加賀藩十村役 岡部家 その1◆囲炉裏でひと儲けできる、かな?
2021年02月17日
加賀藩の役職に十村役(とむらやく)ってのがあります。
名前から何となくイメージ付くと思いますが、約10ほどの村を統括する役目です。
どんな事を統括するかと言うと、主に年貢の徴収。
他にも村内でのゴタゴタの調停とか、色んな決まりごとの取り決め、藩からの指示の通達なんかも行っていました。
当然誰でも務まる役目ではなく、基本的にその土地の有力者が選ばれます。
岡部家はそんな十村役を務めていた名家で、その屋敷が今も残されています
場所は宝達志水町の山間、細い道をぐにゃぐにゃと進んだ先にあります。
エントランスからいきなり目を引きますな。
亀甲積みの石段に板塀。
塀上にはいかめしい黒瓦。
いかにも土地の名士の家~~って感じの重厚感あふれる面構えです。
ただナンかひとつ足りませんよね?
そう、門です。
ここまで立派な塀があるのに肝心の門がなぜかない。
多分あったんでしょうね、昔は。
それが何らかの理由で失われたのでしょう。
なんでか知らんけど。
で、ここでもうひとつ見て欲しいのが塀の上。
なんか像があります。
よーく見ると七福神。
塀に向かって手前左に布袋さん、奥に弁天さん、右手前に福禄寿、奥に寿老人、さらにちょっと離れた右手に毘沙門天。
以上、5体。
あれ、七福神なのに5体って、なんか足りなくね?とお思いでしょう。
大丈夫。
残り2体は後で登場します。
とりあえずここでは、ここに七福神の内の5体があるって事だけを頭に入れておいてください。
邸内に入ると目の前に屋敷がどーん!
茅葺の大屋根が立派な大邸宅です。
建物の中央に出入口がありますが、基本ここからの出入りはできません。
入場はこの左にある脇口から。
ちなみにこの出入口、江戸時代も出入りできませんでした。
なぜならここは武士専用の出入り口だったから。
なので変な話ですが、家主である岡部家の人たちですらここからの出入りは許されませんでした。
そういう身分格差の面倒臭い時代ったのです、当時は。
ここでちょっと上を見てみてください。
屋根のきわの部分。
この茅葺、よーく見ると3層になっています。
素材は麦藁・稲藁・茅の3種。
これ何のためにこんなことしてあるのかと言うと、無駄をなくすため。
屋根をふき替える際、毎回丸々ごっそり入れ替えていたら手間も費用もバカにならないんですね。
なのでこうして3種類の素材を使い、1番上の古い部分のみを捨てて、新しいのは1番下に敷いて、元々あった2層をその上に乗せ直して、ってのを繰り返すのです。
こうしてローテーションを組むことで、1回の葺き替えを1/3の量で済ませ、かつ長く低コストで屋根を維持するのです。
昔の人の知恵ですな。
そしていよいよ屋敷内。
脇へ回って一般人用出入口を入ると、まず最初に目にするのがこの部屋です。
「台所」と呼ばれる、いかにも昔の日本家屋的な部屋。
中央に置かれている囲炉裏は、今も現役で使われています。
わたしが訪問した時も、思いっ切り炭の臭いがしてました。
これ実は家のメンテナンス上、とても大事なことなんです。
定期的に囲炉裏を焚いて煙でいぶしてやらないと、建物、特に屋根の茅が痛んでくるんですね。
だから今でもほぼ毎日、囲炉裏を焚いているのです。
その痕跡は上を見れば分かります。
真っ黒けっけ。
煙のすすがこびり付くためです。
ここでちょっと面白い話があって、このブラック、何気にお金になるそうです。
よく見ると竹が張られているのが分かると思うのですが、この真っ黒けっけになった竹が茶室の建材としてものすごく人気があるからです。
色がシブイですからね、茶室の雰囲気に合うんでしょうね。
でも今時囲炉裏を現役で使ってる家なんてそうそうないので滅多に出回る事がなく、おかげで取り外して売るとメチャメチャプレミアが付くそうなんです。
すす付き竹ビジネスに興味のある人、小遣い稼ぎにどうですか?
家の中真っ黒になるけどね(笑)。
こちらはその奥にある「高流し」。
現在は板張りとなっていますが、元々は土間だったそうです。
用途は台所。
先に見た部屋も名前は「台所」でしたが、あっちは実質的には居間ですね。
機能的にはこちらがが正式な台所となります。
窓の外にはもう1棟の建物。
こちらも江戸期の建物です。
今は普通に納戸として使っているそうです。
いいですわな~、こっちも。
土壁の剥げ落ち具合なんか、めっちゃ年季入ってますわ。
ボロさが素敵♪
古民家ってホント、ただそこに建ってるだけでカッコええですわね~。
と、今回はここまで。
次回はさらに屋敷の内部まで見て行きます。
ここから先は殿さまの部屋があったり、庭園があったり。
まだまだ見所は続きますよ~。
関連タグ >> 古民家 古建築 加賀藩十村役 岡部家
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