
龍ヶ峰城跡 アチコチに仕掛けられた死のトラップに戦慄
2022年07月25日

戦国時代、加賀(石川)の前田利家(まえだ としいえ)と越中(富山)の佐々成正(さっさ なりまさ)がガンガンにやり合っていた頃の遺構のひとつ、それが龍ヶ峰城跡(りゅうがみねじょうあと)です。
場所は北陸旧街道沿いの山の中、道幅車1台分のヤバイくらいの狭路をグネグネ上がった先にあります。
実際勇気いりますよ、ココ進むの。
対向車来たらアウトじゃん!みたいな。
まさに恐怖の一本道。
運を天に任せて進んでください。

まずはお城の見取り図から。
この龍ヶ峰城は旧街道である北陸道を押さえることを目的としています。
なのでその北陸道に沿うような格好で城域が構成され、攻撃方向も街道側を前提として設計されています。
さらによく見ると加賀側の防御が厚くなっています。
これは加賀方面からの攻撃を想定している事を意味しており、ここからこの城は越中側の城だったって事が分かります。

こちらは入口。
細っ!と通路幅ばかりに目を取られちゃいけません。
アナタ、この時点で死んでます。
見て欲しいのは片側の急傾斜の崖。
この真上は曲輪(くるわ・広場)になっていて、守備兵が待ち構えています。
つまりここを登ろうと思うと、上から弓矢や鉄砲でズバズバズバー!と集中砲火を食らうのです。
死亡フラグ確定のデス・シャワーです。

その通路の先に最初の曲輪。
横長の形をしています。
そしてその横長い曲輪が上に向かって段丘上に連続しています。
これ、攻め手にしたらキツイですよ。
曲輪をひとつ落としても、そのさらに上にある曲輪からジャンジャン弓矢が降り注いでくるんですからね。
しかも曲輪内にいると身を隠す場所がない。
おかげでせっかく攻め取った曲輪が、今度は殺されるためのステージに変身。
まさに恐怖の殺戮ショーが始まるのです!

そんな段々曲輪を登るための通路がこちら。
ご覧の通りカクカクと折れ曲がっています。
これももちろん防御の仕掛け。
こうやって右に左に進路を変更させることによって侵入の勢いを削ぎ、かつ前面+側面の2方向から迎撃するんですね。
当然途中には柵や門もあって容易には前進できません。
攻め手としてはある程度の犠牲を覚悟した上で、あとはもう力づく突破するしかないのです。
キツーー!!

こちらは城内で一番広い平地を持つ三郭。
広さ的にはテニスコート1.5面分くらい。
この真上は城の心臓部となる主郭なので、ここが最後の防衛線となります。
つまりここを落とされたら完全アウト!
なのでこのスペースを一番広く取り、戦力を最も充実させられるようにしてあるのです。

この斜面の上が主郭。
手すりが見える場所がそうです。
斜面の角度がメチャメチャ急になっていますが、これは人工的に削って造成してあります。
お城用語で言うところの「切岸(きりぎし)」です。
まー無理ですわな、登るの。
甲冑着て、武器持って、上から攻撃されながら、こんな急斜面登れるわけがない。
そうすると当然敵は通路を使って上に登ろうとします。

それがこの通路なんですが、これがまたキツイ!
左は急斜面になっていて、足を踏み外せば数メートル下まで転落します。
右は先に見た切岸の工事で出てきた土を盛って壁にしてあります。
結果この細い通路をお行儀よく1列になって進むしかありません。
しかもさらにこの先は頑強な門が行く手を遮っていたはず。
そんな状況で迎撃の雨あられです。
こんなんどうやって突破すんのよ!?(汗)

そんな幾多の死地をくぐり抜け、ようやく主郭に到着。
ゴぉぉぉぉーーーール!!!
平和ですわココ♪
吹く風は涼しいし、高いから気分いいし、見晴らし最高だし。

どーですか、この眺め?
はるか先の日本海までズバッ!
まー爽快ですわ♪
でも戦時はこの景色が今生最後の眺めとなったのかもしれないんですからね。
悠長に感傷に浸ってる余裕なんてなかったでしょうね。
ああー、明日にはオレ、死んでるかもー・・・みたいな。
そう思うとこの平和な眺めもちょっとホラー。

その主郭の裏側には土橋。
自然の尾根を利用した狭路ですね。
元々ある程度の傾斜はあったのでしょうが、それをさらに削って幅を狭めてあります。
これも恐怖ですわな。
どんなに大軍で攻めても兵を横に展開できないんですからね。
縦一列になってちょびっとずつしか進めず、そこを狙い撃ちにされるのです。
じつにいやらしい仕掛け。

さらに奥に進むとこんな謎な曲輪があります。
行き止まり曲輪。
一見、え?何のためにあんのコレ?って感じなのですが、これがまたいやらしいのですよ。
答えは真下に行くと分かります。

画像中央付近にある柵が先に見た行き止まり曲輪がある場所です。
見ての通り迎撃基地ですね。
ここから攻め登って来る敵に対して弓矢や鉄砲をジャンジャン放つのです。
ちなみにこの画像だと攻め手側は左から右へと進む格好になります。
ここで再び立ちはだかるのが切岸。
分かりますよね、斜面が急角度に削られているのが。
この傾斜によって敵は手が出せず、城側は攻撃し放題の構図が出来上がるのです。

そろそろしつこくなってきたので、この辺でやめときます。
でもまだまだあるんだ、見て欲しいポイント。
ここエグイ!ここヤバイ!ここナンじゃ?みたいな。
後は現地でご確認を。
恐怖の仕掛けがギッシリ詰まった龍ヶ峰城跡。
エエですよ~、楽しいですよ~。
ココどんな意味があるん?ココどうやったら突破できるん?そんな事を色々思い描きながら歩くと、もーわくわくマックス!
中世のお城ロマンがあなたを待ってます!!
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