金沢市埋蔵文化財センター 縄文人のエネルギッシュな活動の痕跡に驚愕
2020年12月19日
金沢って何気に縄文時代の遺跡がぽこぽこ出てるらしくって。
そんな出土品を生で見られるのが金沢市埋蔵文化財センターです。
先に縄文時代についてさらっとおさらいすると、時代は今から13,000年前~紀元前3世紀頃。
およそ1万年もの長きに渡って続いた、稲作伝来以前の狩猟中心だった時代です。
狩猟中心と言ってもムラの存在が確認されているので、定住する集団もあったようです。
さて、こちらが建物のエントランスなのですが。
どうです?
なんかピンと来ません?
左右にズバッと伸びる直線形の屋根。
中央にずんとそびえる棟持ち柱。
右側にズレた入口。
周りにぐるりと渡された縁。
これ、明らかに出雲大社の社殿ですね。
どっからどー見ても出雲大社。
多分「古代感」を出したかったのでしょうが、でもねー。
いくらなんでも縄文時代にはまだないよ、出雲大社(笑)。
入口壁面には大きな円形のオブジェ。
特に何の説明もなく、やや意味不明ですが、多分銅鏡のイメージでしょう。
でも銅鏡が登場するのは縄文より後の古墳時代。
出雲大社よりは古いと言っても、やっぱり時代が合ってない。
なんかすげー適当やな(笑)。
ロビーにはいきなり縄文時代の遺物。
なんやらソレっぽいものがガラスケースに入れて展示されています。
ロマンありますよね~。
おおーーこれに実際に触れてたんだー、縄文人が、みたいな。
ちょっとした脳内タイムスリップ状態。
そしていよいよこの先が展示室となります。
それがコチラ、その名も「金沢縄文ワールド」。
以上!
え?って感じなんですが、どうもこのセンターのメインの役目は出土品の収蔵・保管って事みたいでして。
建物はそこそこでっかいのに、展示室はこの部屋ひとつしかないんですわ。
意外と寂しい。
二階にも「縄文体験コーナー」って部屋があるらしいのですが、受付面倒臭そうなので行きませんでした。
まあいずれ機会があれば。
部屋に入ると最初に目にするのが、このガラスケース。
なんやら大きい黒いのがどすんどすんと2個置かれてます。
コレ、何だか分かります?
正解は「柱」。
素材は栗の木で、太さから想像できると思いますが、めちゃめちゃデカいです。
多分長さもそれなりにあったはず。
そんなデカい木を伐り出して、加工して、柱として使ってたのです。
それも縄文時代に。
なんかスゴくないですか?
この柱はここから車で5分ほどの、チカモリ遺跡って所から出土したもの。
発掘調査によると、このサイズの柱がずらずらずらーっと円状に並んでいたそうです。
ただあくまで土中に残ってた根っこですのでね。
地上における高さや形状がどんな感じだったかまでは分かっていません。
分かるのは埋まっていた部分だけ。
それを何とかカンとか、んーーーーこんな感じかなー?って再現したのがこちらです。
部屋の中央に並べられた円状の柱列。
もちろん原寸大。
恐らくこんなイメージで柱が並んでいたと考えられています。
壮観だったでしょうね。
まだ人工物の少ない縄文時代にこの規模の柱列ですよ。
多分当時の人々の眼には強烈なインパクトを持って写った事でしょう。
ちなみにこの円状柱列が見付かったチカモリ遺跡、現在は公園として整備されています。
その様子がこちら。
同じ円状柱列でも野外で見ると全然印象が変わりますね。
ほとんどストーンヘンジ状態。
神秘性むんむんです。
一説ではこの円状柱列は古代祭祀の場だったと言われています。
あるいは建物になっていたとも。
でも何千年も前の話ですんでね、真相は永遠に謎。
どなたか縄文人とお知り合いの方、いらっしゃいせんか?(←いない)
再び場面を戻して埋蔵文化財センター内、他にはこんな展示もあります。
ジョーモンシキドキ!!
わたし大好きでしてね、縄文式土器。
素晴らしいじゃないですか、このエネルギーの塊のようなデザイン。
う~~~わ~~~っ!と迫って来るようで。
この紋様、ある程度パターンがあるそうで、それを解説したのがこのパネル。
主なパターンとしての以下の4つ紹介されています。
雲形文(くもがたもん)・・・雲が流れるような模様
入組文(いりくみもん)・・・2本のひもが入り組んだような模様
三叉文(さんさもん)・・・漢字の「入」や「人」に似た模様の組み合わせ
幾何学文(きかがくもん)・・・丸や四角、矢印のような模様
なるほど、縄文式土器の文様ってこうして体系化できるのね。
これをちょっと頭に入れておけば、縄文式土器鑑賞の楽しさがグッと高まるかも?
そしてもうひとつの縄文式土器のスター(←?)、土偶。
妊娠した女性を表現したものだとか、宇宙人だとか、色々言われていますが、ここに展示されているのは割と地味~なヤツ。
え?普通に何かパーツの一部じゃね?って感じですが、これでも立派な土偶だそうです。
その名も「板状土偶(ばんじょうどぐう)」。
左はお腹から上(下部は欠損)、右は完全体。
えっらいテキトーですが、土偶なんです、ちゃんと。
・・・・・・・。
金沢縄文人よ、もーちょっと頑張ってカッコエエの作れんかったんか?
そんな常設展の横では企画展も行われています。
わたしが行った時にやっていた企画展はこちら、『富山と金沢の縄文集落』。
意図としては金沢の笠舞A遺跡と富山の東黒牧上野遺跡の出土品のコラボレーション。
両者の間には約70kmの距離があり、車を飛ばしてもおよそ1時間かかります。
そんな離れた地域同士の遺跡に見られる共通性と地域性を探ろうというのが、この企画の意図。
これ見ると驚くんですが、結構あるんですよ、共通項。
例えば土器の形状や紋様。
アッチとコッチじゃ結構文化圏が違うと思うのですが、意外と似通ってまして、かなりの相似点が見られます。
他にも住居の構造やムラの構成。
発掘の痕跡から類推する限り、両者の生活様式は驚くほど似通っていたと考えられています。
これって、やっぱ交流があったってことですよね。
でも70kmですよ、徒歩の時代に。
大きな道路なんか当然なかった縄文時代。
そんな時代の70kmって今以上の距離だったはず。
でもこれだけ共通項があるって事は、それ相応の往来があったって事なんでしょうね。
縄文人。
アクティブ~~~!!!
縄文時代の様々な痕跡が見られる金沢市埋蔵文化財センター。
古代です。
ひたすら古代です。
2000年以上昔のご先祖さまの活動の名残り、思う存分ご堪能ください。
さらにこの周辺には先述したチカモリ遺跡を始め、東大寺領横江荘遺跡、上荒屋遺跡など関連する遺跡が他にもゴロゴロ。
これらも一緒に訪れるとさらに楽しさが増しますよ!
関連タグ >> 美術館・博物館
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