店主たみこの観光案内ブログ

加賀藩十村役 岡部家 その2◆ついに七福神完成!!

2021年02月20日

加賀藩十村役 岡部家

 

藩政期、加賀藩で十村役(とむらやく)を務めた岡部家の屋敷。
前回はエントランスから台所までを見てきました。
今回はさらに内部へと話は進みます。

 

と、その前に間取りを確認。
岡部家の屋敷の間取りは下図の通りとなっています。

 

加賀藩十村役岡部家の見取り図

 

ピンクのゾーンが武士用スペースで、黄色のゾーンが一般人用のスペースです。
十村役とは言え、家主は一般人なので黄色のゾーンで生活しています。

 

これ見たら分かりますが、この広い屋敷、半分以上死んでます。
武士ゾーンって言っても、実際は時々しか藩の役人は来なかったそうなので、実質的にはただのデッドスペース。
無駄~に広さを確保してある屋敷だったのです。

 

大広間

 

では屋敷の内部を見て行きましょう。

こちらは「大広間」。
屋敷の中で一番広い部屋です。

 

ここは藩のお役人たちが政務のために使っていた部屋でした。
今で言えば会社の総務部とか経理部の部屋、みたいな感じですかね。
なので当時は机とか書類とかがバサバサあったことでしょう。

 

大広間の天井

 

天井を見上げると竹が張ってあります。
色は茶色。
素材である竹そのまんまの色。

 

ここで思い出して欲しいのが、前回記事で見た台所の天井。
あの囲炉裏の煙でいぶして真っ黒になっていた天井です。
この茶色の天井を煙で気長にいぶすと、やがてあの色になるんですね。

 

ちなみにここにもかつては囲炉裏があったそうです。

梁が真っ黒なのはその当時の名残り。
当然この部屋でもあの黒い竹を作ることができたのですが、今はリフォームして畳敷きになっちゃってます。

ちょっと残念。

 

裁きの間

 

その隣にあるのがこちらの「裁きの間」。
えらい物騒な名前ですが、実際この部屋で今で言う裁判みたいな事が行われていたそうです。

 

奥には大きな引き戸が2枚。
これ、この屋敷のご自慢の逸品なんです。

 

一枚板で作った欅の大戸

 

この戸、一枚板でできています。
幅にして1メートル強。
材は欅。

 

今じゃ無理ですな、こんな戸。
そもそも材料の調達ができない。
江戸期から残る古民家だからこその贅沢な戸です。

 

式台の間

 

こちらは「式台の間」。
式台とは玄関の事なのですが、その名の通りこの部屋はそのまま玄関へと繋がっています。

 

実はこの屋敷、先の間取り図で見た通り、玄関が3つあります。
ひとつが前回記事で見た武士専用の玄関。
もうひとつが脇にある一般人用玄関。
そして最後のひとつが藩主用、つまり前田の殿さま専用の玄関です。
その殿さま用玄関の先に繋がっているのがこの式台の間です。
なので壁の色が違うでしょ?
鮮やかな弁柄色。
これは藩主に対するリスペクトなんですね。

 

岡部家の群青色の壁

 

その奥にあるのがこの部屋。
今度は壁の色が群青色です。

 

「群青の間」ってご存知ですかね?
金沢に成巽閣(せいそんかく)っていう藩主の奥方が晩年暮らした屋敷がありまして、そこにある部屋です。
ここと同じく天井が鮮やかな群青色で染め上げられていて、金沢でも屈指の格式高い部屋のひとつとされています。
つまりこの色は、「極上の人」だけに許されているスペシャルな色なんですね。

 

岡部家の殿さま用の部屋

 

その横にあるのが奥座敷。
藩主が過ごした部屋です。

 

ここはいきなり空気が別格。
VIP感むんむん!
奥の壁は一面床の間になってて、脇にはちゃんと付書院もあって。
中央の座布団は小道具なのでこの座布団に殿さまが座ってたって事ではないと思うのですが、それでもまーそれなりの偉そうな(←?)座布団くらいは敷いてあったでしょうね。
あときっとひじ掛けなんかもあって。
前田の殿さま、滞在時はここでふんぞり返ってのっほ~んと過ごしていたのでしょう。

 

矢屏風

 

こちらは矢屏風。
前田家から拝領したものだそうです。

 

分かりますかね、屏風に矢が使われているのが?
もちろんコレ、本物です。
いくさのなくなった泰平の江戸時代、もう使われなくなった武器はこうしてインテリアとして二次利用されたのです。
ある意味平和の象徴とも言えますね。

 

床の間の掛け軸

 

さあ、ここで床の間に掛かっている掛け軸に注目。

 

覚えてます?前回記事で七福神が5体しかいなかったのを?
残りの2体、どこにいるのかというと、ここにいるのです。
左がえべっさん、右が大黒さん。
この2体に表にいる5体を合わせると七福神が完成、とそんな趣向になっています。

 

回りくどっ!(笑)

 

加賀藩十村役岡部家の庭園

 

部屋の横は庭園。
これがまた見事な庭園になってましてね。
専用の庭師さんがいて、年に何回か手入れしていってくれるんだそうです。

 

中央の松の幹の形、すごいですよね。
ほとんどぐるりと1回転してるし。

 

この松、なんせこの形ですので、何度も倒れているらしいです。
その度に起こしては添え木で固定して、を繰り返しています。
なので今も添え木で支えられてるでしょ?
これがなきゃ、すぐにでもバタンといっちゃうのです。
なんかわたしの人生みたいですね。(←?)

 

岡部家屋敷の入口

 

以上、2回に渡って見てきた十村役の岡部家屋敷。
いかがだったでしょうか?

 

生の古民家だからこそ感じられる、リアルな江戸期の空気。
訪問の際はかつての情景を思い浮かべながらご見学ください。
柱ひとつにまで歴史を感じられて楽しいですよ!

 

 

加賀藩十村役 岡部家

住所:石川県羽咋郡宝達志水町荻谷 42

TEL:0767-29-3497

ホームページ:石川県観光連盟公式サイト

 




エリア >> 石川県 > 羽咋郡 > 宝達志水町 > 荻谷

 

関連タグ >> 古民家 古建築 加賀藩十村役 岡部家 

 


コメントをする

 

 

 

荻谷の最新記事一覧

加賀藩十村役 岡部家 その2◆ついに七福神完成!!

2021年02月20日

藩政期、加賀藩で十村役(とむらやく)を務めた岡部家の屋敷。前回はエントランスから台所までを見てきました。今回はさらに内部・・・

カテゴリー:観光名所

加賀藩十村役 岡部家 その1◆囲炉裏でひと儲けできる、かな?

2021年02月17日

加賀藩の役職に十村役(とむらやく)ってのがあります。名前から何となくイメージ付くと思いますが、約10ほどの村を統括する役・・・

カテゴリー:観光名所


 

新着記事

>> 記事一覧