放生津八幡宮 色んなエッセンスがぎゅっと凝縮された奈良時代創建の古社
2020年09月02日
放生津八幡宮(ほうじょうづはちまんぐう)は、創始天平18年(746年)と伝えられる古社です。
当時はまだ奈良時代、聖武天皇が全国に国分寺を作るとか、奈良に大仏さんを作るとか、そんな事をやってた頃です。
由緒書きによれば、大伴家持(おおとも の やかもち)が大分の宇佐八幡神から勧請(かんじょう・神さまを分霊していただいてくる事)して開いた、とされています。
大伴家持ですよ、大伴家持。
何した人かよー知らんけど(←?)、名前くらいはほとんどの日本人が知ってるあの大伴家持。
その人が創建に関わった神社ってんですから、やっぱハクが違いますわね。
まず入口にそびえるのがこの一の鳥居。
分かりますかね?屋根付きです。
鳥居なのに屋根付き。
しかも中央に唐破風(からはふ・飾り屋根)まで付いてる。
めっちゃ気合入ってますわ!
この鳥居は昭和31年の建立で、夢枕に「アッチの山のアノ辺に鳥居に使うのにイ~イ感じの木があるから、ソレ使え~」との託宣を受け、その神木を切り出して建てられたんだそうで。
実話かただのヨタ話かはそれぞれで自己判断してもらうとして、要は素材の木材からしてありがた~いモノを使ってんだよって事みたいです。
そう思うとどうです?
なんか霊威感じます??
そして境内の中央に構えるのがこの拝殿。
これがもうね、アートなんですわ、アート♪
建造は1863年、江戸時代の末期、大政奉還の3年前。
地元の大工、高瀬輔太郎(たかせ すけたろう)の手によるものとされています。
この人については全然知らんのですが、かなり高名な人で、大阪城の修復なんかにも関わったと言われています。
最大のアイキャッチは何と言っても屋根ですな。
黒瓦の大屋根がどーん!と社殿を覆う。
すらりと反りの入ったシャープなラインと、圧倒的なサイズが放つ威容はもう別格。
そしてその屋根の天頂にがっしりと腰を下ろす大棟。
これまたドデカく、いかつさ強烈。
まるで戦艦のような貫禄でパワフルな圧をガンガン放つ!
イカスわ~♪
内部はこんな感じ。
畳敷きの所が拝殿、奥の床貼りの所が幣殿(へいでん)ですね。
そもそも建物が大きいのでね、中の空間も広大なのですわ。
横に広く、縦も高く、それゆえに実寸以上の奥行き感があって。
なんか神威ありそ~~、みたいな。
アチコチに配された御簾や奉納画もいいですね。
神社特有の装飾が、神域としてのムードをむんむんと高める。
拝殿の前にはこんなのもあります。
「瀬織津姫(せおりつひめ)像」。
なんの神さまかイマイチよー分からんので調べてみたところ、天照大神(あまてらすおおみかみ)の荒御魂(あらみたま・攻撃的性質)で、汚れをはらう神さまとされています。
この神さまもやっぱり大伴家持と繋がっていて、かつて家持が東北の蝦夷(えみし)平定で苦境に陥った際、助けてくれたんだそうです。
そんな縁にあやかり、地元の彫刻家である齋藤尤鶴(さいとう ゆうかく)が制作・奉納したのがこの像なのです。
ちなみに像の奉納が2019年、入れ物のガラスケースの完成が2020年、そして現在2020年。
なので古い建物が並ぶ神社の中でここだけ飛び抜けてピッカピカ。
でもなんでですかね、そんなに違和感ないのですよ。
不思議~に溶け込んでいるというか。
やっぱ作品がいいんですかね?
拝殿の左横にも何やら意味深な建物があります。
霊松殿。
俗に言う宝物殿ですね。
この中にはきっと神社のお宝がいっぱ~い入ってんでしょうね。
見たいな~。
中見たいな~。
何入ってんのかな~?
見たいな~。
誰かこの神社とお知り合いって方、いませんか?
その反対側には小さな社(やしろ)が2つ建っています。
右が来名戸社(くなどしゃ)、左が火之宮社(ひのみやしゃ)。
まずは来名戸社から。
来名戸とは結界を守る神さまで、邪なるものを払う力を持っています。
祠の中を覗くと欠けてボロボロになった石仏がゴロゴロ置いてあり、どうもこの石仏が来名戸のご神体って事みたいです。
案内板によるとこれらは江戸時代に土地開発をした際、土の中から出てきたものなんだとか。
中には、これ普通に石でね?みたいなのも混ざってますが、まあ一応石仏って事みたいです。
そしてこちらがその隣にある火之宮社。
中には木造の神像が1体収められており、神さまの名前は「軻遇突智命(かぐつちのみこと)」と記されています。
軻遇突智命とは火の神さまで、日本を創造した伊弉冉命(いざなみのみこと)が産み落とした際、その炎の力で伊弉冉命自身が焼け死んでしまったと伝えられています。
それゆえに父親である伊弉諾命(いざなぎのみこと)の怒りを買い、その場で切り殺されてしまったんだとか。
そこだけ聞くとなんかダークなイメージですが、意外と日本中で信仰されてまして、その代表が愛宕神社。
火の神だけに火除け、つまり火事に遭わない神さまとして崇められています。
ここに祀られている意図も、恐らく神社の防火を願っての事でしょう。
紹介が最後になってしまいましたが、境内には社殿がもうひとつ。
祖霊社です。
これは何かというと、ここまで何度も名前の出てきた大伴家持自身を祀った社です。
家持にどんな霊力があるのかはちょっとよー分からんですが、家持の神威というよりも家持に対する敬意や親しみを込めて建てられたものなのでしょう。
家持さんの創った神社は1,000年以上経った今でもこうして地域を守ってくれてんですよ~、みたいな。
奈良時代から連綿とその信仰を守り続けてきた放生津八幡宮。
境内は広く、ゆる~っとした独特のリラックス感があります。
どうか肩ひじ張らず、軽~い気持ちでお参りください。
あっと最後にもうひとつだけ。
神社の中にはこんなものも飾られています。
これ何か分かりますか?
そう、「アレ」です。
なぜこんなところに「アレ」があるのか?
気になる人は現地に来て横に添えられている案内を読んでみてください。
そこに戦争に対する切実な願いを見るでしょう。
関連タグ >> 神社
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