店主たみこの観光案内ブログ

伊勢神宮 外宮(豊受大神宮)忌火屋殿~北御門口 ◆超ドマイナーなふたつの摂社も見逃すな!

2020年10月24日

伊勢神宮外宮の北御門口までの参道

 

伊勢神宮外宮巡り、いよいよ最終回。
今回は神楽殿横から出口の北御門口(きたみかどぐち)までを見て行きます。

 

まず見て欲しいのが左手。
木立に遮られてちょっと分かりにくいのですが、何気に建物が建っています。
入口に注連縄が張られて立入禁止の看板が立っているので、一見どうでもよさそうな場所ですが、ノーノー、すごく重要な場所なんです。

 

豊受大神宮の忌火屋殿

 

この奥にあるのは忌火屋殿(いみびやでん)と呼ばれる建物。
何のための建物かと言うと、神さまに捧げる食事を作る場所です。
つまり台所ですね。

 

忌火とは"清浄な火"を意味し、正式な手順に乗っ取って起こされます。
ここで言う「正式な手順」ってのは、ゴリゴリゴリー!と木と木を擦り付けて起こすやり方です。
えらい原始的ですが、実際原始的で、ライターやガスでぱぱっとやったら「清浄」って事にならないんだそうです。
そうして汗水流して(?)起こした火で煮炊きをし、神さまへの食事を用意するのです。

 

この食事を捧げる行為は日別朝夕大御饌祭(ひごとあさゆうおおみけさい)と呼ばれ、伊勢神宮のお祭りのひとつとされています。
基本朝は8時頃、昼は15時頃行われますので、興味があったら待ち伏せして見学してみてください。

遠目にしか見れんけどね。

 

伊勢神宮外宮の御厩

 

その先をすたすたっと進むと、またもや左手に建物が現れます。
こちらは御厩(みうまや)という建物。
名前でなんとなーく想像できると思いますが、馬小屋です。

 

ただいつでも馬がいるのかと言うと、そうではありません。
いない事の方が多いです。
基本、1・11・21日の神馬行事の日に連れて来られる事になっていますが、それも馬の体調次第。
もしいたら運がいいな、くらいに思っておいてください。

 

御厩の側面

 

この馬小屋、何気に伊勢神宮テイストにしてあるんですよね~。

 

素材は当然全面木造。
屋根も瓦ではなく板葺きにしてあります。
すぱっと伸びる直線屋根がいかにも伊勢神宮的

 

そして柱、お気付きですかね、丸柱です。
これ、伊勢神宮ルール。

 

基本的にこの神社の建物は全て丸柱で建てられています。
鳥居まで丸柱です。
なんで丸柱かと言うと、これが古代建築スタイルということなんでしょうね。
自然の木の幹の形をそのまま使うのが、ザ・伊勢神宮スピリッツなのです。

 

御厩の脇の細い道

 

その御厩の脇に細い道があります。
多分ほとんどの参拝者がスルーしちゃう道。
でもこの先、行ってみたいと思いません?

 

思わない??

 

行きます!行きますよ!
行ってみたいと思わなくても行きますよー!(←強引)

 

度会国御神社 正面から

 

この細い道をザクザクっと進むと、途中に小さな神社がちょこん。
度会国御神社(わたらいくにみじんじゃ)です。
神社の境内マップにも記載されていない隠れ家的神社。

 

ここに祀られているのは彦國見賀岐建與束命(ひこくにみがきたけよつかのみこと)という神さまで、伊勢の土着の神さまだそうです。
伊勢神宮外宮で祀られている豊受大御神(とようけのおおみかみ)と直接の関係はなく、かつて神宮の管理を任されていた度会(わたらい)氏の氏神だったって縁でここに祀られているんだとか。
ゆえに超マイナーな神さまで、由緒や神徳などの詳細は一切不明です。

 

度会国御神社 斜め前から

 

社殿はご覧の通りがっつりと板塀に囲まれていて、正面には簡素な棟門。
サイズはコンパクトで、地味。

 

建物の仕立てはバリバリの伊勢神宮形式ですね。

一応ここ、伊勢神宮の敷地内だし。
柱は白木の掘っ立て柱、屋根は板葺き切妻、大棟には千木(ちぎ・屋根上端部に付けられたV字形のツノ)と鰹木(かつおぎ・屋根の大棟上に横向きに並べてある棒)。
今まで見てきた社殿とほぼ同じ形式です。

 

隣にはちゃんと遷宮のための空き地もあります。
ただこの神社は摂社クラスなので遷宮が20年に1度と決められておらず、気まぐれ不定期。

老朽化が進んだらやるわ、みたいな感じ。
次の遷宮はいつなんですかね?

 

大津神社 正面から

 

その度会国御神社を横目にさらにザクザク進むと行き止まりになり、そこに再び小さな神社が現れます。
大津神社です。
祀られているのは葦原神(あしはらのかみ)。
出雲大社に祀られている大国主神(おおくにぬしのかみ)の別名とされている神さまです。

 

この神社も豊受大御神との直接の関係はなく、元々は五十鈴川の河口の港に祀られていた小神社だったそうです。
それがこの場所に遷座されたのは明治6年。
その裏には神宮司庁と地元の人間とのごちゃごちゃ面倒臭い確執があったようですが、まあその辺はどうでもいいでしょう。

 

大津神社 斜め前から

 

社殿の造りはご覧の通り度会国御神社と全く同じ仕立て。
ほぼクローンです。
多分同じ図面を使い回したんじゃないですかね。

 

一応遷宮のための空き地も隣にあるけど、必ずしも20年周期で行われるわけじゃないのは度会国御神社と同じ。
前回がいつだったのかは不明、次回いつになるのかも不明。
Wikipediaによると前回は大正12年とされてますが、そんなに古くはないと思うんですけどね、掘っ立て柱の建物が100年近くも持つわけないし。
とにかく詳細は分かりません。

 

北御門口の火除橋

 

度会国御神社・大津神社とふたつの摂社を見て、くるっとUターンして、再び御厩まで戻り、左に曲がるといよいよ出口。
北御門口の火除橋(ひよけばし)です。

 

仕立ては前々々回で見た表参道の火除橋と同じ、木造の反り橋。
細い川の上にゆる~いカーブを描いて架けられています。

 

たった1本の短い橋なんですけどね、この橋挟んで内と外とで不思議と空気が違うのですよ。
温度というか、霊気と言うか、神聖さと言うか。
内に入るとピンと緊張感が走り、外に出るとふっと力が抜ける。
そんな不思議な橋です。

 

豊受大神宮の由緒書き

 

以上、4回に渡って見てきた伊勢神宮外宮、正式名称「豊受大神宮(とようけだいじんぐう)」。
いかがだったでしょうか?
長々クドクドとレポートしてきましたが、多分現場に実際立つと全く別物。
ここで散々語ってきたものとは全然違う印象を持たれるかもしれません。
でもそれも神社参拝の楽しみのひとつ。
ぜひ次は自分自身の体験として、伊勢神宮の素晴らしさを感じてみてください。

 

なお最後の最後にこんな事書くのもちょっと順序変ですが、入口の守衛さんの詰所に神社の参拝マップが置いてあります。
初めての人は忘れずにコレをゲットしてから中に入ってください。
全体の構成を把握してから歩く方が絶対効率いいですよ~。

 

 

伊勢神宮 外宮(豊受大神宮)

住所:三重県伊勢市豊川町 279

TEL:0596-27-0520

ホームページ:伊勢神宮公式サイト

 




エリア >> 三重県 > 伊勢市 > 豊川町

 

関連タグ >> 神社 伊勢神宮 伊勢神宮 外宮 

 


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コメント

 

1.無題

2時間くらい外宮さんを楽しめそうでした。
いつも歩く(お参りはしますよ)だけなので、20分くらいで回ってきます。
神馬の笑智号は、天候が良くて、調子が良ければ、午後1時頃から3時前まで参拝者をお迎えしてますよ。
今日は風が強くて寒かったので、会えませんでした。

ふくもっちゃん 2020-10-24 23:11:34

>> このコメントに返信

2.Re:無題

> ふくもっちゃんさん

わたしは会えなかったので残念でした。
今度行く時は会えるかな~?

たみこ 2020-10-25 16:52:29

>> このコメントに返信

 

 

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