上田城 真田神社◆幸村の別格扱いぶりに他の神さまちょっとジェラシー?
2020年11月28日
戦国ヒーロー真田幸村に所縁の深い上田城。
その上田城の中に唐突にぽこんとある神社が真田神社です。
場所は前回見てきた東虎口櫓門を抜けてすぐ、本丸の中にあります。
何も知らずに城を見に来た人にとっては、あれ?ここで突然神社?って感じなのですが、なぜここにあるのかにはちゃんとした理由と経緯があります。
まずはその縁起を追ってみましょう。
真田神社の歴史をチャート化したのが上図。
創建の歴史は意外に浅く、明治になってからなんですね。
まず上田城の最後の主であった松平氏、この一族の初代を祀った神社(忠山社)が京都にありました。
この忠山社を明治12年に上田城内に引っ張ってきたのが事の始まりです。
これが遷座(せんざ・引っ越し)だったのか、勧請(かんじょう・分霊)だったのかははっきりしません。
この時点での社名は松平神社で、祭神は松平忠山(まつだいら ただはる)・忠昭(ただあき)・忠周(ただちか)の3柱でした。
その後松平氏のさらに先代の城主である仙石・真田両氏も祀るべきとの声が高まり、歴代全城主が祭神となったのが昭和28年。
これを機に社名も上田神社に改称されました。
しかし上田市内にもう一軒上田神社があったため紛らわしいとされ、昭和38年に再度改称され、現在の真田神社となっています。
では境内の様子を見て行きましょう。
まず入口にガツンとそびえるのがこの石鳥居。
形は柱と笠木が丸、貫が四角になっている靖国鳥居。
その先が参道。
路面には布敷きにした石畳が整然と敷き詰められ、拝殿へと一直線に続いています。
構造としてはシンプルな造りですね。
典型的な地方の小神社。
その参道に左側にあるのがこのザ・写真スポットな赤兜。
中央の立物(たてもの・兜飾り)には真田の六文銭。
家紋ですね。
この六文銭は三途の川の渡し賃。
いつでも戦場で死ぬ準備ができているという、武士の覚悟を表しています。
すげー世の中だったんですね。
そのままくるっと回れ右すると絵馬の道。
朱塗りの骨組みに絵馬がずらりとぶら下がっています。
ここが低くてね。
微妙に頭下げながらじゃないと通れない。
まあ高いと手が届かなくて上に絵馬が掛けられないんだけどね。
で、そこを抜けるとこれが待っているわけです。
茅の輪くぐり。
他の神社なんかでもよく見かけますが、この輪をくぐることは汚れを祓う事を意味します。
鳥居と同じようなもんですね。
ただこの茅の輪、くぐる手順が決まってまして。
詳しくは隣の案内看板を見て欲しいのですが、こっちからこうくぐって、こっち側に回って、今度はあっち側に向かってくぐって、と少々面倒。
これをカップルどもが喜んでやるのですわ。
「わー、えー?こっち?あ、こっち?難しー♪」とか言いながら。
邪魔や。(←!)
そして拝殿です。
構造は切妻平入、正面向拝上に大きな千鳥破風。
破風天頂には獅子口の鬼瓦、下飾りには狐格子。
サイズ的にも装飾的にも、それほどスゴイものじゃないです。
まあまあ良く見るスタイルの神社拝殿。
さっぱ~りとしたファサード。
ここで面白いのが賽銭箱。
なんやら赤い六文銭が描かれた箱みたいなヤツが置いてあります。
これなんだか分かります?
これね、センサーなんです。
ここに手の平をかざすとガランガラン!と鈴を鳴らす音が出るんです。
つまりデジタル鈴ね。
地味な割には、なんか妙な所がハイテクになってるし(笑)。
拝殿内部はこんな感じ。
天井左右に六文銭を描いた大提灯がぶら~り。
中央に掲げてある人物画は真田幸村ですね。
幸村は上田城城主にはなっていないのに、なぜか祭神の一柱として祀られています。
まあ知名度が別格ですのでね。
「シード選手」みたいなモンです。
拝殿横にはこんなものもあります。
青年真田幸村像。
何が「青年」なのかと言うと、この像は第一次上田合戦、つまり幸村のデビュー戦の姿をイメージして作られたんだそうで。
そう言われて見てみると、確かに初々しいというか、どこかにまだ子供っぽさを残しているような感じ。
この後嵐のような戦国の世を駆け抜け、最後は大阪で散るんですね。
ドラマですな。
そのすぐ後ろにちっちゃな鳥居が建っています。
伊勢神宮内宮遥拝所。
何気に鳥居の形も伊勢鳥居っぽくしてあります、ちょっと違うけど。
遥拝所とは遠く離れた場所にある神さまや神社を拝するための場所です。
つまりここを参拝すれば、伊勢神宮まで行ってお参りしたのと同じ事になるんですね。
ちなみにここから伊勢神宮までは256kmもあるそうです。
こりゃありがたいですな♪
そしてそのすぐ横にあるのが、かの有名な真田井戸。
この井戸の下には秘密の通路があって、裏山に抜けられるのだとか。
この手の話はよく聞きますね。
金沢城にもありますよ、抜け道の井戸。
妙立寺ってお寺にある井戸がそうなんですが、そこと金沢城が地下で繋がってんだそうです。(※100%繋がってません)
この井戸もその類でしょう。
でもいいんですよ、そんな真偽はどうでも。
こういうものがあるってのを喜ぶのが楽しいんです。
上田城内にある真田神社。
特に際立った派手さのないこじんまりとした神社ですが、中は面白さでいっぱいです。
どうぞ戦国時代の空気と真田氏の生きた時代を感じながら、腹いっぱい楽しんでいってください。
関連タグ >> 神社 お城 上田城
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