店主たみこの観光案内ブログ

荒山城跡 ここは戦場、その怖さを冷や汗たらして味わえ~

2022年09月03日

荒山城跡入口の石碑

 

金沢方面から石動山へと向かう山道の途中、右手にお城の案内が現れます。
それが今回ご紹介する荒山城跡。
中世の頃、石動山衆・上杉謙信・佐々成正そして前田利家が取り合った、領国境という火薬庫のような場所にあったお城です。

 

現場は駐車場が完備されており、見学環境は比較的良好。
そんなに気合入れなくても、軽装で気軽に訪城できます。

 

荒山城跡の全体マップ

 

城域はこんな感じ。
中央に主郭を置いた、輪郭式(りんかくしき・曲輪を円状に配置した城)構造。
山の険しさも手伝って、かなりやっかいなお城になっています。

 

見て歩けるのは黄色い部分。
余計な所をウロチョロすると危ないので、動ける範囲で見学してください。

 

急勾配の通路

 

主郭へとつながる道はこんな感じ。
結構キツそうに見えますが、実際角度的にはキツイんだけど、山城の道としてはメチャメチャ歩きやすい部類。
そこそこ幅のある足元のしっかりした道を、なんの障害物もなく歩けます。

 

ひどいお城はもっと悲惨ですからね。
道なんてなくて当たり前、藪をかき分けかき分け死ぬような思いで到達、なんて所もあります。
もっともそんなヤバイお城にわざわざ行くのは、一部のお城大好きド変態だけだけどね。

 

例えばわたしとか。(←?)

 

荒山城跡の曲輪群

 

登城10分程でいきなり開ける視界。
城跡の登場です。

 

ホントいきなり現れるんですわ、この景色。
ここまでが結構キツかっただけに、この瞬間の感動は格別。
よっしゃー!城じゃー!みたいな歓喜がムキムキ湧き上がります。

 

曲輪の造成痕

 

この辺りは平地+急傾斜が連続する、段丘状になっています。
明かに人の手による造成痕。
自然界にはあり得ない、不自然な地形です。

 

頑張って作ったんですね、この地形を。
足場となる陣地を整備し、敵を跳ね返す斜面を作り、さらに今は残ってないけど柵や櫓などの建物も作って。
どこから攻められても迎え撃てる、鉄壁の要塞がこの一面に展開していたのです。

 

実際には攻め落とされたんだけどね。

 

櫓台

 

唐突に櫓台。
お城感を出すために作られた、現代製の「なんちゃってデコレーション」です。

 

多分なかったでしょうね、こんな所には。
櫓を建てるなら「高い場所」「突き出た所」「曲輪の端」がセオリー。
こんな曲輪の連続する内側に建てても何の意味もありません。
あくまでお城感を演出するためのお飾りです。

 

珪藻土

 

さて、お城とは全然関係ないんですけど、ここを歩いてるとやたら目に付くものがあります。
それがこれ。
何か分かります?

 

これ、珪藻土ですね。
以前にイソライト珪藻土記念館で紹介した、七輪の原料になるってアレです。
能登半島の土壌はかなりの部分がこの珪藻土で占められてるんだそうで。
以前紹介した森寺城跡なんかにも結構ゴロゴロ転がってました。

 

え?それがどうしたって?
お城以外の話すんなって?

 

いやだってこんなん見付けるとテンション上がるし・・・。(←石も大好きド変態)

 

荒山城跡の主郭

 

この曲輪群を登り越え、その先の細道をさらにぐいぐい進むと主郭到達。
広さは野球の内野くらい。

 

ここがすげー気持いいのですわ。
山頂なんでね。
360度邪魔するもの何もナシの大パノラマ。
頬を撫でる風が涼しく心地良く、たまらなく爽快!

 

主郭からの眺め

 

眺めはこんな感じ。
半島の向こうにある日本海までズッバー!と見渡せます。

 

王様気分です。
気分は完全に大王様。
どうぞ腹からふんぞり返ってガッハッハ♪と大王笑いしてやってください。

 

主郭入口の切岸

 

さてここで、この主郭へと繋がる2本の道を確認して欲しいのです。
こちらは今登ってきた方の道。
すさまじい程の急勾配。

 

これは「切岸(きりぎし)」と呼ばれる防御のための仕掛けです。
元々斜面だったところをさらに削って角度を付け、敵の足を止めるのです。
今でこそステップを付けて階段状になってますが、当然昔はこんなモノもナシ。
そこを足をズルズル滑らせながら、重い甲冑や武器を身に着け、さらに城側の攻撃にさらされながら命懸けで登ったのです。
まさに死のクライミング!

 

主郭入口の食い違い虎口

 

そしてもう一つの入口がこちら。
見ての通り通路がぐにゃ~と曲がってます。
これは「食い違い虎口」と呼ばれる仕掛け。
こうしてわざと通路を曲げることで攻めてくる敵の勢いを削ぎ、側面をガンガン突くのです。
もちろん主郭手前は切岸の急斜面になってて、周囲には高い柵がジャッキーン!

 

どうです?ヤバイでしょ、山城って?
そしてここは実際に戦場になりましたからね。
このラインを巡って、そりゃーもう血なまぐさい攻防戦が繰り広げられたのでしょう。

 

荒山城跡の空堀

 

そのままスタスタ進むと入って来た時とは別の通路が現れ、その先でも面白いものが見られます。
そのひとつがこちら、空堀です。

 

足場的に攻撃側はこの狭い掘底を進むしかありません。
そして見上げると、すぐ上は切岸に守られた曲輪になっています。
つまりここを進むという事は、上から矢や投石の雨あられにさらされるという事なのです。

 

生きた心地しねえ・・・(怖)。

 

曲輪と櫓台

 

数々のトラップと強力な曲輪群によって守られた荒山城跡。

 

怖ぇーですよ。
お城の構造が理解できる人にはブルブルに怖ぇーですよ。
現場を訪れる時にはそんな凍り付くような恐怖に震えながら散策してください。

 

そうでない普通の(?)人は主郭からの爽快な眺めを腹いっぱい楽しんでってください。
マジ気持ちいいですよ~♪

 

 

荒山城跡

住所:石川県鹿島郡中能登町芹川

 




エリア >> 石川県 > 鹿島郡 > 中能登町 > 芹川

 

関連タグ >> お城 

 


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