板屋神社 あなたの『神社LOVE魂』が試されます
2020年06月06日
板屋兵四郎(いたや ひょうしろう)ってご存知でしょうか?
江戸時代の人で、日本三大用水のひとつである辰巳用水の建設を仕切った人です。
辰巳用水は今でも現役で活躍しており、途中水田などへ配水しつつ、最後は兼六園にまで水を送り届けています。
全長約11kmもの距離を手作業で掘り起こし、途中隧道(ずいどう)、つまりトンネルをくぐらせたりしながら正確な流路を作り上げた技術はまさに驚嘆の一言。
しかもこの工事が江戸時代に行われたという事実に、二重の驚きを感じます。
ゆえに兵四郎は土木工事のカリスマとして神格化され、後に神社まで建てて祀られました。
それが今回紹介する板屋神社です。
まず最初に目にするのがこの鳥居。
ぐねぐねした細い参道のスタート地点に建っています。
え?今からこの先行くの?みたいな。
なんか自分でもドン引きするくらいマニアックな入口。
普通は参らんからね、こんな山奥の神社。
有名でも何でもないし、場所分かりにくいし。
多分、付近の人でもほとんど参ってないだろうし。
でもそこに敢えてツッコムのが『神社LOVE魂』(←なにソレ?)ってヤツなのです。
そんな『神社LOVE魂』を胸に参道を進みます。
細いぐにゃぐにゃ参道は容赦なく山の中へと入っていきます。
いや、コレ普通に山登りやん!って雰囲気になってきます。
でもひるんではいけません、進むのです。
ためらいなく進むのです。
それが『神社LOVE魂』なのだから!!
ずんずん進むと、道は相変わらず細く、傾斜はさらにキツくなっていきます。
ゴールは見えません。
あまりにも山奥過ぎて、熊でも出てきそうです。
果たして今野生の熊と遭遇したら勝てるのか?そんな恐怖が脳裏をよぎります。
もし熊に出会ったら、まず睨みつけて威嚇して、それでも襲ってきたら顔にキックして・・などと作戦を立てつつ、とにかく前へ進みます。
例え熊と出会っても「後退」という選択肢はありません。
だってそれが『神社LOVE魂』なのだから!!
ますますキツくなる傾斜に、息ゼーゼー切らしながら、ようやくゴールが見えてきます。
ああやっとたどり着いた!と思えるこの喜び!!
思わずガッツポーズです、息ゼーゼー切らしながら。
今熊と出会ったら、多分負けるな(笑)。
そして神社に到達。
目にするのは狛犬さえいない、ポツンと一軒家的神社。
建物はこれオンリー。
桁行3間、梁間2間の切妻平入り。
壁は白漆喰、窓は細い格子が連続する連子窓(れんじまど)。
中央に観音開きの桟唐戸を備え、上部に「板屋神社」の文字をしたためた扁額(へんがく)。
むーー・・・・この建物、讃えるべきか?ツッコムべきか?
かなり微妙。
側面に回るとこんな感じ。
中央に細い棟持ち柱が立ち、壁はなぜか上下に分かれたツートンカラー。
これ多分ね、元々は白漆喰一色だったのですわ。
でも漆喰壁ってのは傷みやすく、屋根のすぐ下はまだいいんだけど、下部の方になると雨風がモロに当たるのね。
そのせいでこの建物も下半分が先行して傷んできて、その補修のために上から塗り直したのでしょう。
なのでよく見ると、茶色の部分は白い部分よりやや盛り上がってます。
それにしてもなんで茶色で塗り直したんですかね?
塗り直す部分も上と同じ白色使えば良かったのに。
それがちょっと謎。
屋根の裏側は母屋(もや・横材)と垂木(たるき・縦材)が直角に交差する枡形の集合体。
一般的な神社建築だと、ここには垂木がずらーっと連続してるんですけどね。
どちらかと言えば神社というよりも住居的な仕立て。
軒下には扠首(さす・ななめに据えられた部材)が見られますね。
柱と梁の交差部には舟肘木(ふなひじき・舟の形をした部材)なんかも。
これらは本来強度を確保し構造を支えるためのパーツなのですが、ここの場合は単なる装飾になってます。
なくても全然建物成立するし。
さり気な~く神社的見た目を演出しているのでしょう。
社殿の横にはこんなのが置いてあります。
石管。
これ何かと言うと、辰巳用水に使われていた管です。
この管を通して地下で水を通していたのです。
ただご覧の通りかなり劣化しており、水漏れが激しくなったので取り替えたのでしょう。
そしてそのお下がりが、今ここに飾られているのです。
言ってみれば江戸時代の仕事を今に伝える歴史遺産ですな。
山奥にひっそりたたずむ板屋神社。
参道の長さと傾斜がハンパないですが、それだけに登り切った時の喜びはひとしおです。
興味のある方はぜひ頑張って登ってみてください。
見事登り切った人には!
『神社LOVE魂』を認定いたします。
おめでとう。
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