御馬神社 見た目はピカピカだけど平安時代から続く古社
2020年08月05日
金沢工業大学のほど近く、久安の住宅街の一角にぽこんと神社があります。
御馬神社(みうまじんじゃ)です。
社殿が新しく全体にぴかぴかしてるせいで見た目的にあんまり古い感じがせんのですが、何気に鬼古で、延喜式内社(えんぎしきないしゃ)の一社として名前が出てきます。
延喜式内社ってのは927年(平安時代)にまとめられた”主な”全国の神社の一覧で、全部で2,861の神社がリストアップされています。
その内石川郡からノミネートされたのはたったの10社で、その中に食い込んだ訳ですから、当時はかなり名の高い神社であったことが伺えます。
今は地味~な神社なんですけどね。
さ、では早速入場、となる訳ですが、ちょっと待ってください。
その前に足元に注意。
何気に赤橋を渡らされることにお気付きでしょうか?
これは現世と神界との境界線。
ここを越えることは神の世界へと進むことを意味するのです。
その事をよくよく心に想い、覚悟を持って前進してください。
ま、一歩で終わるんだけどね(笑)。
境内に入ると右手に神馬の銅像。
かつて馬は神の乗り物と信じられ、それゆえ神社に馬を奉納する風習がありました。
しかし時代と共に簡略化されていき、現在ではこういった神馬像を奉納するのが一般的になっています。
ただ伊勢神宮のように、今でも生きた馬が境内にいるってケースもごくごーく稀に見られます。
ちなみに願い事を書いて捧げるあのお馴染みの「絵馬」は、そんな神馬風習の名残りです。
さらに進むと左手にお稲荷様が現れます。
トレードマークの赤い鳥居がズラズラズラー。
建立は平成4年とのことなので、まだピッカピカ、鮮やかな赤で参拝者を招き入れます。
その鳥居の奥にはお社(やしろ)。
こちらも平成4年製なんでしょうね、やっぱりピカピカ。
造りは前面に向かって屋根がばさっと張り出す流造(ながれづくり)で、屋根材はシックな緑が映える銅板屋根。
カッチリとスキのない、スタンダードな造りになっています。
ここから勧請(かんじょう・神さまを分霊して違う場所へ持って行くこと)されてできた神社が、ひがし茶屋街の近くにある浅野川稲荷神社です。
あちらはまた一段とこじんまりした神社ですが、興味があったらそちらもぜひお参りしてみてください。
そして最後に拝殿。
いいですな~このマスク♪
屋根は反りの入った入母屋造りで、黒瓦ががっしりと力強く重厚感満点!!
向拝(こうはい・正面に張り出したひさし屋根)上に千鳥破風(ちどりはふ・三角形の飾り屋根)を設け、その上には大きな獅子口の鬼瓦がどすんと構える。
も~惚れ惚れするほど堂々たる威容。
軒下もいいですよ~。
規則正しく連続する垂木の列。
寸分の乱れもない、鮮やかな縞模様。
その下の組み物も美しく、精彩と力感が融合した素晴らしい造形。
向拝下も見事ですな。
虹梁が描くゆるやかなカーブが、何とも言えず柔らかく優雅。
その一方で木鼻に施された獅子の彫刻は一転して躍動感にあふれ、全てを射すくめるような黄金の眼が強烈な霊威をギンギンと放つ。
カッコええ~~♪♪
正面を楽しんだら、ちょっと側面にも回って見ましょう。
横から見るとご覧の通り、拝殿→幣殿(へいでん)→本殿が連続する権現造(ごんげんづくり)となっているのが確認できます。
ここでよーく注意して見て欲しいのが床の高さ。
拝殿→幣殿→本殿と進むにつれて段々と高くなっていってるのが分かりますでしょうか?(※拝殿は画像右側、本殿は左側)
拝殿は参拝や神事を行う「人」のための場所。
それに対して本殿は「神さま」自身が住まう場所。
その両者の格の違いを、床の高さで表現してあるんですね。
画像では木が邪魔してて良く分かりませんが、建物の装飾にも違いが付けられています。
拝殿の飾りは銅板、本殿は金(多分銅板にメッキをかけたもの)。
これも神さまに対する敬意の念の現れなんですね。
平成4年に大きく社殿を建て替えたため、どこもピカピカでやや重々しさに欠ける御馬神社。
しかしその実態は平安期から続く、由緒正しい古社中の古社です。
どうぞ近くを通った際には心静かにお参りし、途絶えることなく受け継がれてきた神秘の神霊パワーを思いっ切り吸い込んでってください。
なおこの神社の管理は、以前このブログでも紹介した波自加彌神社(はじかみじんじゃ)の宮司さんが行っているそうです。
なので下記に掲載している電話番号はそちらの番号になってますので、お間違いなく。
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