店主たみこの観光案内ブログ

石川ルーツ交流館

2019年06月22日

石川ルーツ交流館

 

県名は石川県。
県庁所在地は金沢市。

 

なんで?

 

隣の富山県は富山市、福井県も福井市。
でも石川県は金沢市。

 

なんで?

 

これは明治期、現在の都道府県制度が定着するまでの間のややこしい経緯が原因です。
一時期金沢県時代ってのもあったらしいのですが、なんやかんやでごちゃごちゃやってる内に石川県って名前に変更されて。
そのまま現在に至る、と。

 

さっぱり分からん??(笑)

 

実はそのごちゃごちゃの中心となったのが、ここ石川ルーツ交流館のある美川なのです。

 

事の起こりは1871年の廃藩置県。
この法令により江戸時代から続く「藩」が廃止されて「県」が置かれ、現在の石川県域には「金沢県」が誕生しました。
県庁所在地は金沢市。
つまりこの時点では金沢県+金沢市、というとても分かりやすい状態でした。

 

コトをややこしくしたのはその後。
1872年4月、突然県庁を美川に移転したのです。

 

これについては当時大参事(現在の知事)だった内田政風(うちだまさかぜ)が薩摩藩出身だったため、旧加賀藩士がうじゃうじゃいる金沢は色々と煩わしかったためと言われています。
まあ実際そうだったのでしょう。
そしてその際、ついでに県名も変えてしまえと「美川県」の名前で政府に申請したそうです。
しかしどういう事情でか「美川県」は却下、代わりに美川のあった石川郡にちなんで「石川県」という名前が付けられました。
ところが翌73年1月、1年も経たないうちに県庁が再び金沢に戻されます。
この時再度「金沢県」が復活するかと思いきや、県名は「石川県」のまま保留。
ここに県名「石川県」県庁所在地「金沢市」の名前別々状態が生まれました。
その後もこの状況はずーっとずーっと続き。
そして今も続いているのです。

 

なので美川はいわば「石川県」の名称が生まれた「ルーツ」とも言える場所なのです。
『石川ルーツ交流館』、ぱっと見なんの事かよく分からんこの施設の名称には、そんな意味が込められているのです。

 

館内では様々な資料と共に、そのあたりの経緯を紹介。
「石川県」の名前がどのようにして生まれたかを説明しています。
中には当時の知事室の再現なんかもあったりして。
ここ美川こそが石川県のルーツなんだ!と力強く主張しています。

 

一時期だけであったにせよ、この地にかつて県庁があったんだという事実。
それは地元の人にとっては、ちょっとした誇りなんでしょうね。

 

ただ。

 

ただね。

 

問題はここから先。
かなり妙なことになってます。

 

まず登場するのが、手取川の解説コーナー。
かなりのスペースを割いてます。
え?ここって「石川県」の名前のルーツを紹介する場所じゃないの?

なんで突然手取川?と多分混乱するはず。

 

手取川とは石川県最大の一級河川で、古来より流域一帯に豊かな恵みをもたらしてきました。
しかし同時に洪水等の自然災害も度々引き起こしてきた暴れ川でもありました。
そんな手取川とどう向き合い克服してきたかという歴史、つまり治水の経緯を詳しく紹介。
さらに生態系や民話にまで話が及び、ひたすら手取川愛の話が続きます。

 

かなり???です。

 

で、終わるのかと思うと、今度は北前船コーナーが登場。
かつてこの地に寄港し港町として大いに栄えた北前船時代の様子を、数々の資料と共に紹介しています。

 

「石川のルーツ」→「手取川」→「北前船」??
繋がりが全然見えてきません。

 

激しく混乱しまくっていると、次に現れるのがお祭りコーナー。
毎年5月に行われる藤塚神社のおかえり祭りに使われる山車や関連する品々、さらに祭りの様子まで。
音声と共に元気いっぱい紹介しています。

 

この辺まで来るとようやく、ああ最初から1本のテーマでまとまってる訳じゃないのね、とようやく腑に落ちます。

 

そしてトドメが奥田敬和コーナー。
ここで突然個人にスポット。

 

奥田敬和さん、知ってます?
1969年から30年に渡って国会議員を務め、国政において数々の要職を歴任してきた超大物です。
現役時代はテレビのニュースなんかでもしょっちゅう登場してたので、今でも知ってる人は多いはず。
彼は美川の名誉町民だったそうで、彼にまつわる遺品や生前の業績などがつらつらと紹介されています。



石川ルーツ交流館。

 

石川県のルーツだったり。
手取川の解説だったり。
北前船の歴史だったり。
お祭りの紹介だったり。
奥田敬和人物伝だったり。

 

色んなテーマがごちゃ混ぜのカオスな世界。
結局なにがしたいのか、見てると多分段々???な気持ちになってくるはず。

 

でも!!!!

 

どうかその辺はあまり深く考えないでください。
ここは石川県の起源と美川一帯の文化・歴史を知る場所なんだと捉えて、軽い軽い軽ぅ~い気持ちでお越しください。

 

と思って行っても???になるんだけどね(笑)。



川を渡ったすぐ先には呉竹文庫があります。
ここは元個人図書館だったところ。
建物が古く渋く、地味~~~に味のある場所です。
石川ルーツ交流館と共通入場券となってますので、こちらもぜひ見て行ってください!

 

 

石川ルーツ交流館

住所:石川県白山市美川南町 138-1

TEL:076-278-7111

 




エリア >> 石川県 > 白山市 > 美川南町

 

関連タグ >> 美術館・博物館 

 


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