
諸嶽山 總持寺祖院 経蔵
2019年03月19日

能登半島のほぼ先端、山奥にそびえる古刹。
曹洞宗大本山總持寺祖院。
漢字並び過ぎてお経みたいだ(笑)。
總持寺祖院(そうじじそいん)と読みます。
祖院って何?って事から説明しますと。
このお寺、実は1回火事で焼けてます。
それまでは曹洞宗の大本山だったのですが、この火事を機に本山機能を神奈川県の横浜に移転。
そっちが「大本山總持寺」となっちゃったのです。
そこでその現役の大本山と区別するために、こっちの名前を總持寺「祖院」と改めたのです。
分かりやすく言えば「元大本山」ってニュアンスですかね。
その總持寺祖院の入口入ってすぐ左手にある古い建物が経蔵(きょうぞう)。
その名の通り、お経を収めた倉庫です。
この建物、先の火災で延焼を免れた数少ないオリジナルのひとつで、建造は今から276年も前の1743年。
当時の宗教建築様式をそのままに残す貴重な歴史遺産なのです。
これがもーカッコ良くて!
白の漆喰壁に配されたふたつの黒い花頭窓。
長年の風雪にさらされて重く退色した建材。
反りの美しい灰黒色のこけら葺屋根。
そのてっぺんに鎮座する濃緑色の宝珠。
ん~素敵ィ♪♪
ぱっと見二階建てっぽいですが、一層構造です。
内部は高天井の吹き抜けになっています。
室内中央には八角形の柱。
この柱、実は柱じゃなくて経典を収めた輪蔵(りんぞう)と呼ばれるものです。
言い換えれば本棚。
良く見ると四角い引き出しがいくつも並んでいて、ここになんと334巻もの経典が収められているそうです。
しかも全体がグルグルと回せる構造になってまして。
ぐる~んと1回回すと、334の経典全部を読んだことになるとのこと。
うん。
究極の手抜きだ(笑)。
輪蔵の上部にも注目。
加賀梅鉢紋(かがうめばちもん)の家紋が見えるはずです。
加賀梅鉢紋と言えば前田家の家紋ですが、この経蔵、実は加賀藩6代目藩主前田吉徳(まえだよしのり)によって建てられたものなのです。
しかもその建てられ方が尋常ではなく。
まず輪蔵を大阪で作って一旦解体、それを北前船で運んで来て再構築。
建物の方は別チームで建造。
別々に作ったものをドッキングさせて完成。
と、なんやらエライ人も手間もかけて作ったんだそうです。
さすがは前田の殿様。
やること派手ですわ!
かつての曹洞宗の大本山であった能登總持寺祖院。
現役の大本山じゃなくなっちゃったのが少々残念ですが。
それでもその面影は今なお健在。
どうぞ奥深い深淵な宗教空間を思う存分味わってみてください。
秋には紅葉がきれいです。
季節を選んで訪問するのもいいかもしれませんよ!
関連タグ >> お寺 總持寺祖院
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