松任ふるさと館 その3 紫雲園 石好きにはたまらない石のコレクションを満喫
2022年01月12日
前回・前々回と屋敷の様子を中心に紹介してきた松任ふるさと館。
でもここの鑑賞ポイントは屋敷だけではありません。
裏にある庭園も大きな見所です。
庭園の名前は『紫雲園(しうんえん)』。
名前の由来については後で出てきます。
まずは全体の構成を見て行きましょう。
こちらが紫雲園の全体図。
中央に池を置き、庭を巡るようにぐるりと遣り水を渡らせた池泉回遊式庭園となっています。
これが実に緻密に設計されてましてね。
屋敷から見て奥側に築山を配することで低→高の勾配を生み出し、広がりのあるダイナミックな空間が形成されています。
さらに豊富な植栽や燈篭・石を置くことで、日本庭園の目指す自然と人との一体感を表現。
歩いているだけでマイナスイオンのシャワーをパーっと浴びているような、そんな涼やかな世界観が楽しめます。
まずは池。
この庭の主役です。
素敵ですわね。
ガッチゴチの大岩で囲まれた武骨性いっぱいのビジュアル。
その所々に植栽が配され、あちこちに苔なんかも見られて。
道楽感満点♪
池の中央には島。
日本庭園のオキマリですね。
池に島を浮かべるという発想は元々は仏教の浄土思想から来てまして、これは海の向こうにあると信じられた仏の住む世界を表現しています。
つまりこの池と島は、極楽世界のジオラマなんですね。
そう思うと、どうです?
この一見ちっぽけな島、なんかありがた~く見えてきません?
その池側から見た屋敷の様子。
前回見た広縁が真正面にあるのが分かります。
すげーですわな、風格が。
重い黒瓦に、深く沈んだ色調の木材。
横にどしっと幅があって、庇が前にズバッと張り出してて。
目の前まで迫って来るような迫力!
ん~イケイケ♪
こちらは庭園の奥にある築山の上へと上る階段。
何気に先が見えないのがお分かりいただけるでしょうか?
コレ、わざとです。
ゴールを見せないことで、この先にあるものへの期待感を抱かせるんですね。
ちょっと意地悪な、でも心アゲさせる仕掛け。
そんな築山の頂上にあるのがこのでっかい石。
「貴船石」と呼ばれるものです。
何が船って、そりゃ形ですわね。
のっぺーりフラットな形。
この形が船って事なんでしょう。
これ、典型的な火成岩ですね。
石の形が真っすぐなのは節理のせい。
節理とは液状のマグマが凝固する時にできるヒビです。
このヒビが真っすぐ入るので、こんなノコギリで切ったような形の石ができるんですね。
その横にも面白い石があります。
「紫雲石」。
この紫雲園の名称の由来となった石です。
この石、ちょっと暗いエピソードがありまして、江戸時代にこの石の落札に負けた加賀藩士が責任を取って切腹したと伝えられています。
ゆえに付いた別名が「加賀藩士腹切りの石」。
なんか怖いね。
そんな築山をトコトコっと降りると、坂道の途中にこんな石像があります。
あまりにも下手クソ過ぎて(←?)何の像だかよく分かりませんが、多分獅子でしょう、多分ね。
さてここで確認して欲しいのが、この石像が何の動物かじゃなくて、向いてる方向。
スマホをお持ちの方はコンパスで調べてみて下さい。
北東を向いています。
北東の方角は陰陽道で言うところの鬼門。
そう、この像は鬼門封じとして設置されているんですね。
ぱっと見、何がやりたいのか意味不明ですが、実は庭を守る大事なガードマンなのです。
何の動物かよー分からんけどね。(←まだ言う)
そんな築山を降りて、下から見上げたのがこの画像。
分かります、滝があるの?
前々回の記事で見た石で表現された滝、それがここにもあるのです。
しかもここの滝は下にも段落ちの滝が続いていて、合計3段の滝になっています。
さらにその左右には粗く大振りな石。
明らかに山の渓谷がイメージされています。
いやーカッコええわ♪
その枯れ滝の正面にあるのがこの石。
これね、デカいのですわ。
この庭園で一番のデカさ。
あまりにもデカいので元からこの場所に転がってた石かと思ったら、なんとお隣の福井県敦賀市からわざわざ持ってきた石なんだそうで。
カネかかったでしょうね、この石の運搬費。
だって庭に置くだけですよ。
それだけのためにでっかいゼニつぎ込んで持ってくるんですからね。
カネ持ちの感覚は分からん・・・。
石と言えばもうひとつ面白いものが。
さざれ石です。
粗い礫がぶつぶつと混入した礫岩。
多分火砕流の固まったものでしょうね。
コレもええな~♪
わたしこの手の石が大好きでね。
うちの庭にもぜひひとつ欲しいのですが、狭いので無理。
いつかでっかい石を置けるような広い庭のある家に住みたいな~、一生無理だけど。
以上、松任ふるさと館にある紫雲園の様子でした。
マジいいですわ、この庭。
庭好きには間違いなくハートドキュン!なスポット。
しかも入館無料ですからね。
気が向いた時に何回でも遊びに行ける気軽さも魅力。
明治の金持ちが造り上げた贅の庭。
ぜひ思う存分堪能しちゃって下さい!
関連タグ >> 松任ふるさと館 庭園
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