店主たみこの観光案内ブログ

大師山 清大寺 九龍殿・日本庭園◆この庭に隠された仕掛け、アナタは見抜けるか?

2022年02月26日

大師山 清大寺の裏門

 

ここまで4回に渡ってお届けしてきた、ツッコミ所とサプライズが満載の清大寺(せいだいじ)。
今回のレポートがいよいよ最終回となります。

 

さてこのお寺、なんでか知らんけど中国と太いパイプを持っています。
これまでに何度か登場した黒・白の大理石製の石仏はオール中国製だし、初っ端に見た巨大な仁王像も中国製。
多分他にもわたしの知らないチャイナパワーが、あちこちに潜んでいると思います。

 

そんなザ・中国色の極が、今回紹介する九龍壁(きゅうりゅうへき)です。

 

九龍殿

 

こちらがその九龍壁が格納されている建物、九龍殿。
ご覧の通り屋根の反りがびっしゃーと極端にシャープ。

 

これはもうバリバリの中国様式ですね。
日本にも反り屋根はあるけど、ここまではやらない。
明らかに中国文化をオマージュしてます。

 

九龍壁

 

中には9頭の龍がデザインされた九龍壁がどーん!
高さ7メートル、長さ20メートル。
色の鮮やかさが凄まじいですな。

 

九龍壁とは中国の国宝第1号に指定された装飾壁で、オリジナルは北京市にあります。
そんなの勝手にパクっちゃって大丈夫なの?と思われるかもしれませんが、心配無用。
ちゃんと中国に許可を取ってあり、勝手に模造した海賊版ではありません。
本物は見たことありませんが、かなり精巧にコピーしてあるそうです。

 

瑠璃瓦で彩られた九龍壁

 

この九龍壁を飾る瓦、瑠璃瓦と呼ぶらしいですが、これもやっぱり中国製。
別に国産でも良かったんですけど、これと同じものがどーしても国内では作れなかったんだとか。
ネックとなったのは色と凹凸。
この鮮やかな色を出す顔料がなく、さらにこれだけ凹凸の激しい焼き物は焼成の際にどうやっても割れてしまうんだそうです。
最終的には国産を断念し、中国の業者に焼いてもらったのがこの瓦。
その数実に8,263枚!

 

執念ですな。
そこまでしてこの壁作りたかったんか?って感じですが。
ちゅーかどんだけカネかかったんかな?(←ソッチの方が興味ある)

 

爪が5本ある皇帝の龍

 

ただクオリティは激高でしてね、龍の描写の躍動感がハンパない。
ぐねぐねにうねりまくるポージング、豊かな表情、さらに背景の波と雲(水?)。
それらが鮮やかな彩色と共に、大画面でバーン!と展開するのですよ。
直に現場で見るとブッ倒れるほどに圧巻です。

 

そして龍。
よーく見て下さい。
爪が5本あります。
これは皇帝の龍の証。
つまり9頭ものザ・キング・オブ・龍が、水辺でぴちゃぴちゃ遊んでいるのです。

 

おおーー!ダイナミック!!

 

清大寺の日本庭園

 

そこから3分ほど歩いた先にあるのがこの日本庭園。
中央に大池を配した池泉回遊式の中規模庭園です。

 

ぶっちゃけね、地味~な庭です。
ここまでやたら派手なデカさにばかりこだわってきた清大寺ですが、ここだけは不自然なほどに地味。
明らかに覇気がない。
なんでやろ?

 

心字池

 

この池、「心字池(しんじいけ)」と呼ばれるもので、草書体の「心」という字を模して造成されています。
草書体の「心」ってどんなんや?って人は、ググって調べてください。
なんかグネグネ~っとした感じの一筆書きみたいな文字です。

 

なんで池が「心」の字なのかはよー分からんのですが、どうも「心」という文字に精神世界的な意味が込められているみたいです。
つまりこの心字池はこの世とあの世との境界であり、中央にある橋はこの世とあの世との架け橋をイメージしているのだとか。

 

九山八海を表現した配石

 

その精神世界はこの配石にも表現されています。
高さのある岩を中央に置き、その四方に平たい岩。
これらは仏教世界における九山八海(くせんはっかい)と呼ばれる世界観を表現しています。

 

まず中央にある高い岩、これは須弥山(しゅみせん)と呼ばれる仏の住まう山です。
四方にある平たい岩は、その須弥山をぐるりと囲む4つの島。
ここでスマホをお持ちの方はコンパスを使って方位を確認して欲しいのですが、これら4つの岩、きっちり東西南北に配置されています。
これにより各島(ここでは岩)の名前が特定でき、画像だと左から順番に牛貨洲(ごけしゅう・西)、倶盧洲(くるしゅう・北)、勝身洲(しょうしんしゅう・東)、贍部洲(せんぶしゅう・南)となっているのが分かります。

 

どう?見えます?仏教世界??

 

三尊石を配した滝

 

その九山八海の奥には滝。
ぱちゃぱちゃと水を落として、なかなかいい味を出しています。

 

この滝、よーく見ると左右に大きな石が配されています。
これらは「三尊石(さんぞんせき)」と呼ばれるもので、仏の姿を模しています。
中央の滝がメインとなる仏さまで、左右の石がその仏に付き従う脇侍(わきじ)。
基本的には中央が不動明王で、左右がその眷属である矜羯羅童子(こんがらどうじ)・制多迦童子(せいたかどうじ)とするのが一般的です。

 

越前大仏建立記念碑

 

池の奥に回り込むと巨大な石碑がぽつん。
『越前大仏建立記念碑』と刻まれています。
恐らく落成に合わせて建てられたものでしょう。

 

きっと夢いっぱいで建てたんでしょうね。
よーしドデかい花火ブチ上げたるぞー、みたいな感じで。
結果的にはメガ観光施設としてオープンしたこのお寺の経営は瞬く間にとん挫し、大負債を抱える事になったのですが。

 

でもいいじゃないですか。
これもロマンですよ、ロマン。
男なら夢はでっかくなきゃね!

 

大仏殿前の石仏

 

以上、合計5回に渡ってお届けしてきた清大寺のレポート。

 

とにかくデカいのですよ。
敷地が広大なのですよ。
全部歩くだけで結構疲れるのですよ。
だけどね、その分楽しさもいっぱいですから、時々休憩しながらゆ~っくり見てってください。
ホント素晴らしいですよ!

 

日本一の越前大仏が。
あなたを待ってまーーーす!!

 

 

大師山 清大寺

住所:福井県勝山市片瀬 50-1-1

TEL:0779-87-3300

ホームページ:清大寺公式サイト

 




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