大師山 清大寺 中門・百仏殿・宝仏殿◆この仏像は材質に注意してください
2022年02月19日
門がデカい、狛犬がデカい、仁王像がデカい、ととにかくデカいものずくめの清大寺(せいだいじ)。
今回はそのデカい大門の先を見ていきます。
こちらは2番目の門、中門。
大門よりひと回りサイズは小さくなりますが、それでもなかなかのサイズです。
形式は大門と同じ楼門、構造もやっぱり鉄筋。
門前の広場の雰囲気がどこか中国的ですね。
なんか少林寺拳法の稽古場みたい。
左右には回廊がズバッ!
奥へと伸びる長い直線と縦に連続する小刻みな直線との交差が実にリズミカル。
材には台湾桧(ひのき)が使われているそうで、樹齢1500年以上との事。
それが合計152本。
カネかかったろうな~。
前回記事でも書いてるけど、このお寺、個人が作ったんですよ。
こんな柱、1本使ってるだけでも自慢できるのに、それが152本!
どんだけカネあり余ってたのよ!?
この中門にも仁王さまがいます。
左に吽像、右に阿像。
さっきとは逆の配置ですね。
さてこの仁王像、大門で見たのとはどこか感じが違います。
荒々しさが弱く、えらく落ち着いた感じ。
造形的に丸みが強く、力感という意味では大きく力の劣る印象。
この違いの理由は、そもそも制作者が違うってのもあるでしょうが、それ以前に材質にあります。
先に見た仁王像は木造、それに対してこちらは鋳造。
青銅製です。
なので細かな彫刻が入れられないんですね。
ポーズにしてもそう。
金属は重いので、重心を傾けた不安定なポーズが取れません。
なのでなんかちょこーんとした、大人しい姿勢になるのです。
中門内部には石仏がズラリ。
如来像と菩薩像ですね。
黒いのと白いのが混在していますが、黒いのは黒大理石製、白いのは白大理石製です。
これ1体でいくらすんのかね?
明らかに量産品ですが、それでもこれだけ精巧な石像、安くはないはず。
そんな高級品をこうして何十体も並べちゃうんですからね。
カネ持ちのやる事、違うわ~。
そんな中門をちょっと横に抜けると、こんな空間があります。
苔庭。
エエわ~、この空気♪
苔の緑と木の陰影、そこに漂う厳かな幽玄さ。
そんな中で静かに座禅を組む仏さまの姿は、ただひたすら神秘的で。
異世界感全開!!
もう黙~って手を合わせたくなります。
その苔庭の隣にあるのが百仏殿。
デカい入母屋屋根を被せたお堂です。
素敵ですわね、この建物も。
水平性が強調された伸びやかな入母屋屋根にシックな深緑が沈む銅板瓦。
その下に壁の白と柱の深茶色がビビッドに映えて。
これで木造ならもう言う事ナシなんですけどね。
鉄筋なのだけが残念。
中に入ると何体もの仏像がお出迎え。
床に並んでいる小さいのが黒・白大理石製、台に乗っている大きいのが青銅製。
一体何体仏像注文したんですかね、このお寺?
もうここまで来ると戦慄すら覚えますわ。
注文受けた業者も大変だったろうな~こんなに大量に作るの。
さらに入口右横に目をやるとなんやら意味あり気な小部屋がありまして、そこになんやら意味ありげな仏像が1体置かれています。
これ実際意味がありまして、なんと「魚卵石入り仏像」。
魚卵石ってなんじゃ?と言いますと、ちょっとわたしもよー分からんのですが、元の石である石灰岩が変質し、粒状の模様が浮き出たものだそうです。
ものすごーくレアな石で、世界的に見ても産出地は数えるほどしかないんだとか。
この仏像はそんな貴重な魚卵石を含んでいるのです。
その魚卵石部分をルーペで拡大した画像がこちら。
どう?なんかあるでしょ?粒々がいっぱい。
分からない人は衣のひだの部分に注意して探してみてください。
この粒、結構小さいです。
かーなーりー注意深く観察しないと気付けません。
特にわたしみたいな老眼族(←?)には厳しい作業となりますので、視力に不安のある方は老眼鏡かルーペを持参の上探してください。
さらに奥の部屋に進むと、またもや仏像さんがズラリ。
まるで寺で修業している小坊主のようにきれーに整列して並べられています。
なんかこんな風に並べると、仏像も妙に人間臭く見えますね。
良く言えば親しみやすいし、悪く言えば風格がないし。
もうちょっと見せ方考えた方がいいんでね?
百仏殿を出て少し歩くと、今度は宝仏殿という建物が現れます。
左右2棟を渡り廊下で連結した、なんとなく実務的な建物。
もちろん鉄筋。
こちら左右とも展示室となっていて、やっぱり中には仏像がズラリ。
ちょっと覗いてみます。
まずは右側の建物内。
石仏・石仏・オール石仏。
先の中門でも見た通り、黒いのが黒大理石製、白いのが白大理石製です。
やってることはさっきの百仏殿と同じ。
ただ何となく仏像を並べてあるだけ。
少々芸がない。
左側の建物も同じ、室内には仏像がズラリ。
黒いのは青銅製、白いのは花崗岩製です。
こっちもまー殺風景っちゃー殺風景なんですけどね、仏像の個性が強いのですわ。
特に十一面観音像がカッコ良くてね。
なんかすげー持って帰りたいですわ!(※それは窃盗です)
以上、中門とその横にある百仏殿&宝仏殿を見てきました。
このエリアはとにかく仏像だらけ。
1体1体丁寧に見てたらキリがありません。
ただ数が多いだけであんまりバリエーションはないので、さら~っと見とけばいいと思います。
次回はいよいよメインである大仏殿を見ていきます。
清大寺最大のクライマックス。
ハートあげあげで楽しめますゼ~♪
関連タグ >> お寺 清大寺
コメントをする
片瀬の最新記事一覧

大師山 清大寺 九龍殿・日本庭園◆この庭に隠された仕掛け、アナタは見抜けるか?
2022年02月26日
ここまで4回に渡ってお届けしてきた、ツッコミ所とサプライズが満載の清大寺(せいだいじ)。今回のレポートがいよいよ最終回と・・・
カテゴリー:観光名所

大師山 清大寺 五重塔◆3階と4階のあの部屋、なんとかなりませんか?
2022年02月23日
越前大仏で有名な清大寺(せいだいじ)。前回はそのメインである大仏殿を見てきました。今回はもうひとつの目玉である五重塔を見・・・
カテゴリー:観光名所

大師山 清大寺 大仏殿◆アナタの煩悩解消、おまかせください
2022年02月21日
昭和の大富豪が築き上げた清大寺(せいだいじ)。前々回は大門、前回は中門を中心に見てきました。今回はいよいよその奥にある大・・・
カテゴリー:観光名所

大師山 清大寺 中門・百仏殿・宝仏殿◆この仏像は材質に注意してください
2022年02月19日
門がデカい、狛犬がデカい、仁王像がデカい、ととにかくデカいものずくめの清大寺(せいだいじ)。今回はそのデカい大門の先を見・・・
カテゴリー:観光名所

大師山 清大寺 エントランス~大門◆「デカい」がこのお寺のキーワード
2022年02月16日
奈良の大仏を超えるドでけぇ~え越前大仏を擁する大師山(だいしざん)清大寺(せいだいじ)。勝山の一角にある大寺院です。創建・・・
カテゴリー:観光名所
- 富山城跡 水堀~西の丸 石垣の詳細がよー分からん、謎多きお城
- 羽咋市歴史民俗資料館 渚の正倉院 氣多大神宮展 今しか見られない貴重なお宝がいっぱい
- 香満居 豚トロ黒胡椒炒め定食+担々麺 ボリュームも美味さも文句ナシの街中華
- 一乗谷朝倉氏遺跡 中の御殿跡・諏訪館跡庭園 こんなカッコエエ庭に憧れるわ~
- 一乗谷朝倉氏遺跡 南陽寺跡庭園・湯殿跡庭園 ちょっともったいないなココは
- 一乗谷朝倉氏遺跡 朝倉館跡 ここにはロマンが眠っています
- 一乗谷朝倉氏遺跡 雲正寺地区・平面復原地区 今も残る生々しい生活の痕跡
- 一乗谷朝倉氏遺跡 下城戸跡・上城戸跡 ここがディフェンスラインの最前線
- とんかつ勝亭 立山ロース定食 この肉、味もボリュームも極上だわ~♪
- 加賀大観音 怖いです、マジで
- 高岡市万葉歴史館 大伴家持への愛がどっぷり詰まった万葉の空間
- 武家屋敷旧内山家 古き日本のノスタルジーを今に残すシブ~いお家
- 兼六園 鶺鴒島 見ただけじゃ絶対に気付けない隠されたストーリーを読む
- 南新保C遺跡現地説明会 詳しい事後検討の報告を求ム
- さぶろうべい 親とり白菜鍋 素材の味が素朴に生きるそのまんまの味
- 城が平横穴古墳 古代の墓地跡にちょっと戦慄
- 西山 光照寺 空海が彫った伝説の仏像はどこ??
- 穴水城址 アッケラカンとした拍子抜けな城跡
- 魯山人寓居跡 いろは草庵 魯山人も愛したシブ~い屋敷
- エジプト、サッカラ遺跡発掘調査最新報告展 エジプトに眠る古代ロマン、胸躍るわ~!