物資が往来していたという事を物語っています。
アクティブですな、古代人。
わたしなんか車使っても、奈良まで行くのしんどいですわ!
この長ーいのは鉄槍。
全長なんと4メートル。
興奮ですわな、このサイズ。
多分戦闘用の実用品ではなく、権威を象徴するための飾り物として作られたものでしょう。
という事はかつては美しくデコレーションされた壮麗な槍だったはず。
見たかったなー1500年前の姿!
こちらは六鈴鏡(ろくれいきょう)。
ご覧の通り周囲に6個の鈴が取り付けられた鏡です。
覚えてますかね、六鈴鏡?
前々回記事で見たミュージアム入口にあった六角形の建物、あれのモチーフがこれです。
見ての通り六角形ではありません。
別にどうでもいいけど(笑)。
最後に須恵器(すえき)。
須恵器とは窯を使って高温で焼き上げた土器です。
注目して欲しいのが、胴部中央の部分。
パッと見よー分からんですが、注意して見ると文字が刻まれています。
その部分をルーペで拡大したのがこちら。
非常に不鮮明ながら、「未(ひつじ)」と刻まれているように見えます。
この文字、単独で刻まれているため、意味は全く不明。
方角を表しているのか、あるいは別の意味なのか。
そもそも本当に「未」という文字なのか。
単に何かの記号だった可能性もあります。
これはもう作った人に聞くしかありませんね。
どなたか年齢1500歳以上でこれを作った人とお知り合いって方、いらっしゃいませんか?(※いらっしゃいません)
古墳に関する様々な出土品が生で見られる能美ふるさとミュージアムのDルーム。
わくわくですよ!
古墳好きにはヨダレだらだらレベルでわくわくですよ!
どうぞご来館の際には大きめのヨダレかけを用意してお越しください。
そしてこの建物のすぐ裏には本物の古墳がズラリ。
古墳ワールドをたらふく体験した後は、リアル古墳もぜひ堪能していってください!
関連タグ >> 美術館・博物館 古墳 能美ふるさとミュージアム
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