店主たみこの観光案内日記

長町武家屋敷跡

2018年12月08日

長町武家屋敷跡

 

金沢の繁華街のすぐ裏手、歩いて数分の場所に長町武家屋敷跡はあります。
その名の通り江戸時代の武家屋敷が連々と並ぶ場所で、往時の雰囲気をそのままに残しています。
静かに続く茶色の土塀はなんともノスタルジック。
失われた日本の古風景にどっぷりと浸れます。

 

とは言え不思議に思いませんか?
なんでここにだけ江戸期の街並みがそのまま残ったのか。
じつはそこには2つの「偶然」がありました。

 

まずひとつは火災に遭わなかったこと。

 

江戸期を通じて、金沢は度重なる火災に悩まされ続けて来ました。
中でも特に有名なのが寛永の大火と宝暦の大火。
このふたつの大火は町も城も焼き尽くし、そりゃもー甚大な被害を出したそうです。
その他にも大小合わせて何と50回以上もの火事が記録されており、金沢の歴史は火事との戦いの歴史でした。
ところがその火事を不思議と逃れてきたのがエリアがあるのです。
それがここ長町界隈。
いわゆる「ツいてる」というヤツですかね。
なぜか延焼しないのです、このあたりだけは。
それゆえに屋敷がきれいな状態で保たれて来たのです。

 

もうひとつの偶然は空襲。

 

ご存知の通り、金沢は非戦災都市です。
意図的か、それともたまたまか、幸いにも米軍がこの地に爆弾を落とす事はありませんでした。
そのため福井や富山と違って、江戸期の町割りがそのままの形で残ったのです。
当然武家屋敷が居並ぶこの長町も、丸々ごっそり保全され。
今、こうして目の当たりにすることができるのです。

 

そんな強運に守られてきた長町武家屋敷跡。
元々のルーツはどんな所だったかと言うと、上中級武士の住まいが集中する場所でした。
実際歩いてみると分かりますが、確かに一軒一軒、そこそこの敷地面積があります。
まあ現代で言えば部長さんレベルの人が集まってた所、みたいなイメージですかね?

 

ひと口に武士と言っても、そこにはランクがあり。
藩主の下に直属する加賀八家と呼ばれる最上級クラスを筆頭に、その下に「人持組(ひともちぐみ)」「平士(へいし)」「与力(よりき)」「御歩(おかち)」「足軽(あしがる)」と続きました。
この長町界隈には主に平士クラスの武士が住んでいたそうで、それはつまりそれなりに経済力のあった人達がいたという事になります。
高級住宅街と言うと少し言い過ぎかもしれませんが、そんな感じの所だったのかもしれません。

 

屋敷の大きな特徴としては、敷地をぐるりと取り囲む土塀。
この土塀からは実はそこに住む人の「格」を読み取ることができ、平士クラスだと1.5~2メートル程度。
それが八家や人持クラスになると、2.5~3メートルもの高さがあったそうです。
ざっと見た感じそこまで高い塀はないので、このあたりは平士レベルの人たちが住んでいたことが分かります。

 

さらに門構えや屋敷のしつらえ、石垣にまで身分に応じた「決まり」がありました。
まー面倒くさい世の中だったんだなと思いますが、それが「江戸」という時代だったのです。
そんな決まり事をひとつひとつ吟味しながら歩くと、この町の景色もまた違って見えてきます。



江戸期の風情を今に伝える長町武家屋敷跡。
そこに漂う空気感とともに、ぜひかつての武家文化も味わって下さい。

 

町の中心には長町武家屋敷休憩館という施設があります。
無料で利用でき、金沢観光のパンフレットなんかが入手できますので、一服しながら次のルートを検討するのに最適です。
さらに「まいどさん」と呼ばれる観光ボランティアガイドなんかも常駐してます。
金沢来たけどどこに行ったらいいのか分からない、なんて人はぜひ相談してみて下さい。

 

 

長町武家屋敷跡

住所:石川県金沢市長町1丁目

 




コメントをする

 

 

 

金沢市の最新記事一覧

金沢肉食堂10&10 肉食堂ステーキ丼

2019年03月12日

この日はこのブログの記事書くために外でごはん食べると決めてた日。仕事が終わって目的のお店に。あ、営業時間外。仕方がない、・・・

カテゴリー:グルメ

金沢城 河北門

2019年03月09日

金沢城に存在する三つの門、「石川門」「橋爪門」そして「河北門」。この三門を総称して「金沢城三御門」と呼びます。中でも最も・・・

カテゴリー:観光名所

泉鏡花記念館

2019年03月05日

尾張町の通りをちょっと浅野川方向に入ったところ、久保市乙剣宮(くぼいちおとつるぎぐう)のすぐ前に泉鏡花記念館はあります。・・・

カテゴリー:観光名所

前田土佐守家資料館

2019年03月02日

ノスタルジックな藩政期の屋敷がつらつらと続く長町武衛家屋敷跡の界隈。その外れに鉄筋建てのきれいな建物があります。前田土佐・・・

カテゴリー:観光名所

ひがし茶屋街 志摩

2019年02月26日

江戸期の茶屋の街並みを今に残すひがし茶屋街。昔ッからヲトコってヤツぁ酒と女が大好きで。そんな大好物ふたつをドッキングさせ・・・

カテゴリー:観光名所

兼六園 竹根石手水鉢

2019年02月23日

しいのき迎賓館や金沢市役所側にある真弓坂口から兼六園に入ると、すぐ先に池が見えてきます。その池の北側に夕顔亭という建物が・・・

カテゴリー:観光名所

自由軒 昔のカツ丼

2019年02月19日

金沢観光のド定番とも言えるひがし茶屋街。江戸期の茶屋の風情を今に残す情緒あふれる界隈です。その入口にドンとそびえる石造り・・・

カテゴリー:グルメ

寺島蔵人邸

2019年02月16日

寺島蔵人(てらしまくらんど)。知ってます?江戸時代、加賀藩で活躍した中級武士です。身分は平士(へいし)。加賀藩の武士には・・・

カテゴリー:観光名所

金沢蓄音器館

2019年02月12日

蓄音器ってご存知ですかね?今や完全に過去の遺物なのですが、まあ音声再生器です。電源ナシ、手動のぜんまい式で。無駄にサイズ・・・

カテゴリー:観光名所

金城霊沢

2019年02月05日

むかーしむかし、ある所に、あ、ある所じゃなくて山科に「藤五郎」という男が住んでいました。ある日藤五郎は夢の中で観音様から・・・

カテゴリー:観光名所