松任ふるさと館 その1 ザ・お金持ちの屋敷はやっぱスゲー!
2022年01月08日
松任駅から徒歩1分ほどの所に、古建築好きにはパラダイスのような施設があります。
それが今回ご紹介する松任ふるさと館です。
なんかここ、名前で損してますわな。
ストレートに「旧吉田茂平邸」でいいと思うんだけど。
「松任ふるさと館」じゃ、なんかつまんねー昔のガラクタばっか並べてる退屈な資料館にしか思えない。
少なくとも素晴らしい古建築が見学できるってイメージは湧かない。
改称した方がいいんでね?
そんな松任ふるさと館ですが、エントランスからいきなりコレですわ。
ご立派な唐門がバーン!
屋根はグリーンがシブく映える銅板葺き。
神社やお寺なんかではよく見ますが、民家で銅使ってんですからね。
めっちゃおカネ持ってたんでしょうね。
門の両脇には長屋を接続。
まるで上級武士の屋敷のような様相です。
さらにその唐門の先にある前庭がまたうならせるのですわ。
ご覧の通り枯れ庭なんですけどね、「池」になっています。
ここまでは多分誰でも分かる。
でもこの枯れ庭に「水」が流れてるの、見えますかね?
それが奥に立てられている細長い石。
この石、滝を表しています。
さらにその下、今度は中央がくぼんだ石が寝かされています。
これは当然滝つぼの表現、しかもご丁寧にくぼみを入れる事で水の流れる様子まで描いています。
そしてそのまま池に流れ込み、そこでざーっと放射状に広がるのです。
どうです、枯れた滝に生き生きと踊る水の姿、見えてきましたか?
建物前面、左側も要チェック。
軒下の部分ね。
よーく見ると妙な事になってまして、途中でなぜかいきなり色が変わっています。
最初は茶、それが急に黒。
このツートンカラーの理由については不明。
屋敷図面を見るとこの黒くなってる部分は台所とされているのですが、台所を黒くする意味が分からない。
ひょっとしたら元々は茶室だったんじゃないのかな~、なんて予想しますが、どうでしょうね?
そして正面玄関です。
これがまたカッコえ~じゃないですか♪
ずんとそびえる入母屋破風。
重量感満点の黒瓦が分厚く沈み、4本の太い角柱がその構造を力強く支え、威厳あふれる圧力で訪問者を飲み込む。
も~強烈ですわな、放たれるエネルギーが。
こんな家建てられたら男の甲斐性ですわ。
ではここで屋敷の間取りを。
黄色の部分が見学可能エリアです。
ほとんどの部屋は自由に見られますが、一部侵入不可。
勝手にどこでも入って行かないように。
それとこの屋敷、2階建て(2.5階建て?)ですが、見学できるのは1階部分のみです。
ですので2階の様子については一切不明。
ちょっと残念。
こちらはこの屋敷を建てた人物。
吉田茂平(よしだ もへい)という、明治~昭和にかけて活躍した大地主&実業家です。
とにかくハンパなくお金持ってて、銀行業なんかもやってたそうで。
あまりにもお金あり過ぎて、しまいにゃ貨幣まで発行してたらしいです。
どんだけお金あったのよ?
では内部の様子を見て行きましょう。
こちらが最初に目にする部屋、「御上の間」。
いきなり大広間となっています。
畳数ざっと45畳!
のっけからすげーですわね。
広さだけじゃなく柱や梁の太さ、戸の大きさや鴨居の幅に至るまで、全てがビッグサイズ。
茂平の止まらない笑い声が聞こえてきそうなほどに豪壮な空間です。
どう思います、この戸?
縦より横の方が尺が長いっていうね。
しかもこの戸材、よく見ると一枚板です。
所々縦に筋が入ってますが、これは多分後から入ったヒビで、近くで見ると木目がちゃんと繋がっています。
これだけの幅が取れる木材、国産で調達しようと思ったら、今じゃまず無理でしょう。
この屋敷を建てた当時ですら、相当にレアな高級木材だったはず。
それがこうして惜しげもなく使われてんですからね。
有り余る財力がなきゃできない芸当です。
部屋の中ほどにある囲炉裏。
い~いですな~囲炉裏。
上からぶら下がっている棒を鉤棒(かぎぼう)と呼び、その途中にある鯉の形をしたものを自在鉤(じざいかぎ)と呼びます。
この自在鉤ってのが実に上手くできてまして、自由に鉤棒の長さを調整できます。
これによって下に吊るす鍋の火加減を調整するんですね。
面白いですよ、自在鉤。
機会があったらぜひ一度ガチャガチャいぢってみてください。
昔の人の高度な技術レベルに多分びっくりしますよ!
ここでちょっと上を確認。
天井が張られてて、その天井板の質感が不自然に新しくなっているのが確認できます。
これ、明らかに後から張り足されたものですね。
そもそも囲炉裏の真上は煙を逃がすために必ず吹き抜けになってなきゃいけないので、天井が張られている事自体が不自然。
多分時代と共に囲炉裏が使われなくなって吹き抜けにしておく必要がなくなったので、リフォームして上に部屋を作ったのでしょう。
この天井はその際に張られたんでしょうね。
と、今回はここまで。
次回はさらに奥まで見て行きます。
この先もいいですよー。
宴会用途前提の大きな客間、まるで料亭のような床の間や格調高い欄間。
そして縁側から見る庭園の素晴らしい眺め。
酔狂人、吉田茂平のセンスがビンビンに光るスーパー空間です!
関連タグ >> 古民家 古建築 松任ふるさと館
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