店主たみこの観光案内ブログ

稲荷山 眞長寺

2020年01月29日

眞長寺

 

眞長寺(しんちょうじ)は寺町寺院群エリアのほぼ北端。
犀川大橋を渡って徒歩3分程のところにあります。

 

宗派は真言宗。
仏教界のスーパースター空海が開いた宗派。
いわゆる密教系ですな。

 

摩尼車

 

寺の門前にはこんなものがあります。
摩尼車(まにぐるま)。
上部に取り付けられているタイヤみたいな形をしたものをぐるっと1回回すと、お経を1回唱えたのと同じ功徳が得られるのだとか。
なんじゃそりゃ?って感じですが、他のお寺でも時々見かけることがあります。
ルーツはチベット仏教のマニ車に由来するそうで、あっちのはでんでん太鼓みたいに片手でグルグル回せます。
1回したらお経1回ってルールは同じで、回さな損やろってくらいグルッグルに回しまくります。
回し過ぎで逆にバチ当たるんじゃないの?って心配になるくらい(←笑)回しまくります。

 

眞長寺の山門

 

山門は比較的シンプルな造り。
形式は四脚門(しきゃくもん)で門扉はなし。
屋根の勾配は強めで反りがあり、瓦は黒。

 

門上から下がっている暖簾には前田家の家紋である剣梅鉢紋が描かれてますね。
多分前田家、あるいは加賀藩と何らかの関係があったと思われますが。
詳細はちょっと不明。

 

眞長寺の本堂

 

本堂に入ると立派な須弥壇がどどーん!

 

正直そんなに大きな空間ではないのですが、でも不思議な荘厳感があって。
そこはかとなく感じるありがた~い雰囲気。

 

愛染明王・大日如来・不動明王

 

中央には大日如来。
真言宗ですのでね、本尊は大日如来ってのがセオリーです。
その左右には脇侍として、左に愛染明王、右に不動明王。

 

いやーどれもカッコイイですわ!
でもそれぞれ明らかに作風が違うので、多分別々に作られたものを寄せ集めて安置してあるんでしょうね。

 

准胝観音像

 

その三尊像の直下に厨子に納められた小さな仏像があります。
こちらは准胝観音像(じゅんでいかんのんぞう)。
六観音のひとつです。

 

仏教の教えに六道輪廻(ろくどうりんね)ってのがありまして、魂は地獄・餓鬼・畜生・修羅・人間・天上の六界をグルグル転生し続けるそうです。
その各界にはそれぞれを見守ってくれている観音様がいて、地獄が聖観音、餓鬼が千手観音、畜生が馬頭観音、修羅が十一面観音、人間が准胝観音、天上が如意輪観音とされています。
つまりこの観音様は人間界を守ってくれている仏様って事になります。

 

なおこのお寺では准胝観音は除災・治病・延命・求児のご利益があるとされていて、衣食住の安定を支えてくれるそうです。
人生万年不安定なわたしには死ぬほどありがた~い仏様です。(←どんな人生?)

 

金剛界曼荼羅

 

その左側面には曼荼羅(まんだら)。
曼荼羅にも色々種類がありまして、これは金剛界曼荼羅と呼ばれるもの。

 

金剛界曼荼羅とはご覧の通り9つのエリアに分かれていて、この9つが悟りの境地を開く道筋と解釈されています。
見方としては右下から反時計回りにぐるっと回り、中央がゴールとなります。。
各エリアはスタートから順に降三世三昧耶会(ごうざんぜさんまやえ)→降三世会(ごうざんぜえ)→理趣会(りしゅえ)→一印会(いちいんね)→四印会(しいんね)→供養会(くようえ)→微細会(みさいえ)→三昧耶会(さんまやえ)→成身会(じょうじんえ)と呼ばれています。

 

なんやら難しいですが、実際難しいです。
なんの事かわたしもよく分かりません。
とりあえず曼荼羅とは仏教の教えを視覚化したもの、とだけ捉えておけば十分です。
それ以上深く考える必要はありません。

 

という事にしといてください。(←と説明を逃げる)

 

眞長寺のお稲荷様

 

三尊像がある部屋の左側にはお稲荷様。
つまり仏様の横に神様。
典型的な神仏習合の形ですね。

 

今でこそお寺と神社は明確に分けられてますが、かつてはこんな感じでお寺と神社がごちゃごちゃに混在しているというのが普通でした。
日本人ってのは宗教にユルいですからね。
例えばキリスト教とイスラム教が合体するって言ったらどう思われますか?
そんなの絶対ありえんでしょ?
ところが日本では外来宗教の仏教と在来宗教の神道が普通に合体しちゃったのです。
それが明治政府の神仏分離令で強引に分けられたのですが、それまでの痕跡を完全には消し去ることはできず。
今でもこのお寺のように神仏習合時代の名残りを見ることができるのです。

 

三十番神像

 

三尊像の部屋を挟んで、お稲荷様の反対側にあるのが石仏の部屋。
30体あるので三十番神(さんじゅうばんじん)像ですね。
三十番神とは日替わりで30日間、つまり1ヶ月間、我々を守ってくれる神様です。

 

その三十番神像の中央、小さな厨子に納められているのは弥勒菩薩半跏思惟像(みろくぼさつはんかしゆいぞう)。
弥勒菩薩は亡くなった人を極楽浄土へと導いてくれる仏様。
半跏思惟とは椅子に腰かけ、足を組んで、片手をほっぺたに当てて、うーーーー・・・んと考える姿。
つまりどうすれば人々を極楽へ連れていくことができるのか、悩み悩み悩みまくっている姿です。

 

その弥勒菩薩の上には不動明王。
燃えたぎる目でこちらをぎょろり!と睨みつけます。
怖い~~!!

 

眞長寺の須弥壇

 

コンパクトだけど、様々な仏教エッセンスが詰まった眞長寺。
細かい点までつぶさに見て行くと、色んな発見があって飽きませんよ~。

 

なおこのお寺の准胝観音は金沢三十三観音のひとつとされています。
三十三観音なので当然他にも32体ある訳で。
興味と時間と実行力のある人は、33体全部追いかけてみるのも面白いかもしれませんよ!

 

 

稲荷山 眞長寺

住所:石川県金沢市野町 1-2-2

TEL:076-280-8026

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